ポーク
百合菜と合流した少し後、もう一人の人物も待ち合わせ場所に到着した。
もう一人の人物は打って変わってTシャツ半ズボンの巨体の男という謎の組み合わせだった。
「えっと初めまして比嘉海生です」
100㎏はありそうな巨体にビビりながら話す海生。身長自体は海生とあまり変わらないが、横幅が大きい。髪は短髪で、目つきが鋭い。
「レスリング部の人だろ? 中里帆億だよろしくな」
話してみるとなかなかフレンドリーな感じだった。それと同時にレスリングをやってることを知ってるということに疑問を感じた。
「あぁコイツこの前の大会の時一緒に見に行ったんだよ。それで興味持って一緒にレスリング部入ることにしたから」
鏡也の話にマジでっと一気にテンションがあがる海生。
「うわー貴重な重量級だよーお腹触って良い?」
言いながらすでに触り始める海生。
「良いけどっていうかあんた試合で見た時と雰囲気違うなぁ」
少し戸惑いながらもいきなりスキンシップをはかって来る海生を受け入れる帆億。
「帆億スマン。海生はテンション上がるとこんな感じで絡んでくるんだよ」
別に良いよと答えながらまんざらでもなさそうな顔を浮かべる帆億。
「これからよろしくねポーク!」
「帆億だっつってんだろ。見た目でわざと呼び方変えたろあんた!」
ちなみにポークとは沖縄でポピュラーな豚肉の缶詰のことだ。中身がギュッと詰まっている。
男同士でワイワイ盛り上がってる中、一人放置されていた百合菜が不服そうに顔を膨らませている。
「うちも話に混ぜてくださいよー 女の子一人で放置とか寂しいっすよ」
テンションが上がり百合菜のことを忘れていた海生が慌てて取り繕う。
「ごめんごめん! そいえば何で今日こんな組み合わせ? っていうか鏡也と知り合いだったんだね」
海生の質問に鏡也が答えようとする。
「あぁそれは姉さんづてに紹介されてお前との仲を……」
いつの間にか鏡也の後ろにたっていた百合菜。海生に見えない位置で鏡也の背中をつねっている。
「うちの友達と知り合いだったんすよね! 鏡也先輩!」
話を途中で止められて歯を食いしばる鏡也。力関係は百合菜の方が上なのだろうか。
「お、おおそなんだよ。今日祭りに行くって言ったら一緒に行きたいってことだったからさホントは三人で行くつもりだったんだけど……」
何か言わされている感がぬぐえない感じだったがこれ以上つっ込んで話をすると鏡也が酷いことをされそうな気がしたので、ここで話を終わらせることにした。
これからは貴重なレスリング部の部員になるのだ。
「じゃあ俺と鏡也は二人で回って来るからまた」
帆億が意味不明なことを言って鏡也と二人で行こうとする。
「え? 四人で行くんじゃないの?」
「いや? 帆億と顔合わせさせるために連れてきただけだし、あと俺もコイツも彼女いるからそっちと行く」
「あぁ!? なんだって!?」
この場に集まった理由が顔合わせだけだったということ。鏡也も帆億も彼女がいるという事実。
そして海生は百合菜と二人で祭りを回るという事実。
もう何が何だかわからない海生は、気持ちをどう持っていけば良いかがわからない。
とりあえず出てきた言葉は、帆億への罵声だった。
「ポーク! 君は敵だっ!」
「帆億だっつってんだろ! 英語で鷹って意味みたいで格好良いだろ!」
「うるさいキラキラネーム!」
初対面のはずの相手に良くわからないつっかかり方をしながら鏡也達と離れた。




