第8話 熱愛ウンディーネ
ストロベリアの街。白い洋館。
「アタシ。トーマスと付き合うよー」
ミーズ。突然の交際宣言。
「えええ。キミたちって、そんな関係だったのかい?」
「びっくりです」
ラズとコアンは、驚きを隠せない。
朝食の食卓。
皆んなで、コアン特製のサンドイッチを食べている。
「俺、白リッチの次にミーズが好きなんだ」
元・イチゴ泥棒。使用人トーマスは、照れている。
イチゴ栽培係のミーズと、自分が食べたい分の白リッチを育てるトーマス。
一緒に白リッチを育てる中で、恋が芽生えたらしい。
イチゴ作りが、恋へと発展したのだ。
いい話だ。
「祝福するよ」
「おめでとうございます」
もう、結婚を祝う勢いだ。それくらい応援する。
「ラズさんとコアンさんの仲の良さを超えたーい」
「超えたいなあ」
はむっ。
ミーズとトーマスは、仲良くサンドイッチを食べる。
仲良きことは、良きことだ。
第8話 熱愛ウンディーネ
苺王国。苺王アストロ・ストローベリーズ。
ストロベリアの街に、王命を出す。
アナスタシア姫様の捜索依頼。
水精霊ウンディーネの“ガリ”の指名手配。
アナスタシア姫様は、水精霊のガリと恋仲になり行方不明になったという。
ストロベリアの街。農林大臣邸。
「聞いたかい。ラズくん」
「聞きましたよ。大臣」
新しく、ミーズが栽培した白リッチの箱を売る。
「100ゴールドだ」
「毎度ありがとうございます」
おカネをいただき、カバンにしまう。
おカネは、札束で、現金払い。
農林大臣は、貴重な常連客。手数料や魔法料は、加味しないお値段となっている。
白リッチは、半日で育つが、保管する氷の魔法料がかかる。
買い手と生産体制のバランスも必要だ。
氷の魔法使いでもいれば、コストを下げられる。
「指名手配された水精霊は、氷属性の魔法使いらしい」
「え。そうなんですか」
欲しい人材だ。安く雇用したい
そう、上手くもいかないか。
白い洋館。
「ご、ご、ごめんなさい。ラズさま」
「お、俺が悪いんです。ラズさま」
「悪気はないんだよー。ラズさーん」
サッとサッと、白魔法のホウキもせわしない。
コアン、トーマス、ミーズが総出で頭を下げる。
何か、“悪いこと”をしてしまったらしい。
「コアンをお仕置きすればいいのかな?何だい?」
ラズは、首をかしげる。
広間。
「あの、カッコいい商人!待ってたわ!」
赤毛の女の娘が、紅茶を置く。
「ワタクシの誤解を解いて」
「オイラが、アナスタシア姫様を好きなのは本当ダゾ」
アナスタシア姫様。
そして、指名手配中の水精霊のガリである。
突然、二人は訪問してきたという。
ストロベリアの街。中央イチゴ大農園。
そこの若い冷凍室係が、氷属性の水精霊ガリである。
ガリは、街に来ていたアナスタシア姫様に一目惚れしてしまった。そして、連れ去ったのである。
「犯罪だね」
ラズは、うなづく。
「好きになってしまったんダゾ」
「ワタクシは、強引に連れ出されただけよ」
「大好きなんダゾ」
「誘拐だね」
ラズは、トーマスに、すぐ警備兵隊を呼ぶように言いつける。
「ど、どうすればいいか。わからなかったんです」
「コアン。警備兵を呼ぶ。一択だよ」
コアンに手を差し伸べる。イチゴの香水が香る。
腕を引き寄せて、頭をなでる。コアンは悪くない。




