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06 第一地方自治体自警団08

甲斐はホバーバイクのアクセルを目いっぱい吹かすと方向を急速に愛州馬庵ガンバスへ向けた。

勢いで辰は振り落とされる。

「止めろ、行くな甲斐さん!」

地面に伏しながら懇願する辰を尻目に甲斐は目を見開き、鬼のような形相で敵に向かって行った。

「甲斐―!!」

”オッサン、MINIMI再び発射体勢、ひぇぇえこっちにロックオンしてやがる!”

「イル、セントリーガン全群右舷に向けろ!ルイはそのまま阿熊の群れに向かって車体を走らせ

間に障害物を作れ!」

愛州馬庵ガンバスのMINIMIの大きな砲身がグイグイ動きガンツアーに向けて動きを固定した。

「死ねガンツアー共!!」

若い隊員の叫びと共にバンッっと大きな破裂音が鳴るとMINIMIの砲身から一気にミサイルが

光を帯びて飛び出した。

「間に合え!」

ミサイル目掛けガンバスのルーフセントリーガンの砲身が小刻みに動き、次々に撃ち落とす。

しかし、ミサイルの大群はその弾幕を掻い潜ってはガンバス目前まで幾つも迫りくる。

車内武器兵器コンディションモニターの残り弾数が見る見るうちに減り、危機的状況が最大値となった。

”セントリーガンA群~D群残数10%・・・7%・・・4%・・・2%・・・・・・**%”

”セントリーガンE群~H群残数14%・・・9%・・・4%・・・2%・・・・・・**%”

**%の表示と共に警告ブザー音が鳴り、モニターの文字が真っ赤になった。

画面には”CRITICAL”と表示されている。


「だ、大丈夫。なんとか、打ち落とせた。でももう次は無いよオッサン、どうするの?!」

イルが悲痛な声を上げている。が、そうもしている間に甲斐が門戸達を射程に捉えていた。

ホバーバイクにまたがったまま、小型単装砲を腰に携え射撃を開始した。

「くそっ!死ね死ね死ね!畜生が!」

だが、無情にももう一台のガンバス、エターナルキャンセラー搭載機に阻まれ弾は車体に当たることなく

明後日の方向に消えてゆく。

「ふんっ、馬鹿が。この大陸きっての最新兵器の前に無駄なことを。皆さん、アイツも送って差し上げなさい」

「各隊員、前方の自警団に集中砲火だ!」

門戸達のガンバス各銃砲が一斉に第一地方の自警団や猛攻を続ける甲斐に向けられた。

「ああ、まずいっ、甲斐さん逃げろっ!」

「クソクソクソ、クソッたれ――――!!!!」

甲斐が銃撃を止め、半ばあきらめた顔で呆然と前を見つめた。


「オオオオォ!そうはさせんぞ!」

甲斐と門戸のガンバスの間を割って入るように現れたのはでたらめに装甲板を付けたトラックに乗った洋太である。

「第一小隊・甲斐隊長、それではいけませんよっ」

トラックの荷台側に乗っていたユニトが他の隊員たちと飛び出し、弾幕を張りながら甲斐の援護に入った。

「やかましい、俺のことなど放っておけ!」

甲斐は涙ながらに叫んでいた。

トラックをバリケードにして降車した洋太が甲斐に歩み寄りながら声をかける。

「甲斐隊長、全ては俺たちの不手際が起こしたこと。命に代えても始末をつける!」

「そんなこと言ってるんじゃない!死ぬことになるなんて誰にでもあり得ることなんて最初からわかってる、それが自身の嫁であっても!

