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07 スプリングタウン04

第11国立自警団・第四小隊ハイアマゾネス・ガンバス車内。

飛鳥あすかは右舷をターゲットに、桃山ももやまはセントリーガンの補充を急いで!」

ガンバス車内では血気盛んな女性達の罵声が飛び交っていた。

「先輩、CD群の補給口ってここでしたっけ?」

桃山と呼ばれたまだ幼さの残る少女は電磁弾を詰め込んだバケツを持って狼狽えていた。

「モモ!違うって、そこはEF群!反対のパネル側面、その座席の近く、ああ、もう!」

コンソールを片手にモニターを交互に見ながら、慌ただしく動き回る飛鳥が指摘する。

「おねいさんたちっ!早くしないと接近するよ!」

声をかけてきた操縦席側では20代と思しきスタイリッシュなショートヘアのパンクガールが操縦桿を握りながら

片手で遠隔操作し、フロントバンパー搭載されているカノン砲を操って射撃している。

室町むろまちさん~弾補給代わってくださいよ~重労働すぎ・・・」

「モモ、あんた若いんだからもっと頑張んなさいよ!花の十代でもやんなきゃ死ぬわよ」

「トホホギズ~てか室町さんもまだ”ギリ”20代じゃないですか~」

「”ギリ”じゃないよ、ぶっ飛ばすよ!」

室町と呼ばれたパンクガールは操縦桿をグインとひねり、車体が大きく揺れ一同はどよめいた。

「ちょっと、室町。もうちょっと抑えてよ」

室町のすぐ後ろのオペレータ席に座っていた第五地方自治体連合自警団本部長、

現・第四小隊隊長・縄文寺弥生が窘める。

「やなこったね、元隊長が急に戻ってきたとたん”これ”なんだよ。

本部長ってのは囮の仕事でもしてんの?!」

「悪かったわよ、でもろくにメンバーも入れずによく頑張ってここまで回せるようになったわね。

国立管轄でも私に陳情さえしてくれれば直ぐに新しい隊員の手配はできたのに」

「どうせここに来たがるのはいかがわしい”野郎”だけだよ。でもまあ、またあんたと仕事ができて嬉しいよ隊長」

「そう言ってくれると助かるわ室町。今しがた、うちのところから第5小隊が到着したわ。

補給を済ませてきているからフルで応戦できるはず。何とか巻き返しましょう」

弥生はそう言うとコンソールを叩きオペレータ席を離れ床に置いていた短機関砲を持って飛鳥の近くの射撃口へ突っ込んだ。

射撃カメラモニターをオンにする。

「飛鳥ちゃん、お待たせ。一人でこれだけの数をこなすなんて中々のガンオペレータね。国立よりウチに来ない?」

「隊長・・・ちゃん”付”はやめてください、これでも”レディ”ですよ私は」

「あら失礼」

「給料安いので遠慮します」

「あざといわね・・・ウチには国立には無い”自由”があるわよ」

そう言ったとたん凄まじい射撃音を立てながら弥生は敵を撃ち始めた。

薬きょうが凄まじく飛び交い床に落ちては薬きょう用のダスト口へと流れ落ちて行く。

「でも、何でしたっけ。たまに話に出てた第五小隊ガンツアーでしたっけ?頼りになるんですかあの人たち」

モモがセントリーガンの弾薬を補充しながら弥生に尋ねる。

「大丈夫よ、彼ら、特に辰とルイはあの大戦最中から捨て身で戦って生き残ったやつらよ

まあ、野盗めいた事もやってたから私が声をかけなきゃ今頃どうなっていたことやら」

「ゲ、マジ?あのちょっとオタクっぽいオッサンが?黒人ハーフの小僧と一緒に?」

それを聞いて室町がおもわず振り返った。

「今は小僧も良い”野郎”になったわよ。そんなことより、阿熊が”銃”武装で来たのは今回が初めてね?」

「はい、私達も驚きましたが前もって伝達がありましたので・・・」

飛鳥はコンソールを叩き、モニターに弾幕システムを映し出した。

それぞれの専用レーザーセントリーガンが向かってくる砲弾を撃破する様子が映し出されている。

「・・・上々ね。これなら何とかなるはず」

「隊長、私らスプリングタウンの連中の噂話を聞いたんだけど・・・あれ、マジなの?」

「それは・・・さっきも辰達に言ったけど、生き残った後で話すわ。

ただ、今言えるのはそろそろ覚悟を決めなきゃいけないってこと」

弥生はそう言うと唇をかみながら再びモニターを凝視し、射撃を続けている。

「マジか・・・マジか・・・」

室町は呟きながら作戦中にも関わらず途方に暮れるのであった。


「基本的にはライフルのような精細に射撃するようなものは装備してないのな、グレネードやロケット弾ばっかりだ

射撃といっても限界はあるらしい。見たことないような代物だが・・・阿熊の手がデカいゆえに再装填が極端に遅いのは救いだな」

辰は電子双眼鏡で重武装の阿熊を入念に観察する。

戦いの最中でも阿熊達の装備の解析に余念がなかった。

ミサが映像をクリアにして、銃の解析をAIのアイに指示している。

”解析完了しました。大陸軍正式採用中距離グレネードランチャーMGMーA1、海賊版を含みます”

「大陸製・・・オッサン、これは・・・」

「まあ結論はともかくとして、俺らはいよいよ覚悟を決めなアカンってとこまで来てるってことだ。

それはそれとして、今はこの修羅場を生き残らな話にならんしな」

辰はそう言うと減ってゆくセントリーガンの補給口にバケツを傾け補給を続けた。

「マジか・・・マジか・・・」

ルイが呟きながら途方に暮れている。

「シャキッとしなさいよ!死んじゃうじゃない」

イルがルイにハッパをかける、が。

「シャキッて言ってもどうするよっ?!もうこっちの車体装甲もすでに40パーセントの被弾率だぜ?

