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09 天空城決戦へ01

・・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

どれくらいの時間が流れたのであろうか。

それは少しかもしれないし、とても長い間かもしれない。

核砲弾は予定通りに着弾ポイントにて起爆した。

凄まじい衝撃波とまばゆいばかりの閃光、轟音。

地震・雷・火事がいっぺんにやってきたともいえる地獄。

辰たち一同はただ身を震わせながら時が過ぎるのを待った。

「・・・・・・・・」

ミサが恐る恐る顔を上げ、破れた装甲版から外の様子を確認する。

天まで焦がす黒煙の柱。

外は焼け焦げたような灰空、やがて大地に降り注ぐ黒い雨。

少なくとも、黒い雨が止むまではここでじっとしていなければならない。

ただ震えながら息をひそめて。

一同は既に極限状態が穂と切れたのか、それぞれ身を丸め浅い眠りについた。


眠りについたまま、数時間が過ぎた頃。

ザー、ザー。

「??」

辰は目を覚まし、遠くから無線の雑音のようなものが聞こえていた。

衝撃波による電波障害でスタンバイ中であったアイが自動復帰し、車内に突如としてアナウンスする。

”電波障害最低レベルまで回復しました。縄文寺本部長から入電が入っています”

「マジか?!応答しろ、今すぐに!」

辰は電気が走ったように飛び起き、痛みと疲労で鉛のように重たくなった体を無理やり起こして、スツールに着いた。

「いてぇええええ・・・・こ、こちら第5小隊ガンツアーズ、第1小隊か?!」

”・・・・・辰?!生きてるのね?そちらの状況は?”

無線から聞こえたのは、第一小隊の縄文寺本部長であった。

「縄文寺!心配したぞ!こっちはもう全員ボロボロの状態だ」

”よかったわ。核の確認もしてる。あなた達が任務を遂行したのね、よくやったわ。

・・・・・・私も共に十字架を背負うわ”

縄文寺の声は無線で聞き取れにくかったが、それでも疲労困憊の様子が聞いて取れた。

「お前は大丈夫なのか?阿熊の軍勢と遭遇して、そこから音信不通だったようだが」

”私たちは運良く予定よりも早い時間で合流した第二地方の自警団が助太刀に来たの。

でも戦闘での戦力減は避けられなかった、今はあなたと同じ命からがらよ。

現在は天空城よりの姫川市郊外に設営された陸自の作戦ベースキャンプにいるわ。”

(姫川市・・・寄りにもよってそんなところにベースキャンプ地とは・・・・)

辰はと姫川聞いて苦渋の表情をした、どうも彼にとっては因縁の土地らしい。

”いい?よく聞いて。今本部とも連絡がついてほとんどが地下壕へ避難していたので無事よ。

今こちらから作戦の救助団をそちらへ派遣するからそのまま待機していて頂戴”

「わかった、待機する。現在全員が負傷している、そのうちイルが重体だ。大至急で頼む」

”なんですって!!・・・・わかった、了解したわ・・・”

無線が切れた。辰は安堵からか脱力してそのまま床にうつ伏せになった。

「・・・おっさん、縄文寺本部長か?」

声をかけたのはルイだった、モニターに映る景色を呆然と眺めながら辰に問いかける。

「ああ、そうだ。もうすぐ救援が来る、安心しろ。それよりもルイ、お前は大丈夫か?」

「俺は大丈夫さ。・・・スマンかった、大事な時に力になれなくて」

ルイは辰に向き直り、柄にもなく申し訳なさそうにしていた。

「なにいってんだ。無事ならそれでいい。イルの様子は?」

辰はルイの傍らで眠っているイルの様子を伺った。

「薬が効いているから今は大丈夫だ。でも急いだほうがいい」

イルは依然として意識を失ったままだった。一同の心配が募る。

「・・・さて、これからが本番だな辰。今だ休息すら貰えんとは泣けるぜ」

後ろから突然声をかけたのはいつの間にか目を覚ましていた鏡だった。

手元の端末を弄っている。

「鏡か・・・お前タフだな」

「何言ってんだよ、本音を言うと痛み無く死にたいぜ」

鏡は疲れ果てた様子で答えた。

「それにしても、あの働き、戦いようはとても補給専属の動きとは思えん。もしかして元前線担当とか?」

鏡はギョッとした様子で慌てて言い訳する。

「ご冗談を、あんなもん後にも先にももうないよ。それよりもほら、迎えが来たようだぜ」

そう聞くと、遠くからわずかだがエンジン音が聞こえている。

最大望遠でモニターを見ると桜の紋章が入った救援隊の車両が写っていた。


ここは姫川市郊外にある元県立総合病院。

だがそこは今、陸自の作戦最前線ベースキャンプへと変貌していた。

「辰、イルは?」

「今手術室にいる。ベースキャンプが病院とは不幸中の幸いだよ、何とかなりそうだ。

念のため、ミサとルイも一緒に治療している」

辰は縄文寺と共に病院の片隅にある待合室のようなところでソファーに腰かけていた。

「よかったわ、でもあなたはどうなの?もうボロボロじゃない」

縄文寺は変わり果てた辰を半ばあきれた様子で眺めていた。

「俺はいいんだよ、動く分だけまだマシだろ。しかしまあ、こんな形で生まれ故郷に戻ってくるとは。

ホント姫川に来るとロクなことがない」

「それだけは同感だわ」

二人ともそろってため息をついた。

「それはそうと、作戦は予定通り行われるのか?」

辰は縄文寺に尋ねる、すると縄文寺の表情が険しくなり辰の目見つめて答えた。

「・・・それが、予定よりも早まるらしいの。大陸軍の動きがこちらの想定を上回っている。

”連立”自衛隊は何としても姫川市に設営されている防空システムを取り返したいらしいわ」

「陸、海、空まとめた連中・連立自衛隊・・・こっちの気も知らずやりたい放題だな・・・」

辰がそう言って不貞腐れているところに遠くの廊下からこちらに向かって迷彩服姿の兵隊が数名

やっていた。

「第五地方自治体連合自警団、第5小隊の隊長は?」

「俺だ。何用よ?」

隊員の一人が無機質に問いかける。

「作戦司令官、霧島本部長より出頭命令が出ている。至急同行していただきたい」

それを聞くや縄文寺が兵に反抗する。

「・・・・・・けが人ですよ!?自警団に用なら代表で本部長である私がっ・・・」

「縄文寺本部長、貴方も共に来ていただきたい。今後の作戦についての伝達事項もございます」

「!!!」

縄文寺も驚いた。作戦についてはあらかじめ聞いているものの作戦司令官の霧島に

呼ばれるとなるとただ事ではない。

「・・・・・・いこうぜ縄文寺」

「辰・・・」

辰は立ち上がり、迎えに来た隊員には目もくれず一人廊下を歩きだした。


「さあ、早く来いよ。俺はもう早くクタバリたいんだ」

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