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300年前の魔術師  作者: 卯月木蓮
第3章 筋肉と盗賊
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第10話

水、土と更新できず申し訳ありませんでした。

ローレンス領の領主の家の庭に

剣と剣がぶつかる音が響く。


「はああ!」


目にも留まらぬ速さで攻める

銀髪碧眼の少年。


「うん、だいぶ良くなってきたね、ユート」


その猛攻をどこか余裕の表情で捌く

金髪碧眼の男。


「でも・・・」


男が纏う雰囲気が変化する。

その変化を敏感に感じ取り

対応せんと剣を振るう少年。


キィィィン


少年の手から剣が弧を描き飛んでいき


「僕の負けです」


少年の首には男の剣がそえられていた。

負けを認める言葉の後、首に添えられていた剣が

どかされ、鞘に収まる。


一応刃引きはされてはいるが本物の剣

ということに変わりはない。

つまり、首に添えられればそれなりに怖い。

真剣で練習することの意味は理解しているが、

まだ自分は8歳だ。

前世で養父にびしばし鍛えられたが

8歳の体では満足に動けず、

父に本気を出されたら手も足も出ない。


「お父さん、本気出すことはないでしょう。

 僕、子供なんだけど」

「実際戦うときにはそんなことは関係ないよ」

「むう、戦う機会なんてないのに」

「そういう心構えが必要だということだよ」

「それは、わかっているけど」


なんか納得いかないとユートは思う。

普通、子供相手に本気でかかってくる

大人がいるだろうか。


納得いかない思いを抱きつつ

父と一緒に食堂へ行く。

そこにはシリウスおとうとシャルロットいもうとの間で

取り合いになっているルーチェがいた。

彼女が生まれて1年ほど経つが

大きさは生まれてからあまり変わっていない。

5歳の2人は遊びたい盛りなのだろう。


「ルーチェちゃんはシャルとあそぶの!」

「ぼくもあそぶ!」


ルーチェが助けを求めて

丸い大きな瞳でこちらを見る。

ああ、2人ともそんなことしてると

”氷の魔女”が・・・


部屋にひんやりとした風が吹く。

遅かったーーー!


「シリウス、シャル、そろそろ

 その辺にしておきなさい」


いつもと変わらない声、

いつもと変わらない笑顔、

だがしかし、目だけ笑ってない。

お母さん怖い。


「アラン、あなたからも注意して」

「う、うん、わかったよ」


そして2人に説教を始めるお父さん。

完全にお母さんの尻に敷かれてる。

間違いなく我が家で一番強いのは

お母さんである。




朝食を食べたらお母さんと一緒に魔法の勉強だ。

2度目の人生初の魔法の勉強だ。

危ないので場所は庭。

氷の魔女と言われているお母さんだが

全ての属性を上級まで使える。

学校では成績が良かったそうだ。


「じゃあ、まずは

 お母さんのすることを見ててね」


そう言ってお母さんは片手を突き出す。


「我が手に炎を”ファイアー”」


するとお母さんの手の上に

炎の玉が浮かぶ。


「このように魔法は詠唱すれば

 発動することができるわ。

 ただし、難しい魔法ほど

 詠唱が長くなるから大変よ。

 お母さんやお父さんぐらいになると

 詠唱を簡略化できるんだけどね」


ぼくはその説明に驚いた。

なぜなら、前世では魔法は

魔法陣を使って発動するのが

当たり前だったからだ。

300年の間に何があったんだろう。


魔法陣を使えばほとんどの魔法を

一瞬で発動することができる。


(魔法陣が使えることは黙っておこう)


お母さんの説明からすると

魔法を使うのは詠唱を前提としているようだ。

面倒なことになりそうなので

黙っておくことにした。


「じゃあ、ユートもやってみて。

 我が手に炎を”ファイアー”だからね」

「う、うん」

「緊張しなくても大丈夫よ」


正直あまり気が進まない。

ぼくは、水と土と木の魔法しか使えない。

しかも、攻撃魔法は使えない。

心の中でため息をつきながら詠唱する。


「我が手に炎を”ファイアー”」


手のひらの上に火の玉が現れた。

あれ?なんで??どうして???


「あら、一度でできるなんて

 さすがユートね」


嬉しそうなお母さん。

そのあともお母さんとの魔法の練習は

続いたが、あまり集中できなかった。



魔法の練習が終わり

自分の部屋に戻った僕なぜ水と土以外の

魔法を使えるようになったのか考えていた。


(もしかして、生まれ変わったことで

 使える魔法の属性が増えたのか?)


そう考え、魔法陣で”ファイアー”を使おうとする。

しかし、いくらやっても魔法陣自体を作り出せない。

逆に詠唱すると使える。

その後、何度も実験して分かったことは4つ。


1、魔法陣を使っての魔法は今まで通り

  水と土、2つの複合魔法の木の3種類。


2、詠唱すれば少なくとも初級魔法は

  全属性使える。


3、攻撃魔法も防御魔法も

  どちらも使うことが可能。


4、複合魔法は詠唱がわからないので

  検討が必要。 


何故、詠唱すると全属性の魔法が使えるのか

わからない。さらに昔は一般的だった

魔法陣を使用しての魔法が

今は使われていない可能性がある。

単にまだ早いからお母さんが

教えてくれてないだけかもしれないが

調べておく必要があるだろう。


こんなことを考えていると

マリアお姉ちゃんがやってきた。


「ユート様、アラン様がおよびです。

 執務室まできてください」

「わかった、今行く」


お父さんから執務室に呼ばれるのは

初めてのことだ。

いったい何の用なんだろう。

僕は疑問に思いながらも

執務室へ向かった。

魔法


基本5大魔法をさす。

5大魔法とは火、水、土、風、雷の5つの属性魔法のこと。

5大魔法の他にも治癒魔法や教会関係者が使う

神聖魔法などがあるが使える者は限られている。


複合魔法


ユートのオリジナル魔法。

水と土の魔法を組み合わせ、新たに

植物を操る魔法を開発した。


攻撃魔法と防御魔法


ユートが勝手に分類している。

攻撃魔法は人や物に対して攻撃する魔法。

防御魔法は攻撃魔法以外の魔法。

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