第二十五章:平穏の裏
和兎ときいの作戦は完璧に準備されていた。保管庫の映像を操作し、次の一手を犯人に打たせるための罠は張り巡らされていた。しかし、その夜、何も起こらなかった。
翌日、予定通りにテストが行われた。教室内はピンと張り詰めた空気で満たされており、誰もが集中して問題用紙に向き合っていた。和兎も教室の後ろで、生徒たちの様子をじっと見守っていた。
「……動きがないな。」和兎は内心少し焦っていた。犯人が動くタイミングを計算していたが、全く兆候がなかった。通常なら、このテストのタイミングで何かしら仕掛けてくるはずだった。
テストが終わると、生徒たちは解放されたかのように教室から出て行った。きいも一度和兎のそばに来て、小声で話しかける。
「先生、今回は何もなかったみたいだね。」
「……ああ、そうだな。犯人もこちらの動きを読んでいるのかもしれない。」和兎は腕を組んで考え込む。「もしくは、もっと慎重になっているのか。」
「でも、ここまで静かだと逆に怖いよね。」きいは、周りを見渡しながら不安そうに言った。
「静かだからこそ、次の一手が重要だ。油断してはいけない。」和兎は慎重に言葉を選びながら話した。「犯人がこちらを観察しているのは間違いない。こちらが動いたら、その裏をかこうとしてくるだろう。」
「それじゃ、次はどうする?」きいが少し身を乗り出して聞いた。
「今は待つしかない。だが、次の試験が終わるまでに何かしら動きがあるはずだ。それまでにこちらも新たな手を考えておく必要がある。」和兎は、冷静に今後の方針を伝えた。
「やっぱり、探偵の仕事って難しいんだね。」きいは少し肩をすくめながら、笑みを浮かべた。「でも、ワトソン先生と一緒なら安心だよ!」
和兎は彼女の言葉に、微かな笑みを返した。内心では、次の犯人の動きを予測しながらも、きいの無邪気な元気さが彼を少しだけ和ませていた。
「次の手を打つ準備をしておけ、きい。これで終わりじゃない。」和兎はそう言って、再び考えを巡らせた。




