表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/42

06 第一地方自治体自警団07

「くそ、いったいどうなってるんだ!?応戦だ!応戦しろ!」

突然の出来事に門戸は狼狽し、夏冬に命令した。

「あ、あなた達早く行きなさいー!こっちのガンバスで迎え撃ちなさいよ!」

「迎え撃つって言ったってどっちを狙えば・・・阿熊も来てんだろっ!?」

愛州馬庵アイスバーンの若き隊長と思しき者は場数を踏みなれていないのか、

周りの様子にただ翻弄されるのみだった。

「どっちもやりゃーいいんだよ!あなたたちのガンバスはそれだけの武装してるでしょーに」

「くそ、お前ら来いっ!後、無線でガンオペに弾幕張れって言え。間違っても俺らにあてんなよ!」

隊長たちは走って自軍のガンバスへと向かおうとした矢先、手前の地面に無数の弾が着弾した。

砂煙がたちまち辺りを包み込む。

”こちら、第二地方連合自警団第一小隊だ!大人しく武装解除し、投降の意思を示せ!

後悔するような真似はやめろ!”

向かった先ではすでに第一小隊ガンバス・リバーが待ち構えており、

一団に向かってセントリーガンを威嚇射撃していた。

「阿熊もいんのに武器が捨てれるわけねーだろっっ!お、お前ら撃ちまくれっ」

隊員たちは慌てふためき散開し、ガンバスへとライフル射撃を開始した。

「まあ、素直に応じる訳ないわね。いい?

セントリーガンはCD群のみ威嚇射撃に使って、残りは全て阿熊へオートロックさせて」

「了解っス」

第一小隊ガンバス内ではオペレータの美生がアイスバーン一団をモニターしながらコンソールを操作していた。

生野兄弟たちはガンオペレートやバスの射撃口から阿熊を中心に砲撃を開始している。

「おい、兄弟よ。阿熊ん中にひときわデカいものがおるぞ」

「げっ、あいつ辰から聞いたアンってやつじゃないか?栗毛のデケーやつ」

生野の見るモニターにはアンと他の阿熊達を雄叫びをしながらあちこちの隊員やバスへ向かって突進していた。

「おら出てこいっ、オッサンよ!せっかく来てやったんだから酒の一つでも出して歓迎しろよオラぁ!!」

アンはそう言うと手に持った大きな斧でそこいらの隊員をなぎ倒した。

ともすればホバーバイクに乗った辰が飛び出てきた。

「ご指名とあればいかん訳にはいかんなぁ!メッサ―トマホーク!」

”有効時間40秒”

