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300年前の魔術師  作者: 卯月木蓮
第3章 筋肉と盗賊
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第11話

しばらく更新できず、申し訳ありませんでした。

執務室の扉を叩き、

ユートが入室の許可を求めると

中から入って良いとの返答があった。


扉を開けると丁度書類仕事が

ひと段落したらしいお父さんがお茶を飲んでいた。


「お父さんがここに僕を呼ぶのは

 珍しけど、どうしたの?」

「あまりたいした話ではないのだけどね、

 そろそろユートを警備隊に正式に

 紹介しようと思ってね」

「け、警備隊って『村の怒らせてはいけない

 ランキング』1位のあの警備隊!?」


警備隊に紹介するとは何かの罰なのだろうか。

特に悪いことはしていないはず。

過去にジオという少年の身におきたことは

この村では有名だ。


「そんなに怯えなくてもいいよ。

 本当に単なる紹介だから。

 ユートはローレンス領の長男だから

 そろそろ紹介しようと思っただけだよ」


それを聞いたユートはホッとした。

これならジオ少年のようなことは起こらないだろう。


「えっと、具体的には何をすればいいの?」

「これを届けてきて」


そう言って手紙を渡される。


「中に入ってるのは司令書だからなくさないでね。

 隣の領、しかもローレンス領の近くで

 盗賊が見つかったから注意するように

 という内容だよ」

「わかった。それじゃあ、いってきます」

「よろしくね」

 

屋敷を出て警備隊の隊舎へ向かう。

お父さん曰く、今の時間は訓練をするので、

隊舎に集まっているそうだ。

警備隊の隊舎は村のはずれにある。

村の中に作ったら周りの住民から

苦情が来たそうだ。なんか怖い。

やっぱり行くのやめようかな。

でも、お使いだから行かないと・・・。


「あ! ユート君。どこ行くの?」


そんなことを考えながら歩いていると

村唯一の薬屋さんの前でアルマに話しかけられた。


「ああ、これ届けに警備隊のところ。

 アルマはえらいよね。

 いつもお店の手伝いして。」

「別に、当たり前のことしてるだけだよ?」

「そういう風に当たり前にできるのが

 アルマのいいところだよ」

「そうかな〜? 普通だと思うけど?」


彼女は不思議そうに首を傾げている。

まあ、そういうところが彼女らしいのだが。


適当なところで話を終わりにして

再び警備隊に隊舎へ向かう。


いつも親の手伝いをしているためアルマの

家事をする能力はかなり高い。

小動物のような可愛い容姿もあって

村の男子の中で彼女は結構人気である。


さらに、彼女の家は代々治癒魔法が使える。

怪我をアルマに治療してもらってそのまま

彼女を好きになる者が続出している。

噂によると、アルマに手当てしてもらいたいが為に

わざわざ怪我をするものもいるとかいないとか。


アルマにも魔力量を増やす方法を教えてあげたので

少しずつではあるが、彼女の魔力量は増えている。

クロエも魔法の才能があったので教えてあげた。

特に雷魔法が得意なようだ。

マルコは残念ながら魔法の才能はなかった。


道のりを半分ぐらい来たところで

クロエとマルコが歩いていた。

そういえば最近よく2人でいるのをよく見かける。

と言っても、マルコの行くところにクロエが

ついていってるという感じだが。


「おっ!ユートだ、どこいくんだ?」

「お父さんのおつかいで警備隊のところ」

「何それ、面白そうじゃん、俺も行っていい?」


マルコが食いついてきた。

何故か犬がしっぽ振っておねだりしている姿が浮かんだ。

少し意地悪をしてみよう。


「どうしよっかなー」

「えー、そんなこと言わずに頼むよー」


まるで捨てられた犬のような目で見てくる。

うん、やっぱり犬だな。


「冗談だよ。いいよ」

「よっしゃー!じゃあ早速行こうぜ」

「え! 行くの?」


クロエが驚いた顔をしている。


「ん?クロエは来なくていいぞ」

「べ、別に行かないなんて言ってないもん」


マルコの来なくていい宣言に

クロエが少し不機嫌になる。


うん?


「何怒ってるんだよ」

「怒ってないもん」


口ではそう言いつつもそっぽを向いている。

けれど、目だけで窺うように、誘って欲しい

そんな風にマルコを見ていた。


これはもしかして、もしかするのかな!?


