26 仲間増える
26 仲間増える
ローブの女性はウォーラと名乗った。そして、やたらとエルクのケガを心配していた。
「大丈夫でしょうか」
「大丈夫だから、心配しなくても」
そうは言うもののやはり痛いものは痛い。表情に出てしまうとウォーラは心配して、エルクとの距離をだんだんと狭めていった。それはマリアベルが嫉妬するほどだった。
「ちょっと近いかな」
「すいません。彼氏さんに……」
「わかればいいのよ」
エルクに「まだだ」とかの反論を与えない素早さだった。文句を言いたいが、ここの飲み代を握っているため、うかつなことを言えない。
「でも私を庇ってくれたのは嬉しかったです。私にできることならなんでもしますので」
エルクはウォーラの胸に注目した。ついうっかりだ。そしてついうっかり、マリアベルの胸を見てしまう。
「エルク、殴っていい?」
真顔で言われてしまった。気をつけないといけない。
「あいつ等ひどいな。仲間はずれなんて」
話題を思いっきり変えた。マリアベルはそれ以上追撃してこなかった。
「私が悪いのです。期待させてしまったので」
「期待?」
エルクが聞き返すと顔を真っ赤にしてウォーラは言った。
「よろしいですか?」
聞いたくせにウォーラは確認も取らず、エールの入ったジョッキを取り上げて飲み干した。
酒に関係あるのかと見ていると、
「見ないでください」と軽く叱られた。
見ないふりしてから見ると、ウォーラはくるりと後ろを向いて、エールのジョッキをローブの裾の辺りに突っ込んだ。
ジョロ、ジョロ、ジョロ……。
液体がジョッキに落ちる音がする。最悪の想像をしてしまった。それはマリアベルも同じだったようだ。
「何やってんの!」
「これが私のスキル、下半身から水を出す……です」
ウォーラはジョッキをテーブルに置いた。ジョッキには水がなみなみと注がれている。
マジかと思った。
どう見ても、アレでしかない。
「やっぱりおかしいですよね、こんなスキル。水のスキルだと聞いて、最初は喜ばれるんですけど、みんな驚いちゃって」
ウォーラは自虐的に笑った。さっきのやつ等と同じだ。エルクはやつ等に怒ったのに、同じように見下してしまった。何か自分に罰を与えたくなった。ちょうどそこには水の入ったジョッキがあった。
ごくっ、ごくっ、ごくっ……。
「ぷはあ、冷たくてうまい」
そう言うと周りの全てがドン引きしているのがわかった。ベタベタ引っ付いていたマリアベルもだが、水を出したウォーラさえも信じられないと言いたげな顔をしていた。
エルクは言った。
「俺はスキルで価値を決めない。よければ俺達と冒険者、始めないか?」
ウォーラに向けて手を出した。
周りが注目する中、ウォーラは頭を下げた。
「よろしくお願いします」
ウォーラが仲間になった。
「しかしあの水を飲んだのはびっくりしました。誰も飲んだことないのに。変態さんなんですね」
エルクは笑って誤魔化した。
マリアベルは怒って、エルクの足を踏んだ。
エルクは耐えた。




