20 盗賊の頭と戦う
20 盗賊の頭と戦う
「マリーじゃねえか、バカやろう。どうなってんだ? バカやろう」
盗賊の頭はマリアベルを見つけて、声をかけてきた。
「頭、私、このエルクに面倒見てもらうから。盗賊は今日でおしまいね」
マリアベルが怒られると思ったが、盗賊の頭の反応は違った。
「エルクを殺す。マリアのために」
エルクを見てはっきりと言った。マリアベルからしたら、何を言われているかわからなかっただろう。だから彼女はエルクの袖を引っ張る。
「マリアって誰?」
エルクは答えたくなかった。
「後で話す」
「元カノかなんか?」
「後で話す」
「別にエルクが誰と付き合おうが構わないけど、私には言って欲しいな」
「だから後で話すって言ってるだろ!」
マリアベルは黙った。
かわりに盗賊の頭が喋りだす。
「あいつに何度も何度も言われた。エルクを殺せってな。だからお前を殺す」
盗賊の頭は岩に覆われた腕を振り回した。
「くらえ!」
渾身のパンチだったがノロい。エルクはかわしたが、マリアベルがまだだった。
「ちぃっ!」
オルクから離れて、マリアベルをかばって飛んだ。
「どうして……」
地面に転がったマリアベルはエルクに言った。
「マリアは敵だ。俺を殺そうとしてんだからな。そんなやつのために味方を死なせてたまるか」
エルクは立ち上がって、状況を確認した。オルクから離れてしまい、攻撃手段がない。
だが、狙いはエルクなのだ。マリアベルに行かないように自分がなんとかするしかない。
「来い!」
「言われなくてもやったるわ!」
盗賊の頭は岩に覆われた右肩を前面に出して、体当たりを仕掛けてきた。
岩で重くなっているので、かわしやすい。そして方向転換が難しそうだ。
ギリギリまで引きつけてからかわし、オルクのそばに戻ってきた。これからエルクの反撃だ。