まだ来て10分ぐらいしかたってねーのに」

「ほら黙って撃つ撃つ!」

ミサがブツブツ呟くルイの後頭部を掴むとグイっとモニターへ無理やり振り向かせた。

口を開けた大きな阿熊が面前にデカデカと映し出される。

「ひぃー-!」驚きのあまりたまらず尻もちをつくルイ。

「くそっ来んボケが」

辰は床の単装砲を拾い上げ側面のハッチを手動オープンすると阿熊に向かって撃ちまくった。

「ねぇ、もういい加減に阿熊も逃げ出すのが普通じゃない?どんだけドンパチやりまくって死人が出てると思ってるの」

「アイツらも銃という”力”を持ったせいで引き際がわからなくなったのかもしれん」

イルの悲痛な叫びに辰も焦りを隠しえない。

「とりあえず弾幕を止めるな!止めたら即座に狙われるぞ!」

ビィ―、ビィ―!

コールが鳴る。

”辰、大森だ。守備はどうだ”

「大森さん、もうそっちに着く。弾幕は?」

”持って後3分ほどだ”

「ヤバいな、可能な限りそちらに寄りたいがが敵の猛攻が凄まじいから寄るに寄れん。

隙をついて俺が単独で弾薬を持ってバイクで走ろう」

辰は直ぐに準備に取り掛かろうとするがそれを大森が制止した。

”ちょっと待て辰、こっちからドローン搭載してる小型連結トレイラーを切り離してそっちへ回す。

それに弾をシコタマ積んでくれ、機動力が高いから的にはならんだろ”

「トレイラー?オートで自走できるのか」

辰はモニター越しに大森に尋ねる。

”いや、自走は出来るがオートは無理だ。

でもドローン操縦席も兼ねているからこのまま喜美江に運転してもらう。喜美江、準備はいいか?”

大森は娘の喜美江に指示を出し、喜美江はオペレート席を離れ急いでガンバスの非常ハッチに繋がるトレイラーに向かった。

”ガンツアー、ミサちゃん誘導ビーコンお願いね”

「了解よ喜美江ちゃん、でも大丈夫なの?」

”私は大丈夫です、急ぎましょう”

操縦席に着いた喜美江はガンツアーズの通信モニターに向かって無表情でVサインをした。

”よし、ガンツアー準備はいいか?”

「距離はオーケー、誘導ビーコン起動」

大森は席を離れ、大きなレバーを傾けた後射出ボタンを押した。

”ロンチ!”

ガンバスを離れトレイラーは一直線に向かってガンツアーへ走り出した。

だが、阿熊はそのトレイラーを見逃さなかった。

”おい、あれ見ろ!なんやヤバいのが走り出したぞ。あれだ、あれに向かって撃ちまくれ!”

阿熊達は一斉にグレネードランチャーを発射しまくった。

「イル、トレイラーを守れ!弾幕だ!」

「もうやってるって!」

辰が発するよりもイルのコンソールさばきが一枚上手で、セントリーガンはグレネードを瞬く間に撃ち落とした。

”イルちゃん、ナイス”

「どう、喜美江ちゃんあたしも中々やるでしょ」

「くそっ、イルの奴いつの間に・・・やるじゃない!」

辰はわざとらしく悔しそうにイルを睨んだ。

「イルに対抗心燃やしてる場合じゃねーよオッサン。熊どもに向かって撃てよ!」

「わーってるよ!オラぁ!」

辰はバツの悪そうに射撃に戻るのであった。


トレイラーは危機一髪であったがガンツアーズの元にたどり着いた。

ビーコンに従い、ガンツアーズの非常ハッチに接続する。

「毎度。弾くれ、弾」

喜美江がトレイラーからガンバス車内に台車を持って入ってきた。

「喜美江ちゃん、無事だった?」

「私は大丈夫、それよりも弾・・・を・・・・」

喜美江がそれとなくガンバスに映る前面のモニターに映る自身の乗るガンバス、イエローサインに目をやったとたん。

―――ロケット弾が直撃した。

ゴウゴウゴウとたちまち火柱と黒煙を上げ始める。運転席の方だ。

「嘘・・・」

さらにそこへ続けざまにロケット弾やグレネードが着弾する。

ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

次々に、無慈悲にガンバスへと着弾する。

凄まじい爆撃によりガンバスはエンジンもろとも破壊されやがて大爆発を起こした。

「全員伏せろ!」

辰の悲鳴じみた命令も喜美江は突っ立ったままであった。

「喜美江ちゃん!」

ミサが喜美江を胸で抱き床へ倒れこんだ。

大爆発の衝撃波により阿熊達も倒れこんだ。

「嫌!嫌!おとうさん・・・・・・・・・おとうさーん!」

喜美江の叫びがミサの胸の中で響き渡った。


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