糸口
55kg級の試合。幸隆は自分の試合が回ってくる以外の試合。二、三年生の試合をじっくりと観察していた。早々にあたった一年生相手の試合は当然のように勝ち進み、運良く二試合ほど見ることが出来た選手がいた。
當間忍という二年生の選手だ。55kg級の総人数は9人。自分の試合であたるまでに、何試合かは見ることが出来た。
この忍という選手は、必ずと言っていい程自分から技に入っている。試合開始はもちろん、どんな場面でもだ。見ることが出来た二試合全部でそうだった。
ただそれだけなのだが、何かひっかかる。
「もしかしてこの人、守るのが苦手なのか?」
もしそうであれば……必ず自分から仕掛けたい。試してみる価値はありそうだ。
そしてその試合がやってくる。
「この試合……勝ってやる」
55kg級、山本幸隆 VS 當間忍の試合が始まる。
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試合開始の合図と共に前に出る幸隆。
ここで絶対に先手を取っておきたい。相手の腕を押し退け、片足タックルに入った。
片足タックルは成功し、相手の足を持ち上げる。
そこから足払いをし、一気にビックポイントを取った。
だが相手も抵抗を見せ、倒された後で拘束から抜け、グラウンドで後ろに回り1ポイントを取ってきた。
そこから攻防が続いたが、ポイントは動かず1ラウンドは幸隆のポイント勝ちで終わった。
「よっしゃあ! まずは1ラウンドッ!」
勝つことが出来た幸隆は、次のラウンドに向け士気をあげていた。
まだ安心することは出来ないが、まずは1ラウンド取れたのだ。
続く2ラウンド目は始まった直後、さすがに相手も警戒していたらしく、なかなか先手を取らせてくれなかった。しかしフェイントを入れた際に、相手が引っかかった。
「もらった!」
フェイントにより体勢が崩れた忍に正面からタックルに入り、そこからグラウンドに持ち込んだ幸隆。バックに回りポイントを先取。
ローリングを成功させ、二分の時間を死守し、ポイント勝ちで勝利した。