俺はこの戦い全てが憎いだけだ!連中も、阿熊も、もう全てが!畜生!畜生が!畜生が―――!」

「隊長・・・」

洋太は横目で見ながらただ銃を撃つことしかできなかった。


「くそっ、アン!そこをどけ!」

「馬鹿がっ、こんなんでくたばってたまるかっ!」

辰も取り急ぎ助けに向かおうをしたがアンに行く手を阻まれていた。

アンは先程のLZR砲で体半分血が噴き出し、肉がただれている。

「ど、どうするオッサン、もう武器もねぇなあ、ねんぐのっ、納め時だ」

アンは片手に持っていた斧を辰に目掛けて振り上げた。

「武器ならあるだろっ、ここによぉ!」

辰はアンに向かって駆けだし、両手でファイティングポーズをとった。

「はははっ、あほかい、勝てると思ッとンのかい!」

アンが斧を振り下ろす。

だが辰は寸でそれをかわし、そのままアンの懐に飛び込んだ。

「オオオオォ!!」

辰は一心不乱に拳を振り上げ結構な身長差があるにもかかわらず顔面に向かってパンチを交互に打ち込んだ。

「ぶぶっべふっ!ぐふっ!」

アンはたまらず地面に倒れこんだ。辰はアンに馬乗りになり傍に落ちていた長い金属片を持って振り上げる。

「死ね!」

「・・・・・・お前がなぁ!」

アンも渾身の力を振り絞り、辰の顔面に目掛けてストレートをぶち込んだ。

が、それと同時に辰の凶器もアンの口内へ突き刺さる。

「がはっ、おまえ、まじで、にん、、げんかよおっ・・・ごり・・・あ、あとはたのっ・・・」

アンはドバッと吐血して辰にかけるとそのまま果てた。

「グッ、グッ・・・・・こ、こりゃあ・・・・・生きてんのが不思議なぐらいだ。早く、甲斐さんのとこに・・・」

辰はフラフラになりながら身をかろうじて起こすと甲斐達のところに歩き出した。


「みんなヤバいよ、またMINIMIが動いてる!」

MINIMIがまたもや狙いを定め、甲斐達の方へ砲身を向けた。

「くっ、万事休すか!」

相手のガンバスから拡声器で声がかかった。門戸である。

「残念だったな、松井隊長。下手な正義感など持つからこうなるのだ。特に日本人はな!」

MINIMIが発射される、洋太は前をまっすぐ見据えて覚悟を決めた。

”勘違いするな!第一地方自警団の松井隊長とはこの私の事だろう!”

ドカンッ!

突然、門戸のガンバスに周りが錆やら金属むき出しのゴツゴツしいガンバスが突進してきた。

脇から現れたのは先程まで姿が見えなかった第二・第三小隊隊長、老兵松井だった。

ボロボロになったガンバスに乗っているようだ。

「じいちゃん!」孫である洋太が叫ぶ。

”やはり血筋だな、よもや同じ作戦を考えていたとは”

”洋太~わしもおるでな”

「黒田のじい様までっ・・・・駄目だそんなことしたらっ」

門戸のガンバスはすぐさまMINIMI迎撃をとろうとしたが、

あまりにも距離が近すぎるため射撃すると爆風によりこちらにも危害が及ぶためたじろいでしまう。

「くそっ、距離だ。距離をとれっ」

”そうはさせんぞ~”

黒田の声と共に老兵のガンバスあちこちからワイヤーにつながれた金属が飛び出しそれぞれの車体にガッチリくっついた。

「おいなんだこれはっ!状況を確認しろ」

突然のことにモニターを見ていた門戸達の慌てふためく声が聞こえる。

”私らがずっと黙って過ごしていたと思っていたのか門戸!?すべては今日この日のためだ!”

”わしらは研究しておったのよ、おまえらの兵器のことをな!”

繋がれたのは磁石の様である。やがて松井のガンバスから強烈なモーター音が辺りに響き渡った。

「じいちゃん?何を・・・」

「洋太、すまんかったなぁ、お前はお前なりにずっと頑張っていたんやな。

これからも自警団の皆さんと一緒に日本を取り戻すために頑張るんやで」

「洋太君、また豆摘むの手伝ってくれやっ、あの世で待っとるけんの」

「黒田のじいさま・・・?じいちゃん・・・何をやってんだよ!」

松井のガンバスのあちこちから稲妻のような電流があちこちに出現した。

「あ、これヤバい奴っ。門戸様、今までお世話になりました!」

「夏冬っ!どこに行くっ!?」

夏冬は緊急用レバーを引いてハッチを開くと脱兎の如く駆けガンバスを下車し、

そのまま外から手動ロックをかけ目にも止まらぬ速さで逃走した。

「自警団一同、全員伏せろ!大至急だ!」

フラフラなりながら事態見ていた辰が喉が裂けるほどの声で全員に向かって叫んだ。


”―――なんでこんなことになるんだろうね”

誰かの声が聞こえた気がした。

刹那、ガンバスは強烈な稲妻を発し周りのバスもろとも爆発した。


やがて辺りは静寂に包まれた。

阿熊達は逃走し、暴走ハイロイドはマスタープロデューサー登録の門戸が死んだことにより機能停止した。

反旗を翻していた愛州馬庵の残存隊員も門戸が死んだのを機に諦めたのか武器を捨て投降を開始する。

戦場の片隅ではボロボロになった辰や甲斐、洋太が黒煙を上げるガンバスを見つめながら呆然自失になっていた。


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