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神様からの話と、それぞれ決意します。

 白い場所から再び落ちた俺たち二人は、神に呼ばれる前の洞窟に戻った感覚と同時に、オルとギュンターの気配を感じる。その感覚に少し安心した俺は、マイコの手を握ると彼らの元へ向かう。かすかに頬を赤らめる所は、やっぱり可愛いなと思っていると、前方から呆れたようなため息が聞こえてきた。


「お前な。こんな所でイチャつくなよ」


「イチャつく隙は逃さないタチでね」


「どんな性格だ……」


 ドヤァと胸を張る俺を見て、再び深いため息を吐くオル。その近くにはギュンターが倒れていた。


「オルはよく無事だったね?」


「まぁな、神気には慣れてる。こっちは守護している精霊と分断されて、ちょっとショックを受けてるみたいだな」


「そういうのオルは分かるのか?」


「まぁな。何となくだけど」


「俺には全然だな。神様が関わってるのは何となく分かるんだけど」


「精霊と神は存在として似ているが、中身は全く違うからな」


「そういうもん?」


「お前は魔法使いのくせに、そこらへんは無頓着なんだな。しっかり学んどけよ」


「精霊関連の書物ってほとんど無いんだよ。魔王と対抗できる勇者を生み出す存在だから、秘匿されているのかもしれないけどな」


「そうなのか? 俺、結構知ってるけど……」


 オルは首を傾げているが、彼の生まれはかなりの謎だし、加護の数も半端ない。もしかしたら勇者と共に行動するという何かには『精霊』という存在をある程度宿す必要があるのかもしれない。

 人にあまり加護を与えない神というのは、ギュンターの風の神もそうだが、自然の力を持つ神のほとんどは人には加護を与えないというのが通説だ。ちなみにマイコには大地の神が加護を与えている。もしかしたら彼女にも精霊の恩恵があるのかもしれないな。

 そんなことを俺は考えていると、ギュンターが起き上がって俺に向かって何度も頭を下げる。

 別にいいのにな。やっぱり俺の膝枕は良くなかったか? マイコにさせるわけにはいかないし、オルのぶっとい太ももなんざ論外だろうし。

 なぜかマイコが怒ってるけど、後でやってやるから待ってろって言ったら真っ赤になって影に入ろうとしたから、それを慌てて止めさせる。


「さて、神様ってどうやって会うのかな?」


『いや、もういるが……』


「あれ? マジで?」


『マジだ』


 気づくと、俺の後ろにゆらりと白い靄のような存在が現れたかと思うと、男性の形をとった。どこかで見たことがあるような気がするなぁ思ったら、ギリシャ彫刻のムキムキしたあの感じだ。あの筋肉は男にとって理想だから、正直羨ましいな。

 オルとギュンターは驚いたように神様を見てて、マイコは俺の手を握る力が強くなった。地味に痛いけど我慢だな。


「えーと、俺たちは神託を受けに来たんですけど……」


『この時代の王子にしては、妙に軽いな。ふむ。魂が混じっているのか。そこの女子も世界を渡ったようだな』


「どこの神だか分からないけど、仕訳ミスが多いらしいからね」


『神のミスはミスではない。そのまま神の行いとされる。渡りのはお前達に分かりやすいようにミスと伝えたのだろうが、結局その尻拭いをお前達に任せなければならないのも、神の立場を抜きとすると申し訳ないと思う』


 その男神はひどく困った顔をしていて、何だか人間くさい神だなと俺は呑気に思っていたら、その後とんでもないことを言いやがった。


『これだけは言っておこう。お前達に魔王は倒せない。たとえ勇者をもってしても、それは不可能だ』







 戻った俺たちを迎えてくれたのは、少し悲しげな笑顔のセシリアだった。そんな彼女をマイコは無言で抱きしめる。二人の間に何があったのか分からないけど、女子には女子の大切なものがあるんだろう。

 オルとギュンターは神妙な顔をしていたけど、彼らは彼らで新しい力を神様からもらっていた。そういえばあの神様って、なんの神様だったんだろう?


「それで、どうなさいますか?」


「どうって?」


 通常モードになったギュンターが俺に問いかけてくる。風の加護が戻ったのか強化されたのか、後でオルにも聞いてみるけど、新しい力を把握しておかないとな。てゆか、俺ってオルのステータス知らないんですけど。オルさんそろそろ見せてくれるかなぁ。


「クラウス様?」


「あ、ごめんごめん。そうだなぁ……とりあえずは王都に戻る。そして勇者の保護かな」


「風の知らせでは、未だそれらしき人間がいないようですが」


「それなんだよね。もういるはずなのに……じゃないとこの世界の理から外れてしまう」


ことわりですか?」


「魔法を使う時に魔力が必要なように、すべての事柄には理の働いているんだよ。光があるから闇が生まれるように、勇者という存在で魔王が生まれるはずなんだ」


「しかし勇者がいても魔王は……」


「ギュンター」


 俺はギュンターの言葉を遮る。魔王が倒せないという神託は、直接聞いた俺たちを四人だけが知っていればいい。そうじゃないと国中どころか、世界中が混乱してしまうだろう。これは持ち帰って相談する相手をしっかり選んだ方がいい。とりあえずはセシリアの父親であるサウス司祭だろう。

 俺の意図を汲んで口を閉じたギュンターは、マイコとセシリアの方を見た。柔らかい笑みを浮かべ、セシリアの頭を撫でるマイコ。


「守らないとね」


「……そうですね」


 俺とギュンターが静かに、そして強い決意をするその横で、オルは何かを考えるようにずっと無言だった。



お読みいただき、ありがとうございます。

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