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07 スプリングタウン03

「どうなってるんだ・・・まるで修羅場じゃないか」

ガンツアーがスプリングタウンに到着するころにはそこはすでに激戦区と化していた。

転がる阿熊の死体、人の死体、燃え盛る車両、凄惨とした光景にただ驚きを隠しえなかった。

「各員マジで警戒を怠るな。アイ、作戦回線はどうなってる?」

辰は目の前に広がる阿熊と自警団との激しい戦闘に唖然としながらガンバスAI、アイに尋ねる。

”現在、作戦回線はオープンになっております。スプリングタウン付第11国立自警団は現在会敵より32分経過の模様”

「こちらも作戦周波数を合わせて回線オープンにして信号を送ってやれ」

「すでに攻防戦が始まってんのか?まずいぜおっさん・・・」

ルイは舵を切りながら辰に不安を訴えかける。

回線をオープンにしたとたん、スピーカーからは凄まじい怒号や叫び声、指示が飛び交う声がなだれ込んできた。

「くそっ、イル、ミサ、動体及び熱源索敵レーダーopen、全砲門セーフティ解除、

セントリーガンは向かってくる敵を優先しろ。ルイ、速度は徐行を維持しながら国立自警団の砲撃方向から外れた進路を維持、

阿熊の動向を常に注力―――」

辰が各指示を出す最中回線に連絡が入る。

”そこの2時方向のガンバス、聞こえるか、応答しろ!”

「こちら、第五地方自治体連合自警団・第五小隊ガンツアー、本部長指示により応援に駆け付けました。

現在の指揮者は―――」

ミサが応答するやいなや相手は凄まじい怒号を浴びせた。

”来るのが遅いボケが!しかも女かよっ、こっちの大将も女やしホンマなめてんな。

とっとと早よ撃て、殺せ、こんダボ!俺らにあてん(ガ―――)”

「な、なんなのこいつら・・・わざわざ来てやったってのに」

ミサは突然の叱責に無線モニターを見ながら目を丸くした。

その時だ。

”緊急!頭上注意!”

AIアイが突然アラートと共に警告する。

「伏せろ!大至急!」

辰が叫ぶと同時に前方モニターには爆炎を上げながらバウンドする国立自警団のガンバスが映し出される。

「冗談だろ?!!か、神様~」

全員が一斉に物下に伏せる、ルイは伏したまま手を組み弱々しく祈った。

撃墜されたガンバスは幸いにもガンツアーズの上を通過、そして後方に過ぎ去った後に大爆発した。

”北播磨第2小隊轟沈”

アイはそのまま戦況を伝えだす。

”現在、第1・第4・第7小隊交戦中、第5・第16小隊車両大破、第11小隊より救難信号有り、

第五地方自治体連合自警団作戦群、第3小隊、第15小隊交戦中。第8・第9・第12小隊轟沈

死者・負傷者多数”

「ヤバいよ・・・もうボロボロじゃないっ!これ生きて帰れんのっ?!」

イルはモニターを引っ張り出して、装備した機関砲の銃口を側面の射撃口に突っ込みながら呟く。

「いきなりここで死んでたまるかよっ・・・え、大森さんのとこも来てんのか?!

アイ連絡を取ってくれ、急いで応援群に合流しよう」

「オッサン、それよりも、国立自警団の方見てっ!」

ミサはモニターを拡大しながら突然辰に向かって叫んだ。

「ミサわかってる。でも今は第五うちのほうが先だ、タウンの連中はあいつらでなんとか・・・」

と辰は言いかけたところでモニターに映ったシルエットを見て、たちまち表情を強張らせた。

顔は見る見るうちに血の気が引いてゆく。

「おい嘘だろオッサン・・・夢でも見てんのか俺達」

同じくルイもモニターを見た途端、信じられない様子で絶句した。

イルも射撃を中断し、拡大されたモニターを確認して言葉を失った。

「信じられん・・・・・・・阿熊が銃を撃ってるだと?!」


銃と言っても小型のバズーカ砲というのか、グレネードランチャーというのか。

そういったものを阿熊達はガンバスに向かって撃っていた。

もちろん、槍や大盾を持った阿熊がいたがその後方には何匹もの阿熊が銃らしきものを持っている。

「なんかの間違いだろ?!こんなの、こんなんじゃ、力の差がっ」

ビィ――――――!!

車内に響き渡る凄まじい警告音。

”緊急、ロックオンアラート、ロックオンアラート、ロックオ・・・発射確認”

アイが発するや否や。

「全セントリー群、ロックオン方角に集中!弾幕張り!ルイ舵切目一杯引け!」

「間に合えー---!!」

ガンバス側面の全ての砲門が一斉に向かってくる飛翔体に向かって射撃を開始した。

ダダダダダッ、ドンッ!!

間一髪、車体を目前にして飛翔体は横からの射撃に撃たれ爆破した。

”ガンツアー、大丈夫か?!”

「その声、大森さんか?スマン助かった!」

辰達を救ったのは援護射撃は大森達第3小隊イエローサインだった。

イエローサインのガンバスはすでに車体の至る所が傷だらけで一部は装甲板が剥がれ煙を上げている。

”現状は御覧の有様だ。早くうちの近くに来て張ってくれ、もう弾も持たん”

「了解だ、すぐ向かう。こちらは先程補給を受けてきた、直ぐに弾をまわそう。ルイ、大至急だ!」

「わかった!」

ルイは苦渋の表情を浮かべながら急いで舵を切る。

”後、スプリングタウンに会合に行ってた縄文寺が急遽”古巣”に戻って作戦指揮をしてる。

あの第4小隊だ。連絡を取ってみてくれ!”

「マジか?!アイ、第11国立自警団第4小隊に連絡を―――」

”了解”

アイは第4小隊にコンタクトを開始した。すぐに応答が入る。

”ガンツアー!ちょっとあなたたち遅刻よ!”

「スマンな、渋滞に巻き込まれていたんだ。そんなことよりあの阿熊達はどういうことだ!?

今、うちに撃ってきたのは間違いなく誘導性のあるロケット弾だぞ?」

辰は血相をかいて縄文寺に問いかける。

”それについては無事生き残ったら後で詳しく話してあげる。それよりも重要なのは今を生き残ることでしょ!”

「くそがっ!イル、とりあえず中距離、遠距離の単装砲と速射砲は全部銃を持ってる阿熊へ向けろ!

近距離はセントリーガンのみで対応するしかない」

ガンツアーは走行しながら銃を持つ阿熊へ向けて砲撃を開始する。

そこへミサが声をかけてきた。

「ねえオッサン、本部長って元々自警団なの?」

辰はモニターから目を離すことなくミサの問いに答える。

「ああ、自警団の狂戦士バーサーカー、女だけで構成された第4小隊ハイアマゾネス、そしてー」

一呼吸置いた後。

「俺を自警団に引き込んだ張本人よ」



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