音声と共にガコンッ!と後方に備え付けていたトマホークのロックが外れ、辰は持ち手を握ると

バイクをフルスロットルでウイリーさせ、そのまま車体を蹴って飛び出しアンに目掛けてトマホークを振り下ろした。

「なめんなよっ!人間風情が熊に勝てると思ッとんのかい!」

ガンッ、ガンッと刃が交錯する度に無数の火花が舞い上がりたちまち辰とアンの一騎打ちが始まった。

「馬鹿ッ、何やってんのよオッサン・・・遊びじゃないんだよ!」

ミサは舞台の方からオッサンの鍔迫り合いを呆れながら短観していた。

そこへ夏冬がグッっと腕を掴んで引き寄せようとした。

「さあ、あなたはこっちへ来なさい!結婚式の続きをしましょう」

「おお、そうだった。さぁミサ嬢、早く安全な所へ」

門戸は拳銃を構えながらミサに近づこうとしたそのとき。

ヒュッ!と素早い回し蹴りが門戸の眼前をかすめた。

「ひえっ!」

「ユニト、あなた大陸の命令コードを無視する気?!」

の問いかけにユニトは何らためらうことなく門戸達に言った。

「コード018に修正命令がありました。暴力・脅迫などの脅威排除をレベル8までに拡大とのことです。

なお、マスタープロデュースは第一地方自警団・松井洋太に移行されております」

「くっ!誰だコードを書き換えたのはっ!も、もういい行くぞっ」

その時、舞台へと洋太と他の隊員が取り急ぎ駆け付けた。

「門戸!武器を捨てて投降しろ!」

「い、今更。反逆者になったお前らをあの自警団の連中が救ってくれるものか」

「さあ、それはどうかな?ミサさん、9時(方向)!」

「9時?!」

ミサが9時方向、つまりは左向け左するとそこには

ホバーボードで宙を滑走したまま逆さまになり、下の阿熊達に向かって両手でライフルを撃つイルがいた。

そのままこっちへと向かってくる。

「イル!このっ・・・離せボケッ!」

「ホゲッ!」

夏冬の顔面に鋭いフックを浴びせたミサはそのままスカート持って身を翻し、中央の回転ベッドへ向かって走り出した。

「ミサー!飛んでー!」

イルは両手のライフルを捨て、大きく弧を描きながら身を立て直すとそのまま手を広げてミサに向かっていった。

「イル!」

ミサは大きく飛んでイルの身体に抱きついた。

「ごめん、ありがと」

「無茶してない?」

「別に、全然大丈夫。イルの方が心配」

「私は大丈夫、だってあなたに鍛えられたんだもの、双子のお姉さん」

二人はそのまま大きく反転して、空を優雅に滑空しながらガンツアーへ急いだ。


既に第一地方の拿捕したガンバスに乗り込んだ門戸と夏冬はモニターを見ながら周りの隊員に当たり散らす。

「く、くそおぉおお、お前ら撃て、撃てっ、撃ち殺せっ、ぶぶ」

夏冬は自身の手中にある第一地方ガンバスへと向かいつつ迫りくる阿熊へと応戦をせざるを得ない状況だった。

「ちょっと待って!なんでこんなに不手際があるの?!このガンバスはどうなってるの!!」

「それが、バスのファームフェアが書き換えられている様子で取り急ぎ復旧しております。

ソフトウェアに頼らない重火器で対応するのが精いっぱいで・・・」

「畜生っ、松井の奴らの仕業か・・・しょうがない、”あいつら”を使え!」

門戸が命じると夏冬はその場にしゃがみ込んで持っていた端末を開き、入力を開始した。

やがてモニターには”open operation all start”と表示される。

すると大教会に飾られていた悪趣味な棺三台に収められてい(おそらくユニトと同型機と思われる)ハイロイドの目が光りだした。

「・・・了解、operation yakara 開始します」

点在していたハイロイドは呟きながら棺の蓋をぶち破ってともに収められていた様々な武器を装備し、

阿熊やガンバスに襲い掛かっていった。

「マジか?!ユニト、お前は大丈夫だな?!」

洋太は暴れ狂うハイロイドを目の当たりにし、心配でユニトに声をかけた。

「私は大丈夫です、他の自警団の皆様に加勢致しましょう!」

「よし・・・ガンツアー聞こえるか?これより、第一地方自警団”第一小隊”は門戸勢に追撃を開始する、援護を頼む!」

”了解だ!こっちもメンバーそろい踏みだ、暴れるぜ松井隊長殿!”

ガンツアーバス内ではメンバーの三人がそれぞれ慌ただしく戦闘態勢に入った。

「という訳だ、行けるかミサ?」

「なめんなよっ、あいつら・・・・・・・・・ぶっ潰す!」

「ちょっと、ミサ。自警団の奴らは手加減してよ?」

「ちょっとそれは約束できないかも!」

ガンオペレータは本来イルだけだがこの度はミサも加勢した。

代わりにルイがミサの代わりにオペレータをしている。

SGSセントリーガンシステム、ABCD群は右舷集中、EF群は接近対応を!」

ガンツアーは単装砲で阿熊と迎撃しつつセントリーガンで愛州馬庵の隊員へ射撃を開始した。

「阿熊に自警団にオマケに暴走ハイロイド・・・生き残れんのかコレ?!」

ルイは周りに悟られないように天に祈りをささげた。


一方、辰はまだアンとの決闘に蹴りが付かず膠着状態だった。

「はぁはぁ、げほっげほっ、流石うちの第9・10小隊をぶっ潰しただけはあるな」

「クソオッサンがよ、この間の”テ”をやったのは俺の耳にも届いてんだよ・・・こりゃ仇討ちだ」

「クソ熊がよ、お前らには鉞で斬られるのがお似合いなんだよ・・・それともまたがってやろうか?ほれまーさかーりかーついだ・・・」

それを聞いた刹那、アンは目をむき辰に渾身の力を込めて叫んだ!

