第二十章:動き出す影
試験問題が保管庫に保管された翌日、和兎は校内の様子がいつもと違うことに気づいた。生徒たちの間で、なにやらひそひそと囁かれる話題が広がっていた。それは、きいがテストの問題を事前に手に入れているという噂だった。
「やはり動き出したな…」
和兎はその噂が、犯人によって意図的に流されたものだとすぐに気づいた。きいを狙っている者がいる限り、彼女が何らかの形で陥れられるのは避けられない。今回の試験を通じて、彼女を貶めようという計画が進行中なのだ。
一方、きいは噂を耳にしても、特に動揺した様子は見せなかった。彼女はいつも通り明るく、和兎に向かって笑顔で話しかけた。
「ワトソン先生、なんだか今日の空気がちょっと変だよね?もしかして、私のこと?」
和兎は微笑を浮かべながら、冷静に答えた。「まあ、少し変わっているのは確かだが、気にすることはない。いつもの調子でいればいいさ。」
しかし、内心では和兎は緊張を隠せなかった。犯人は確実に罠を仕掛けてきている。だが、どのタイミングで、どのような形でそれが現れるかはまだ分からない。何としても先手を取って、相手の計画を阻止しなければならなかった。
午後の授業が終わり、和兎は保健室に戻った。そこには、予想通りのものが届いていた。封をされていない封筒が机の上に置かれていたのだ。それは脅迫文だった。
「お前はもう気づいているだろう。全ては計画通り進んでいる。次の一手を待っているがいい。」
和兎は封筒の中を確認しながら、次の手を考えた。この脅迫文は、犯人が自分たちを完全に操っていると思わせるためのものだ。だが、和兎は既に逆手に取る準備を整えていた。
「きいを陥れようとしている犯人がいるなら、次の手をこちらから仕掛けてやる。」
和兎は再びきいを呼び出し、彼女と共に作戦を練り始めた。彼女の成績が良すぎることを逆に利用し、犯人を罠にかける計画が進行していく。和兎の中で、全てのピースが次第に組み合わさっていく感覚があった。
「さて、どうやってこちらの意図を悟らせずに相手を追い詰めるか…」
和兎は冷静に、次の一手を慎重に練っていた。




