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09 天空城決戦へ06

天空城北東方面、かつて観光名所として親しまれた名山が爆雷によりえぐれたこの荒廃では

阿熊の奇襲による自衛隊の抗戦が続いていた。

装甲車から辛うじて残っている戦車数台・改造した銃座搭載のトラックに至るまで砲撃が始まっている。

一部の隊員たち編成を組んで阿熊と白兵戦を繰り広げていた。

同じく自警団を始めとした各連合自警団もまた激しい戦闘を開始していた。

「北東部応援隊、本隊へと合流完了しました。ただいま残存小隊を再編成中です」

オペレータは霧島司令官に伝えると。霧島司令官はタブレットを手に取り現在戦力を確認する。

「編成を急がせろ。縄文寺んとこの自警団は?」

「現在、11時方向の敵勢力と交戦中、停滞しております」

モニターを確認する、そこには国立自衛隊・第二地方連合自警団を始めとした

残存小隊が苦戦を強いられている様子が映し出されていた。

「阿熊の注意を出来るだけ自警団に仕向ける様にしろ、ミサイル発射部隊は?」

「中距離ミサイル隊は現在本隊に無事追従、ですがサイドワインダー隊は戦闘によりステーの一部を破損。

サイドワインダー自体には問題がないようなのですが発射操作が困難極め、修理を必要とするようです」

そこに、副官が割って入る。

「サイドワインダーが生き残っていればいい。最悪、”手動”で操作するよう各員に伝えておけ」

それを聞いたオペレータは信じられないといった様子で息をのんだ。

「各隊員に告ぐ。良いか、発射ポイントまでは残り僅かだ。何としても天空城を取り囲んでいる木々と瓦礫で作られた

”巨大バリケード”を破壊し、本丸をねぐらにする阿熊どもに総火力を与えなくてはならん。

本丸さえ破壊すれば必ず阿熊の動きは――野生に帰るはずだ。

その後、掌握した天空城から大至急で港へ直行。対空システム群の奪還をせねば大陸軍の空襲によりここは焦土と化す。

失敗は全ての死、そのものである。全員、肝に銘じておけ!」

作戦モニターを見るともはや目標ポイントは目と鼻の先だった。


第11国立自警団第四小隊をはじめ、各自警団は自衛隊に負けず劣らず頑張っているようだった。

「モモ、セントリーガンの弾補給して!大至急!」

飛鳥は激を飛ばしつつモニターを見ながら対戦車ライフルを撃っていた。

「地獄~ここはじごくや~」

モモは半ベソになりながらも自身の命もかかっている為か我武者羅にバケツで弾を救い補充口へ流し込んでいた。

本来ならばモモはオペレータ席に座っているのだが今は縄文寺が代わりにスツールについている。

縄文寺はモニターを凝視する。そこには先行する自衛隊の作戦本隊がの様子が映し出されていた。

「もうすぐ、本隊が射撃ポイントに到達する。ミサイルが発射されたら、いいわね室町?」

「良いも何も、命令違反でも行くんだろ?!私らそろって敵前逃亡で自衛隊に背中に撃たれるんじゃないの?」

操舵席に座る室町はたくましい腕で舵を切りながら阿熊達を翻弄していた。

「他の小隊にはあらかじめ伝えてあるわ。何とか私達の隊だけでも合流して加勢しなければ。

でないと、あの人今度はマジで”あれ”使って自決するわよ」

モモはそれを聞いて恐怖する。

「ちょっとっ、そんなことしたら私たちまで巻き添えじゃないですか?!やっぱ、一度撃つと”タガ”見たいなのが

外れるのかなぁ?」

「多分今所持しているものは最も威力の小さいもののはずだから私達も防御態勢を取ればなんとかなるわ、

それでも天空城で起動すれば城と周辺は焦土と化す、あの人は刺し違えてでも本丸を落としに行くわ」

室町は思わず笑い飛ばした。

「国の重要文化財を核でぶっ壊すかぁ~世が世なら死刑百回じゃ足りないね」

飛鳥が銃の再装填をしながら縄文寺に問いかける。

「あの・・・なぜ、辰隊長はそこまでするんですか、ただでさえボロボロの状態に囮役まで押し付けられたのに」

ほんの少し、一呼吸おいて縄文寺は呟く。

「辰も、大戦と阿熊の両方に家族を奪われているの。大戦前からすでに両親も無くなっていたし・・・

あの人の人生も大概よ」

「あのオッサン・・・既婚者だったの?信じらんない・・・」

「私もよ・・・超失礼だけど・・・」

一同はここにきて土壇場での衝撃の新事実を知るのであった。


「甲斐さん、もう大丈夫なのか?」

辰は直接表現は避けたもののニュアンス的には”そう”くみ取れる質問をした。

作戦で嫁を失った件だろう。

「踏ん切り?けじめ?それとも未練か?そんなもん付くわけがない!」

甲斐は穴だらけのガンバスから狙いを定めつつ銃を撃って叫ぶ。

そして辰へと振り返り。

「だからとりあえずは背負って生きることにした。辰、それはお前も同じだろう?」

辰は思わずギョッとした。

甲斐には面と向かって伝えたことはなかったが、それでもある程度古い付き合いもあって悟っていたのだろう。

「ああ、そうだな、それは俺も同じだよ。なんにせよ、ありがとう甲斐さん」

甲斐は笑ってまた外の阿熊に向き直った。

そこに、車両の前方にいたルイが驚いた様子で鏡隊員に叫ぶ。

「おいかがみっち!ありゃなんだ、あんなん有りか?」

「不味ったな、まさかここまでとは」

鏡が落胆した様子で呟く。

一同の前方には瓦礫とジャングルのような樹々に覆われた、自然の防壁ともいえる壁が立ちふさがっていた。

「これは、噂には聞いていたが・・・こんなにひどいとは。全て城の周りを覆っているのか?」

甲斐も驚いて目の前の光景を見つめる。

「アイ、可能な限り分析してくれ」

”了解、分析開始します”

