祭り
鏡也達と別れて百合菜と二人で祭り道を歩く海生。なんだか嵌められた感が否めないが、別にこれはこれで嫌というわけではない。
「百合菜ちゃんは祭り俺となんかとで良かったの?」
「はい! っていうかそもそもうちから申し出たことですよ?」
疑問符を浮かべる海生に、しまったというような顔をして取り繕おうとする百合菜。
「そ、そういえば海里さんは元気っすか?」
「あれ? うちの姉ちゃんと知り合いなんだ? うん元気だよ?」
海生の姉の海里と百合菜が知り合いというのは初耳だった。百合菜より四個年上の海里は学校ではかぶらないはずだ。どこで知りあったのだろう。
「海里さんとはバレーボールの大会の時に知り合いました。海生先輩が中学の時大会見に来てたりしたんですよ?」
「え? 俺大会出てないのに!? っていうか知らなかった……」
海生が出るわけでもない大会に来る理由が分からなかった。というか来たことさえ知らなかった。
「えっと……男の子達がいっぱい見れるからって言ってました」
「あぁ……」
姉はそういう奴だったと再認識する海生。そこで知り合ったというのなら納得だ。
「海生先輩はうちと一緒で嫌ですか?」
「いや全然」
即答で答えた海生に百合菜はそうですかと安心したように微笑む。
「でも中学の頃の部活ではそんなに絡んでなかったような気がするけど、気のせいかな」
「いえ確かにそんなにいっぱいお話してないっすね」
中学生の頃の部活を思い出しても、そこまで話した記憶はあまりなかった。
「そういえば海生先輩一人称僕って言ってたのに、今は俺って言うんすね」
「え? あっ……あぁそうだね」
海生は中学まで自分のことを僕と呼んでいた。高校にあがる前に意識的に変えたのだ。理由はなんとなく、中学の頃の自分とは違う自分になりたかったという感じだ。だがこれは恥ずかしくてあまり人には言えない。
「百合菜ちゃんは相変わらず自分のことウチって言うね。まぁ可愛いと思うけど」
自分のことを誤魔化すように百合菜に話の焦点を合わせる海生。
そ、そんなことないですと照れ隠しをする百合菜。
「良いですよもうそんな話! せっかくの祭りなんだし今日は楽しみましょうよ!」
「うんそだね! あと言いそびれてたけど浴衣似合ってるよ! 可愛い」
えへへと照れ笑いをする百合菜。海生は褒め殺しにかかる。
そして二人で祭りの屋台が並ぶ中に入ってゆく。




