21 盗賊に勝つ
21 盗賊に勝つ
「角飛び」
まず角を飛ばして様子を見る。盗賊の頭の岩の鎧はあっさりと角をはじく。勝てないかもしれないと思った。
「離れてろ」
強がりながらマリアベルに指示を出し、馬に跨った。どこかに死角があるかもしれない。そこをつくしかない。
「角飛び」
馬を歩かせつつ、角を飛ばす。狙いを関節に変えたが、うまくいかない。
「枝毛」
今度は目を狙って、伸ばしてみた。
「うわっ」
岩のついた腕でガードされてしまい、角ははじかれて折れた。顔は弱点だが、防がれる。なんとかならないものか。
歩き回った末に、エルクはマリアベルに近付いていた。
「勝てないな」
「エルク」
「ん?」
「マリアは敵でいいのね」
「ああ」
「じゃあ、顔目掛けて角でついて。私がなんとかする」
マリアベルは真剣な顔をしていた。エルクは迷った。そこまで彼女を信頼してなかったからだ。でもこのままではオルクが疲弊していく。角を出せるのも経験上あと数回だろう。
エルクは決めた。
「よし、信じるぜ。マリアベル」
マリアベルの表情が明るくなった。
「私達の初めての共同作業よ」
余計なことを言って、エルクを送り出す。だが迷いはない。まっすぐ顔を狙えばいいだけなのだから。
「ユニコーン!」
エルクの基本スキル。馬の額から角を生やした。しかも螺旋状にして、細くして、貫通できそうにしている。
エルクは馬を走らせた。
「いくぞ!」
まっすぐに進み、加速していく。失敗すればオルクがヤバい。そうなったら負けだ。
「うおぉぉーっ!」
思わず声が出ていた。
それだけ気合いを入れた。盗賊の頭の顔面を貫くために。
盗賊の頭は悠然と片腕で防ぎ、反対側は腰の辺りまで引いた。受け切ってからの攻撃である。
それでもエルクは引かなかった。腕に角はぶち当たり、確かな感触を得た。岩に弾かれた手ごたえではなく、肉に突き刺さる感触を。
角は見事に腕を貫いた。貫いた部分には岩がなかった。
「重っ」
マリアベルが岩を持っていた。盗みのスキルで岩を削り取ったのだ。
「伸びろ!」
エルクは螺旋を描くように角を伸ばしていく。ゆっくりと腕を貫いて、顔に近付いていく。
「マリー、バカやろう。裏切りやがって、バカやろう」
「私はマリアベル。マリーじゃないわ」
「このバカやろうが」
エルクは角を伸ばして顔に突き立てた。
絶叫とともに盗賊の頭は敗れた。エルク達が勝ったのだ。




