第4話 白リッチ
ストロベリアの街。白い洋館。中庭。
「この、空いてる植木鉢に、魔力の土と魔法の肥料を入れるんだよーう」
水精霊ウンディーネのミーズは中庭倉庫に案内する。
「魔力の土は、軽量化されてるけど、重いよーう」
「白リッチ栽培の巻き物です」
メイドのコアンは、白リッチ栽培方法が書かれた巻き物を持ってくる。
「俺は、すぐに食べたいんだけど」
トーマスは、今すぐ食べたい。
「半日かかるよーう」
「12時間かかります」
「あ、ああ。わかった。わかった」
トーマスは、空いてる植木鉢20個を使った。
たくさん食べたいからイチゴ泥棒になったトーマス。
用意したイチゴに、すぐ芽が生えたので、大喜び。
「すごいな。さすが、魔力の土だ」
感心する。
後は、ミーズが手伝うので、コアンは、ラズのもとへ戻る。
第4話 白リッチ
白い洋館。広間。
ラズは、一人で紅茶を飲んでいた。
「トーマスは、上手く栽培をはじめたかい」
「あ、はい」
「彼。白リッチを気に入ったので、おかしくなったらしいんだよね」
「白リッチって、現在の苺王が品種改良したイチゴですよね」
「うん」
苺王国の苺王アストロは、優れた魔法使い。
イチゴ愛好家として知られ、イチゴ嫌いな人も、イチゴが食べれるように、様々な品種改良をした人物。
イチゴ好きが当たり前の王国。
イチゴ嫌いな人もいるとは、思う。
それを、見捨てないのが社会だ。
自分が、イチゴ好きで終わらない。
白イチゴとかを作ってみる。
皆んなで、イチゴを楽しもうって精神、大切。
「トーマスは、イチゴ嫌いだったらしいよ」
「え、そうなんですか?」
「農林大臣に聞いたよ」
トーマスは、イチゴの赤いところが気持ち悪くて嫌いだったらしい。
白いイチゴの白リッチの存在を知り、食べたところ、イチゴに夢中になってしまったらしい。
心変わりだ。
「話を切り替えようか」
もう、トーマスの話はいいだろう。
「上手く答えられなければ、お仕置きだよ」
ラズは言う。最近、鳴りをひそめていた、お仕置きワード。
本当は、仲良く、優しくしたいのが本心だから、言わなくなってきたのかもしれない。
「キミは、イチゴと僕なら、どっちが好き?」
「ラズさまです!」
「良いね。解答の速かったキミには、ご褒美だよ」
ちゅ。
ほっぺたにキス。
ラズから、苺の香水の香りもプラスされる。
「うれしい…?」
「うれしいです!」
「本当かな。ちょっとは、迷惑とか思ってない?」
「思ってないです!」
「…なら、いいんだけどね」
ラズは、コアンの手をつかむ。
心ごとつかまれたように、コアンは感じる。
「イチゴが食べたいよ」
整えられたくちびるが、イチゴを欲しがっている。
ラズは、イチゴの話題で、自分がイチゴを食べたくなってきていたらしい。
ミーズの持ってきたままの食用の赤いイチゴを、一緒に食べようと言う。
「ご一緒に食べましょう」
「うん。食べよう」
笑顔になる、ラズ。無邪気な、お顔。
この男の人の自由さが好きになる。
やっぱり、苺王国の国民は、イチゴ好き。
赤いイチゴを前にしたら、食べたくなるものなのだ。