辰はそれを伝えながら、辛うじて無事なオペレータ席のモニターを見る。

ガンバス周辺熱源にはもはや反応は無く、その代わりおびただしい数の熱源が壁の向こう側に集中していた。

「クソ、どうもこの壁の向こうも地獄らしいな。どうするよ・・・」

辰がぼやいているうちにアイが分析結果を伝える。

”天空城周辺は樹木及び瓦礫により侵入は困難ですが

美術館跡地から城中央への熱源の動きがややあります、侵入できる可能性有”

「なら、善は急げだ。そちらに急いで周ろう!」

”お待ちください、第11国立自警団より入電有り”

突如無線が入り車内の生き残っているスピーカーから縄文寺の声が聞こえてきた。

”・・・・辰、第・・・隊・・・ガンツアー”

「縄文寺か?!どうだ俺はまだ生きてるぞ!それよりもそちらの状況は、今どのあたりにいる?!」

無線が混線しているのか、それとも機器の状態が悪いのかわからないが無線が途切れ途切れに聞こえる。

”ぼ・・・け・・・・・だから・・・・”

「ボケだって?!人が決死の思いで来てんのに舐めてんのかこのオバハン!」

こちらの声は届いたのか次に発せられた声は怒りに満ちた怒号だった。

”ミサイル!防御形体取りなさい、こんアホ!!!”

聞くや否や、一同はその場に伏せた。

その直後、車内のアラートが鳴り響きアイが伝える。

”ミサイル多数接近注意、着弾3秒前・・・2・・・”

「三秒?!」

言うや否や目の前防壁に多数のミサイルが降り注いでいった。


―――数分前。天空城北側約300m付近。

「目標ポイント到着、距離三〇〇、各ミサイル隊は発射準備急げ!!」

大型装甲車にいる複数のオペレータは急ぎ準備をした。

外で展開している編成されたミサイル隊もトラックの荷台が観音開きに開き、ミサイルが斜めにそそり立ってゆく。

サイドワインダーと呼ばれる、本来は戦闘機に搭載されるものに至っては自衛隊の隊員達が

危険も顧みず、括り付けた縄を運動会の綱引きのように引いて目標に向けて標準を付けていた。

霧島は、前方に広がる防壁に睨みを付けていた。

「・・・どうだ、白哉びゃくやの兄貴。陸の俺はここまでやれるんだ、海のお前に何が出来るよ・・・」

既に勝ち誇った顔をする霧島に副官はやれやれといった様子で見ていた。

「司令官、準備完了致しました」

「了解した。ミサイル第一陣が防壁破壊後、続けてすぐさま第二陣を放て。カウント開始しろ」

霧島はオペレータに伝える。

「了解いたしました。各員、これよりミサイル発射カウントを開始する、

発射十秒前・・・8・・・7・・・」

霧島は立ち上がり、僅かに顔を出す城の朽ちた天守閣にむけて呟いた。

「このクソ熊どもが・・・この地上の君臨するものが誰なのか・・・」

「3・・・2・・・1・・・」

「教えてやるよ!」

「今!」

散開する各ミサイルトラックから生き良いよく無数のミサイルが発射された。



「くそっ、何度目の神頼みだ?!」

次々に防壁に落ちる単距離ミサイル。

目の前からはもう訳が分からぬほどに激しい衝撃波・砂煙火の粉・様々な破片が飛び散ってきた。

辰たち一同はその場に伏せたまま、ただ事が収まるのを待った。

しかし、辰を始めとした面々はふと不思議に思った。

ミサイルはどうも天守閣に到達する前に爆破していってるのである。

しかし、それを確認することも出来ずに今はただ床に伏せ凌ぎきるしかない。

・・・やがて轟音が鳴りやみ、僅かに顔を上げると目の前は視界が悪いものの防壁はものの見事に半壊して

いる様子が見て取れた。

だが砂煙が収まらぬうちに、状況を確認した甲斐が驚いた様子で口を開く。

「・・・・・・・・冗談だろ?信じられん、嘘であってくれ」

一同は甲斐の様子をみて同じように砂煙収まらぬ城の方を見ると、

そこにはかつて白鳥と呼ばれ崇められた天空城とはかけ離れた、黒ずんだ半壊する煤だらけの天空城と・・・

この中腹、中より出土するドス黒い筒。

「間違いない、あれは大陸製ビーム兵器だ・・・」

到底阿熊には扱える代物ではないビーム兵器だった。

「さっきのミサイルはビームを拡散させて弾幕張って撃ち落としたのか?!」

垣間見えた大型ビーム兵器はうねりを上げながら方向を変え、北東を向くとチャージ完了の光を放っていた。

「ふざけんなよ?!そんなの使えんなら前もって言っててくれよ・・・・」

ルイの叫びも空しく、ビーム兵器は凄まじい音を上げ始める。

そしてかつての甲斐のガンバスと同じように高倍率ズームレンズのようなズームする動きを取った後。

北方面に展開する部隊や縄文寺達に向けて発射した。



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