「俺らの前でその名前を口にするなぁー-!!」

アンは辰に向かって刃を振り下ろした!

「くっそ!」

辰は応戦しようと斧を構えるも装備の有効時間バッテリーが切れてパワーダウンし、あえなくその身ごと弾き飛ばされた。

”おい辰、大丈夫か?”

イヤホンから無線連絡が聞こえる、第一小隊の甲斐だ。

「甲斐さんか?」

”現在、ウチのガンバスがLZR(レーザー兵器)をチャージ中だ。

完了次第、お前らがやり合っているアイスバーンのガンバスへ向けて発射する。

チャージ完了後は取り急ぎ射線上から距離を取る指示を出せ、お前は今から迎えに行ってやる”

「くそっやはり俺一人が荷が重いって訳か・・・」

辰は体勢を立て直し第一地方のガンバス・リバーの方へ走り出すと、

既に眼前に甲斐がホバーバイクに乗ってこちらに向かってきていた。

「おおっ?なんだあオッサン、逃げようってのか?この腰抜けがって腰抜けだったかっ、ダハハハハ!」

「おお、なんとでも言えや!お前ら熊どもにはわからんやろうけどなぁ、

詰まるところ戦いは生き残ったやつが”勝者”なんだよ!」

「それが畜生道って言うんだよ!クソ人間が!」

アンは刃を辰に再び向けた矢先、鋭き銃弾に刃を弾き飛ばされてそのまま自身も衝撃で尻もちを着く。

「おら、辰!決闘ごっこなんて古風なことをやってるんじゃない。お前もいったんガンバスへもどれ」

「古風だなんてひどすぎだろ。これは男の勝負だぜ甲斐さん!」

そう言うと辰はホバーバイクへ飛び乗った。

「待ておらぁ!」

アンが辰達に悔し紛れに雄叫びを上げる。

しかしバイクは砂塵を巻き上げ素早くターンし、後方へと取り急ぎ引き返す。

”LZRチャージ完了・弾道システム計算よし・射線上味方なし、いけるよ!”

美生オペレータが全員に向けてコールする。

「いいぞ、射撃許可を出す!ガンバスへの直撃は避けろ、LZR発射カウント開始!」

”了解、カウント開始!”

マルヤマリバールーフ上の大型レンズが伸び、光が集中してゆく。

「おいなんかやべぇぞ・・・お前らすぐ逃げろ!!」

アンは辰が急いで逃走したのに動物的な本能を感じ、仲間と共に素早く散開した。

”3.2.1・・・今!”

ドンッと大きな音と共に強烈な熱線を帯びた閃光が、阿熊を数頭巻き込みながら門戸のガンバス方向へと一直線に伸びていった。

――――のだが。

グインッ!

閃光はガンバス横をかすめることもなく、上空へと飛んで行った。

「・・・・・・そんな、マジか。あれがエターナルキャンセラーか?」

「くそ、向こうが速かったか。ファームウェアがこんな早く復旧するなんて」

甲斐や辰がバイクを停めて呆気に取られている中、

閃光を免れたガンバスの奥で沈黙していたもう一台のガンバスから無数の光が弧を描き放たれた。

「まずいMINIMI(対人ミサイル)だ!甲斐さん、回避を―――!」

「玉藻、回避行動!セントリーで弾幕張れ!」

無線で悲鳴にも似た声を聴いた玉藻は急いで操舵を回し、生野の兄がコンソールを急いで操作した。

バンバンバンバンッ!

セントリーガンがいくつかの小型ミサイルを打ち落とすも、防ぎきれず、無情にも車体側面後方に

大量のミサイルの矢が降り注いだ。

爆発によって車体は大きくのけぞった。

後方の車体は分厚い装甲を失い、黒煙を上げている。

”甲斐さん・・・応答を・・・”

「玉藻か?!大丈夫か!現状を・・・」

無線からは玉藻の震え声と共に凄まじいアラート音が鳴り響いている。

”俺たちの・・・姉さんが・・・隊長の・・・はじけ飛んで・・・血とか・・・腕とか・・うぁ・うあぁぁぁ!”

甲斐はしばらく前を見据えたまま呆然と黒煙を上げる自らのガンバスを見ていた。

―――やがて。


「嘘だ、嘘だろ・・・・オオオォオオォオオーーーーー!」

甲斐は天に向かって吠えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