第1話 レベル上げ
楽な気持ちで書いてます
ここが、世界Cか。
見渡す限り、本当にPRGのような世界だ。
グラフィック…って言い方はおかしいけど、そっくりだ。
どうやら俺は街に来ているようで、人でにぎわっている。
街並みもRPGそのもの…今回はゲームじゃないけど。
ふと目線をずらすと、視界の右上の方に不思議なアイコンのようなものが見えた。
無意識のうちにそれを見ていると、目の前に何かが表示された。
「うおっ!」
思わず一人で声を上げる。
とりあえずと思い、建物の間と間の狭い路地へと身をひそめる。
そして、じっくりと何が表示されたのかを確認する。
半沢健人 Lv.1
職業:なんでしょう
称号:なし
<スキル>
<魔法>
なんだろう、この世界のシステムは俺には分からないけど、すごくイラッとくる。
このステータスとかは、たぶん女神Aが考えたのだろうと、職業欄の所を見れば一目瞭然だ。
なんだ、職業”なんでしょう”って。
水曜どうでしょうみたいになってんじゃねーか!
職業なんでしょうって、こっちが聞きたいわ!
とりあえず、女神の御加護とやらがどの程度のものなのかを確認したい。
この世界での俺の服装は、何やら普通だ。
普通のファンタジー衣装って感じ。色は青。
とりあえず、スキル欄に意識を集中してみる。
すると、スキル欄が開いた。
スキル:なし
ん?故障かな?
何度もスキルを意識し続けるが、”なし”の二文字で俺の精神は抉れる。
職業なんでしょうの時点で嫌な予感はしていたが、スキルが1個も付与されていない。
こうなれば魔法だ。
魔法:ヒール
おおっ!なんかあった!
あったけど、1個しかないうえに、なんかショボい。
名前から察するに、たぶんこれ、回復魔法だろ?
とにかく今の俺は、”青い服を着たレベル1の回復魔法持ち職業なんでしょう”ということになる。
クソみてえな異名だ。
だが望みを捨てるのはまだ早い。
この世界にはどうもレベルという概念が存在するようだ。
女神の御加護とやらはひょっとすると、レベルが上がらないと発揮されないのかもしれない。
もしくは、レベルそのものが物凄いスピードで上がっていくとか…?
とにかく、早く御加護を感じたい…。
「魔物倒してレベル上げようぜー!」
子供の声がした。
そっと街道を覗いてみると、片手に剣を持った子供3人が、街を出てどこかへと行ってしまった。
魔物…レベル…剣…!
これはもう間違いないだろう!?
俺は路地を出て、子供の後を追う。
街を出ると、そこは広い草原だった。
さわやかに風も吹いており、何とも居心地が良い。
下手な牧場よりも芝がきれいだ。
すると、近くで先ほどの子供を発見。
3人で魔物に向かって剣を振るっている。
リンゴに手足が生えたような魔物だ。目が一つしかない。
魔物の頭上には文字が表示されている。
リンゴーム ランクE
名前と…ランクだろうか。
Eってことは相当な雑魚だろうな。
剣はないが、リンゴ程度ならつぶせる握力が俺にはある。
一応、体操部だったからな。
近くにリンゴーム発見!
腹の立つ顔をしている。
俺はリンゴーム目がけて走り込み、体操部直伝の前転をして、後ろに回り込む。
そして、両腕でリンゴームを抑え込む。
「ゴォム!ゴォォム!」
「どんな鳴き声だよ!」
若干突っ込みを入れつつ、とりあえずリンゴームの体を街の壁に叩き付ける。
リンゴームの体はリンゴのように凹み、つぶれて、やがて動かなくなった。
レベルアップ!
レベルアップをしたようだ!視界に文字が表示される。
BGMでもあれば気分が乗るのだが、そこまでゲームチックではない。
レベル2になった。
スキルや魔法を確認してみるが、特に何も追加されていない。
まあ、まだ1上がっただけだからな。
望みを捨てるな、俺。
にしてもこのリンゴームは、食えるのだろか?
抵抗感を覚えつつも、ちょっとだけ齧り付いてみる。
触感は完全にリンゴそのものだ。
だが…
クソマズだった。
あれから何時間経っただろうか…
草原で、ずっとリンゴームを潰し続けていた。
その甲斐あって、レベルは5まで上がったのだが…。
一向に御加護らしい御加護はついていない。
途中、”打撃耐性 レベル1”という謎スキルが付与されたが、それっきりだ。
俺は確信した。
あの女神は、ポンコツだ。
そして俺は、泣きそうだ。
気付いたら夕方になってやがった。




