第三十二章:校内新聞に広がる噂
翌朝、校内は妙なざわめきに包まれていた。生徒たちが掲示板の前に集まり、何かを見ては興奮気味に話し合っている。その中心には、学校新聞の最新号が貼り出されていた。
「密室の恋の予感?生徒と教師が…」
大きな見出しが目立ち、すぐ下には保健室で眠っている和兎ときいの写真が大きく掲載されていた。記事は、まどかが取材した内容を元に書かれており、明らかにセンセーショナルな書き方で、二人の関係を疑わせるような表現が多く散りばめられていた。
「見た?あの先生ときいさん、一緒に寝てたんだって!」
「え、本当なの!?なんか怪しいよね、あの二人って。」
「きいって頭も良いし、まさか先生に特別扱いされてるんじゃ…?」
生徒たちの憶測が飛び交い、次第に噂は広まっていった。
和兎は、掲示板の前に集まる生徒たちを遠くから見つめ、眉をひそめた。まどかが彼に対して挑発してきた結果、こうして噂が形となって広まってしまったのだ。自分の立場に対してのダメージだけでなく、きいにも影響が及ぶことが明らかだった。
「…これをどう収拾するか」
和兎は独り言のように呟きながら、考えを巡らせた。きいが学校内で優秀な成績を誇るだけに、この噂が彼女の評価に影響を与えることは避けたいところだった。まどかがこの記事をどれほど計画的に書いたのかはわからないが、確実に二人を陥れるための策略だと感じ取っていた。
その頃、きいは他のクラスメイトたちの視線に気付き、少し困惑していた。廊下を歩いているだけで、周囲からひそひそ話が聞こえてくる。彼女は新聞の内容をまだ知らなかったが、何かがおかしいと感じていた。
「きいさん、あの新聞見た?」
突然、声をかけてきたクラスメイトの一人が、にやにやしながら新聞のコピーを彼女に見せた。その見出しと写真を目にした瞬間、きいの顔は驚きで固まった。
「な、何これ!?」
驚愕とともに、きいはその場で立ち止まり、急いで和兎に会いに行く決心をした。このまま放置すれば、噂はますます広がってしまうだろう。彼女は何とか対策を講じようと焦り始めた。
和兎はそんなきいが向かってくるのを見つけ、静かにため息をついた。
「先生、あれどうするの?みんな私たちのことを…」
きいの声には不安が混じっていたが、和兎は冷静に彼女を見つめた。
「落ち着いて。これは確かに予想外の事態だが、まだ対処の余地はある。まずはこの騒ぎを収めるために、僕たちがどう行動すべきかを考えよう」
和兎の冷静な言葉に、きいは少しずつ気持ちを落ち着けた。しかし、心の中ではまどかが仕掛けたこの罠に対する怒りが沸き起こっていた。
「先生、これって完全にわざとですよね…。まどかさん、私たちのことをどうにかして貶めようとしてるんじゃ…」
和兎は頷きながら、次の一手を考え始めた。この状況を逆手に取る方法を見つけなければ、まどかの思惑通りになってしまうだろう。
「そうだな…。これがただのゴシップなら放っておけばいずれ収まるが、もし背後に別の意図があるなら、次の手を考えなければならない」
二人は対策を練りながら、まどかが記事を書いた本当の目的が何なのか、そしてそれをどのように打破するかを考え始めた。




