第十四:舞台の準備
「さて、次は具体的な手順を考えようか」
和兎は軽く肩をほぐしながら、次の作戦を立てるために頭を整理していた。きいもその横で、ペンを手に取りながら先ほど習った「マジシャンズチョイス」の練習を始めている。
「まずは、相手の動きを把握しなければならない。次にどこで何を仕掛けてくるかを予測しないと」
和兎はつぶやくように言いながら、ノートに情報をまとめていく。
「犯人は、私たちが近づいていることに気づいてるよね?」
きいは自信ありげに言いながら、何度もペンを並べ替えてマジシャンズチョイスの練習を続けていた。
「ああ、きっと気づいているだろう。でも、その気づきはこっちにとってもチャンスだ。今度は犯人に先手を打たせて、こっちが誘導する。相手が焦って動く瞬間を待つんだ」
和兎は真剣な表情で、机に向かって地図を広げ、学校内外での犯人の動きについて考えを巡らせた。
「でもさ、もし犯人が今度の動きで何か大きなことを仕掛けてきたらどうする? 私たちのミスが命取りになるかもしれないよ」
きいの顔には不安が少しだけ浮かんでいる。
「それも考えている。だからこそ、まずは相手をリードする必要があるんだ。次の動きで、できるだけ大きな手を引き出させる。そして、こちらがその一手を逆手に取る」
和兎は冷静に答え、計画の細部を詰めていく。
「ふーん。やっぱり、先生はワトソンって感じだね。冷静で論理的!」
きいはニヤリとしながら和兎に視線を送る。
「……それ、褒めてるのか?」
和兎は苦笑しながらも、次に取るべき行動について頭を働かせた。
「よし、それじゃあ準備に取り掛かろう。お前がやるべきことは……」
和兎がきいに指示を出そうとしたその瞬間、突然スマートフォンが鳴り響いた。学校の警備員からの緊急連絡だ。
「先生、大変です! また何かが起こったみたいです……!」
声が焦りと緊張感に満ちている。
「場所は?」
和兎は即座に問いかけた。
「旧校舎の方で、不審な影が目撃されました。先日の事件と同じような動きがあるようです……」
和兎はその報告に目を細めた。
「やはり、次の手を打ってきたか……」
和兎はすぐにきいを見て、準備が整ったかを確認するように頷いた。
「ワトソン先生! 今がそのマジシャンズチョイスを使う時なんじゃない?」
きいは興奮気味に言い、手品の道具をカバンに詰め込んで立ち上がった。
「そうだな、今回こそは相手を完全に動揺させてみせる。準備はいいか?」
和兎はきいを見つめ、強い決意を込めて問いかけた。
「もちろん! 名探偵シャーロック・ホームズの出番だよ!」
きいは自信に満ちた笑顔を浮かべ、和兎と共に旧校舎へと向かう準備を整えた。
二人は静かに歩き出し、夜の校舎に向かって一歩一歩進んでいった。今度こそ、犯人を追い詰めるための最後の舞台が整いつつあった。




