皆の結果
レスリング部の部員達のテストの結果はおおむね良好だったらしい。幸隆は平均五十点台で赤点のテストはなかった。
三年生はもちろんのこと、二年生の中にも赤点はいなかったようで、優香と美優さえも平均四十点をたたき出し、なんとか赤点を回避していた。
ただ幸隆は妙な回答をしている場面もあった。
「覚えた細胞壁ってやつテストで書いたぜ」
そう言われて覚えた問題でて良かったねと告げた後に海生は気づく。今回のテストに細胞壁の問題など出ていなかったこと。
実際答え合わせをしてみるとなんと別の問題の答えに細胞壁と答えていたのだ。
その問題は世界史。
『東西ドイツを隔てていた壁の名称を答えなさい』という問題だった。
教科の壁のりこえてんじゃねぇか。確かに壁と言ったら細胞壁って覚えれば良いとは言ったけどと思う海生。
少し久しぶりの道場で、部員皆とテストの結果報告をする海生達。すると優香が海生と幸隆に声をかけてきた。
「どうせ君達は私達が赤点とりまくると思ってたんでしょう?」
「はい!」
一点の曇りもない目で幸隆は返事を返す。
「いやあのそんなきれいな目で良い返事されても……」
「私達も補習でマネージャーの仕事出来ないのいやだからね。頑張ったんだ」
優香の後についてきた美優が続きを話す。つまり去年は補習でマネージャーの仕事が出来なかったということだろう。
「あっそういえばテスト問題ありがとうございました。かなり助かりました」
この問題用紙のおかげで鏡也にテスト勝負に勝つことが出来た海生はその気持ちを込めてお礼を言う。
「言葉だけじゃなくて態度で示してもらいたいなぁ。ほら私の頭を撫でるとかさぁ」
上目遣いで挑発的なポーズを取ってくる優香。そう言われた海生は躊躇なく優香の頭を撫でた。
「ふぇっ!?」
本当に撫でられると思ってなかったのか優香は妙な声をあげる。
「今回は本当に助かりました。これのおかげでテスト勝負にも勝てたし部員一人増えるかもですし」
笑顔で頭を撫で続ける海生に優香は顔を真っ赤にする。海生の言葉は頭に入っていないらしい。耐え切れなくなった優香は美優の豊満な胸にダイビングした。
「男の子に頭なでなでしてもらうっていう夢がかなったぁあああああ」
よしよし良かったねと頭を撫でる美優と興奮する優香を横目に海生は練習の準備を進める。
「よし! あのバカ先輩に義理もはたしたし練習しよっと!」
少し酷い言葉を残しながら練習に励む。
「あれ? そういえば紀之は?」
「あぁ何か四教科赤点だったから補習だって」
海生の問いに幸隆はそっけなく返した。




