閑話 警備隊を怒らせるな
伏線というか、人物紹介のようなものになってしまいました。
遅くなりすみませんでした。
ローレンス領に1つだけある小さな村。
その村の子供達の間には暗黙のルールが存在する。
「警備隊を怒らせるな」
これは、ユートが生まれる1年前の
ある悪戯坊主に起きた出来事である。
そしてその出来事は子供達の間で
教訓として語られていくことになる。
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「あー! ドアに落書きされた!」
「洗濯物に泥が!」
「牛が逃げ出したぞ!誰か捕まえろ!」
「誰だ、こんなところに落とし穴掘ったのは!」
フハハハハハー。
どうやらうまくいったようだぜ。
証拠は残してい無いから俺様がやったって
誰もわからない。
俺様の計画は完璧だ!
笑いが止まら無いぜ!
俺様の名前はジオ。
好きなことはいたずら。
得意なことはいたずら。
趣味はいたずら。
とにかくいたずらが大〜好きだ。
子供達も何も言わ無い。
いや、言わせ無い。
なんたって、ここで一番偉いのは俺様だからさ。
フハハハハハー。
え?警備隊?
フッ、警備隊なんざぁ俺様の敵ではないわ!
はーはっはっはー。
でも最近だんだんと飽きてきた。
もっとスリルのあることをしたい。
そう考えるジオであった。
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「アラン様、ここ最近のいたずらは
酷くなる一方です。しかし誰がやっているのか
皆目見当がつきません。
お願いです。なんとかしてください」
「うん、わかった。
ということだけど、ロベルト、
心当たりはあるかい?」
そう言ってローレンス領の領主は
この村の警備隊の隊長の男に顔を向ける。
そこにはヤクザも真っ青になる程の
強面。服の上からでもわかる鍛えられた筋肉。
そしているだけで漂う熱気と男臭さ
という名の存在感。
実際この部屋はやたら暑苦しい。
「ああ、大体の目星はついている。
でも、うまくやるもんでなかなか
尻尾がつかめ無い。
まあ、アーロンに相談すれば
なんとかなるとは思うぜ?」
このアーロンという人物は警備隊の
副団長を務める男の名前である。
彼は脳筋
「そうか、じゃあよろしく」
「おう、任せときな」
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「というわけだ、アーロン」
「なかなか難しい案件ですね」
そう言って顎に手を当てて考え込むアーロン。
顔はどちらかというと良い部類に入る。
だだし、目の前にいる警備隊長のロベルトと
同じくガチムチの筋肉男だ。
見た目は筋肉だが、とてつもない切れ者である。
そのため隊の中では参謀の役割をしている。
ここは、警備隊の会議室であるが
2人がいるせいでやたら湿気と温度が高い。
「とりあえず隊員にマークさせておきましょう」
隊長と2人で具体的な方法などを決め、
隊員に指示を出した。
その1ヶ月後、事態は動く。
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その日は月に一度、行商人が来る日であった。
ローレンス領には海がなく、岩塩も取れないので
塩の入手先はこの行商人しかなかった。
いつもやっているいたずらに飽きてきたジオは
この日、塩を盗むことを決意する。
(よし、誰にも気づかれてない)
馬車から荷物を降ろし店を組み立て始めた
行商人を見ながら周りを確認する。
(塩がないことに気がついたら
どんな顔をするかな?)
その場を想像してニヤニヤと笑う。
行商人の注意が荷物から店の準備へそれる。
ジオはその瞬間を狙い塩の入った壺を盗む。
塩はいつも同じ壺に入っているので間違いない。
いつもと違ういたずらをしたことに対する
高揚感を覚えながらその場を後にする。
「よう、何をやってるんだ?」
不意に肩を掴まれ声をかけられる。
(馬鹿な、誰も気がついていないはず)
そんなことを考えながら後ろを振り返ると
そこにいたのは・・・
「ひっ!」
2つの筋肉だった。
正確に言えばが、たいの良い
筋肉モリモリの男が2人いた。
そう認識した途端周りの温度が
上がっていることに気づく。
凄まじい男臭さが辺りに漂う。
「少し、お話を聞かせてもらうよ」
そして、笑顔で近づいてきた2人は
ジオの両脇をがっちり掴むと
警備隊の隊舎へと向かう。
「や、やめろ!
何でこんな筋肉に捕まらなきゃ。
む、むさい、熱い、臭い。
誰か,誰か助けてくれー!」
そのままジオの姿は隊舎へと消えた。
村人の子供達によると
その様子はまさに地獄であったという。
更に、自分はあんな目に死んでも会いたくない
とも言ったそうだ。
翌日、
さらに子供達を恐怖させる出来事が起こった。
あんなに、いたずら好きだったジオが、
何度大人が言っても
いうことを聞かなかったジオが
いたずらをやめたのだ。
まるで人が変わったように
真面目になったにだ。
一体警備隊の隊舎で何があったのか。
ジオに聞いても何も語ろうとしない。
そこから子供たちは暗黙のルールを
作り出し、教訓とした。
「警備隊を怒らせるな」
今でもこの出来事は村の子供に
語り継がれている。




