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第三十一章:思わぬ来訪者

保健室のドアがゆっくりと開き、入ってきたのは一人の女子生徒だった。彼女の名前は佐倉まどか、学校の報道部に所属し、普段からゴシップネタで知られている人物だ。まどかの記事はいつも生徒たちの間で話題になり、特にスキャンダラスな内容には一部の生徒から支持が集まっていた。


「おやおや…何してるのかな?」


まどかはクスリと笑いながら、眠り込んでいる和兎ときいを見下ろした。彼女は面白がって、手に持っていたカメラを取り出すと、二人の姿をパシャリと撮影した。


「保健室で先生と生徒がこんな風に…これは良いネタになるね。ふふ、明日の記事はこれで決まりっと!」


ケラケラと笑いながら、まどかは撮った写真を確認していた。その瞬間、和兎がゆっくりと目を覚ました。頭がまだぼんやりとしていたが、目の前に立っているまどかの姿に気付く。


「…何をしているんだ、佐倉?」


和兎は頭を軽く振って正気を取り戻すと、立ち上がろうとした。しかし、まだ体が完全には動かず、手を床につきながらもゆっくりと姿勢を正した。


「先生、生徒と保健室で昼寝だなんて、学校新聞の大スクープだよ!やっぱり怪しい関係だったんだ~って皆に話せば、面白くなるでしょ?」


まどかは悪びれる様子もなく、ニヤリと笑った。和兎はその言葉を聞きながら、慎重に彼女の意図を探ろうとした。


「……佐倉、どうしてここに来たんだ?」


和兎の問いに、まどかは鼻で笑いながら肩をすくめた。


「たまたま通りかかっただけだよ。で、扉が少し開いてて、中を覗いてみたら先生が生徒と一緒に寝てるなんて。これはもう撮らないわけにはいかないでしょ?」


その瞬間、きいも意識を取り戻し、目をぱちぱちと瞬かせた。


「…先生、私、寝てた…?」


ぼんやりとしたまま起き上がるきいに、まどかはさらに笑い声をあげた。


「ねぇねぇ、これってどういうこと?保健室で先生と二人でお昼寝?それとも何か他の秘密があるのかな?」


その言葉に、きいは瞬時に状況を理解し、慌てて弁解しようとしたが、和兎は冷静にまどかを見据えた。


「佐倉、君はどうやらこの状況を楽しんでいるようだが、一つだけ言っておく。写真を広める前に、よく考えることだ。この学校で何が起きているか、君はどれだけ知っている?」


まどかは一瞬、その言葉に戸惑いの表情を見せたが、すぐにまた悪戯っぽく笑みを浮かべた。


「ふふ、脅してるの?それとも私も仲間に入れってこと?」


その態度に、和兎は内心で警戒心を強めた。彼女が敵なのか味方なのか、今のところは判断がつかない。


「とにかく、何も知らないうちに騒ぎを起こすのはやめたほうがいい」


まどかはその言葉に対し、じっと和兎を見つめたまま、一度肩をすくめて言った。


「ふーん、まぁいいわ。今日はこれくらいにしとく。でも、これ以上怪しいことがあったら、次は容赦しないからね!」


そう言い残して、まどかはカメラを手にしながら保健室を後にした。彼女の足音が遠ざかるにつれ、和兎ときいは再び静けさの中に戻った。


「…先生、今の子、私たちを脅しに来たのかな?」


きいが不安そうに尋ねると、和兎は深く息をつきながら答えた。


「…まだわからない。ただ、彼女の行動には何か裏があるかもしれない。油断はできないな」


和兎は再び冷静さを取り戻し、これからの対策を練り始めた。まどかの言動が示すものが何であれ、次の一手を慎重に打つ必要があると感じていた。



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