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第十三章:マジシャンズチョイス

「さて、反撃に出るとするか」

和兎は軽く眼鏡を押し上げながら、きいに向き直った。


「きい、君は『マジシャンズチョイス』、もしくは『マジシャンズセレクト』を知っているか?」

彼の問いに、きいは何か知っていることを誇示するように、鼻息荒く自信満々に答えた。


「知らない!」

その即答に、和兎は一瞬言葉を失い、苦笑いを浮かべた。


「……まあ、そうだよな」

和兎は呆れ半分、諦め半分の表情で軽くため息をついた。まだ人生経験が浅いきいには、無理もないかと内心納得している。


「じゃあ、教えてやるよ。簡単に言えば、マジシャンズチョイスは観客に選択肢を与えるように見せかけて、実際には自分が選ばせたいものを選ばせるテクニックだ」

和兎は言いながら、手元にあったペンを2本取り出し、きいの前に並べた。


「例えば、ここに2本のペンがあるとする。片方は普通のペンで、もう片方はトリックペンだ。どちらかを選べと言ったら、お前はどっちを選ぶ?」

和兎はペンを指し示し、きいの顔をじっと見た。


きいは一瞬考えた後、ペンを指差す。「こっち!」


「そうか。もしそれが普通のペンだったとしても、俺は『それがトリックペンだ』と見せかけることができる。逆にトリックペンを選んだとしても、俺はそっちが普通のペンだと言えるんだよ」

和兎はきいの選択に関係なく、どちらでも同じ結果を得られるということを示してみせた。


「えっ、何それ!? ズルくない?」

きいは驚きと少しの悔しさを滲ませながら言った。


「まあ、マジックというのはそういうものだ。観客には選択の自由があるように見せて、実際にはマジシャンが選ばせたい結果に導いている」

和兎は真剣な表情で続ける。「このテクニックは犯人の心理を揺さぶるのにも使える。うまく相手を操作すれば、相手の行動をこちらの思い通りにコントロールできるかもしれない」


「なるほど、すごいなぁ! 私もそれ使えるかな?」

きいは目を輝かせて和兎の説明を聞き、早速試してみたくなったようだ。


「もちろん、少し練習すれば簡単に使いこなせるさ。ただ、重要なのは自信を持って行動すること。マジシャンは常に自分が優位に立っていると信じ込ませる必要がある」

和兎はきいの頭を軽く撫でて笑った。


「よーし! じゃあ、今から私がその『マジシャンズチョイス』ってやつをマスターして、犯人をやっつけるんだから!」

きいは拳を握りしめ、早速練習を始めようと意気込んだ。


「まずは焦らず、一歩ずつだ。犯人を誘導するためには、落ち着いて相手を観察することが大事だぞ」

和兎は穏やかに言いながら、再び考え込むような表情を浮かべた。


次にどう動くべきか、そしてどのタイミングでこのマジシャンの技術を活かすべきか。二人の探偵コンビは、じわじわと犯人に迫っていた。

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