22 後始末をする
22 後始末をする
倒した後のマリアベルの行動は早かった。また火を消して、かつて仲間だった盗賊に生き残りがいないか確かめる。そして生きていたらトドメを刺すのだ。
情けをかけて村に被害があってはいけないので責めるべきではないのだが、妙に手慣れているのが気になった。
エルクはオルクについた返り血を拭ってやる。働かせすぎたから餌を多めにあげようと心に決めた。
「エルク」
口元に布をあてたマリアベルはエルクに手招きする。
エルクも布をあてようと思ったが、オルクを拭いたので血まみれだった。あきらめて、手で覆う。
「中に入ってお宝持ってくるから、オルクにくくりつけて」
「あんまり、持てないぞ」
「知ってる。マリアの時は焦ったけどね」
「マリア? いったい何の話してんだ?」
「なんでもない」
笑顔で誤魔化され、マリアベルは洞窟の奥に消えていった。
まあ勝ててよかった。マリアベルのスキルがなければ負けていた。
「名前、呼んだんだよな」
同じマリアがつくから呼ぶのをためらっていたが、呼んでしまった。なぜかそれはエルクにとってプレッシャーになっていた。今までとは違う。どう接したものか。
まだ決まってないのにマリアベルがガッカリした顔で現れた。手にはエルクの財布程度の大きさの袋しかなかった。
「こんだけしかなかったわ。盗賊の頭って儲からないみたいね」
「ああ」
向こうが全く変わってないので、エルクは安心した。このまま押し切ろう。こちらの変化には気付いていないようだし。
視線には気付いたマリアベルと目が合う。
「ん?」
「帰って晩飯にありつくぞ」
「エルクってマザコンだよね」
「母親は大事だろ」
「そうだよね。普通そうなんだよね」
触れてはいけないところだったのかと、エルクは黙ってしまう。
するとマリアベルは笑った。無理してるのがエルクにもわかった。
「さ、帰ろ。私達の家へ」
「お前、いつく気か?」
自然な驚きに気をよくしたのか、自然な笑顔になりマリアベルは言った。
「さあ、どうでしょう」
エルクは帰り道追求するかどうか迷いまくった。