「? まあいいか、

 じゃあ一緒に来るか?」

「うん! 行く!」

「お、おう、そうか」


途端に機嫌が良くなりクロエは笑顔になる。

一方、マルコはクロエの変り身のはやさに

若干ついていけていない。

僕はそんな2人を観察していた。


・・・うん。

多分クロエはマルコのこと好きなんだろうな。

今はまだ友達から少し進み、

「少し気になるな」ぐらいの気持ちだろう。

本人もまだ気がついてないみたいだけど。

いつ気がつくかな〜。


「ユート、何ニヤニヤしてんだ?」

「いや? なんでもないよ。じゃ、行こっか」


ーーーーーーーーーー


目的地である警備隊の隊舎は

柵で囲まれており、外からは中の様子が

わからないようになっていた。


いざ中に入ろうというとき、

柵の中から怪しい声が聞こえたため

3人は入るのをためらっていた。


「おい、ユート。どうする?」

「お使いだから入るしかないでしょ」

「・・・」


門の前で立ち往生する3人。


『喰らえ、マッスルタックル』

『ふっ、なかなかやるではないか

 だが吾輩の上腕二頭筋にかかれば』

『ふんっ!(ムキッ!)』

『筋肉こそ我が魂!ムンッ!』


なんかヤバい。

本当にここが警備隊の隊舎であっているか不安になった。

門の横には大きな文字で「警備隊」と

はっきりと書いてあった。

もしかして、違う場所なんじゃないか

というユートの期待は見事に裏切られた。


「・・・よし、入るか」

「なんか面白そうだな」

「・・・」


どこに面白そうな要素があった!? マルコくん?

横を見るとクロエが呆気にとられた表情をしていた。

そうだよね。普通はこういう反応だよね。


覚悟を決めて門をそっと開ける。

そして中を見て


「「!!!」」


何も見なかったことにしてそっと閉めた。

中にはヤクザも真っ青な強面筋肉集団がいた。

しかも、むちゃくちゃ汗臭い。そして暑い。

なんなんだここは!


「ええっと、クロエは先に帰る?」

「うん、そうしようかな。

 あれ?マルコは?」


そういえばマルコがいない。

何だろう、何かやな予感がする。


『おう、少年。こんなところにどうした?』

『あ、俺、マルコって言います。

 筋肉すごいですね。』

『おお、この筋肉の良さがわかるか!』


マルコォーーーーー!

なーぜ君はそっちにいるんだーーー!

括弧が2人分しかないと思ったら

そういうことだったのかーーー!

と、とりあえず


「クロエ、先に帰っていいよ」

「ううん。私も行く」


これから死地に赴くような顔でそう答える。


「無理しなくていいよ?」

「だ、大丈夫。無理なんかしてないもん」

「わかった」


ここは彼女の意思を尊重しよう。

門を開け中に入る。


見渡す限り筋肉、筋肉、筋肉。

あ、マルコがいた。

って、ヤバい。

クロエが顔真っ青で口元を手で押さえてる。

足が生まれたばかりの小鹿のように震えてる。


正直男の僕でもここはきつい。

特に匂いが。

女の子のクロエならなおさらだろう。

とりあえず、マルコを呼ぶ。


「おい、マルコ!」

「遅かったじゃん。

 あれ? 大丈夫かクロエ!」


クロエはマルコに任せる。

顔はまだ青いが少しマシになったようだ。


「あの、隊長さんいますか?」

「おう、俺だ」


右目に眼帯をした筋肉が現れた。


威圧感が半端ない。温度的に。

あと筋肉がすごい。



「あ、父から手紙です」

「おお!お前がアランの息子のユートか。

 俺は警備隊の隊長をしているロベルトだ。

 で、こいつが副隊長のアーロンだ」


がっはっはと笑いながら肩を叩かれる。

叩かれるたびに僕は地面にめり込んで行く。

器用なことに衝撃の全てが

僕の体を通り抜けて足元だけに行っている。


「アーロンです。宜しくお願いします」

「あ、ご丁寧にどうも

 こちらこそお願いします」


副団長のアーロンさんはメガネをかけた

頭良さそうなイケメンだった。

ただし、首から下はボディービルダーが

素足で逃げ出すようなムキムキの筋肉だ。

イケメンなのになんか残念。


その後、クロエが気絶してしまったため

さっさと帰らせてもらった。



次回、盗賊がやってきます。

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