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Numerous Divided Life ニュマラスディビデッドライフ  作者: 靄然 翠
〈第2章 混合の灰は種間競争に喰らわれる〉
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13話 『どちらが上か』.93

 試合開始直後、ノーシュがリヒトの懐に入る。リヒトの武器は鎌。故に、自分の近くは間合いに入らない。

 一方的に嬲ることができるノーシュは日神月鬼と星屑之双刃剣を出し、リヒトの体を削っていく。


「鎌だけが武器じゃねぇよぉ」


 ノーシュの猛攻に対し、リヒトは更に体を近付け膝蹴りを入れ、後ろによろけたノーシュの顎にアッパーを入れる。


「っ!」


 さらに、ノーシュの足を内側から蹴り、体制を崩させる。倒れ込みかけたノーシュの首に向かって鎌を振り下ろす。

 それに対し、倒れ込んだ直後に地面に剣を刺していたノーシュは、剣を軸に回転しながら起き上がり、鎌の軌道から外れ、一旦距離を取る。


 姿勢を立て直したノーシュは、【跳躍空気板】を使ってリヒトの死角へ潜り込む。そして、そのままリヒトの首元に短剣を差し込もうとする。


「ギルティギルティ⋯⋯」


 しかし、リヒトにその腕を掴まれる。そしてそのまま、まるで布と綿でできた人形を振り回すように、圧倒的な膂力でノーシュを地面に叩きつける。


「こんなんで俺を倒そうなんて、ギルティだぜ」


 何回か地面に叩きつけたあと、その勢いのまま柵にノーシュを叩きつけ、鳩尾に向かって膝を入れる。


 ノーシュはそれに対し、【跳躍空気板】を腹の前に出すことで防ぐ。リヒトの体は【跳躍空気板】に触れたことで後方に飛ばされる。


 後ろに飛んでいくリヒトにクナイを投げつける。

 リヒトの鎌は飛んだ衝撃でノーシュの前に落ちている。防ぐことのできないリヒトはクナイによる攻撃を受ける。しかし、ただのクナイでは殆どダメージを食らわせることができない。


 ただ、ノーシュとしてはそれでいい。一時的にリヒトの攻撃を止めることができたのだから。

 深く息を吸い、体を落ち着かせる。操作する俺らには痛さも辛さも殆どないが、肉体にはしっかりとダメージが入る。上がった息を整える方法は一緒だ。


 息を整えたノーシュは再びリヒトへと向かう。地面を踏み込み、リヒトの首元を狙いに行く。


「【断頭台】」


 見えない刃がノーシュの首を体から離すべく落とされる。


 ノーシュは、急停止することでギリギリ免れる。


「甘いな」


 しかし、起き上がったリヒトの鎌が、急停止をしたことでまともに動けないノーシュの身体に食い込む。

 これで終わりかと思ったが、装備を着てた事もあり、腹部が大きく裂けるだけに留まる。


「何を隠している」


「あ?」


「お前のステータス。あまりに違いすぎる。が、俺達が初めて会った時、そんなことは無かった。2倍の差すら無かったはずだ。今までの間に何があった。お前のステータスに」


「やっぱわかるもんか。そうだなぁ⋯⋯10倍ってところか」


「なんでそんな」


「極位職」


「⋯⋯あ?」


「特殊職大罪系統極位職【憤怒】。俺の現在のジョブだ」


 NDLの職業のレベルは知られている限り、下位、上位、極位となっている。極位は他のゲームで言うところの最上位。リヒトが所持している職業はそんなものだ。


「どう足掻こうと、今のお前らに俺を倒すことはできねぇよ。それでもまだ、俺と戦うか?」


「当たり前だろ。俺が上かお前が上か。決まるのはどちらかが死んだ時だ」


「じゃあ来いよ」


 リヒトの挑発に応えるように、ドーム状に【跳躍空気板】が現れる。それに乗ったノーシュは、もう俺の目には追えない速さになる。

 そして、そんな俺でもわかるのはリヒトの体が削られていっている事だ。

 NOWも使っているのだろう。リヒトの体が焼かれ、氷、毒によって侵される。回復は禁止、そしてノーシュの毒は進行を止めない。蝕まれている部分を削らないといずれ体の全てが侵食される。

 リヒトもそれを理解しているのだろう。鎌で傷跡を削り取る。


「確かに強いな。だが、まだギルティだぜ。【竜巻】」


 リヒトが鎌を頭の上で2、3周させ、最後に袈裟のように振り下ろす。すると、斬撃による竜巻が巻き起こる。


 しかし、ノーシュもこんな所で終わるタマじゃない。斬撃の竜巻の隙間を通り抜ける。


「お前こそ、ギルティなんじゃないのか」


 ノーシュはそういいながら、インベントリからクナイを取り出しリヒトに向かって投げつける。


 ノーシュの走る速度という初速を持って、投げたクナイがリヒトの足に突き刺さる。


「俺のNOWは切り口から徐々に侵食するが、そいつはそうじゃない。猛毒だが、広がり方は普通の毒と同じ。つまり、お前の血流に乗って全身に広がる。さらに」


 毒によって脚が麻痺し、上手く動けないリヒトの首元にもう一本のクナイを刺し込む。


「そいつは血管を広げ、さらに心拍数もあげる」


 それ即ち、毒の周りを早くするということ。

 リヒトの全身に毒が周り、目から血も出てくる。


「確かに、俺には靄然さんのようなパワーは無い、ディグニの兄さんみたく技術もない、エフメリアさんのような技もない。だがな、俺は様々な効果を持った武器を持っている。武器のレパートリーなら負けねぇ」


 ノーシュは鎢鋼之短釼を取り出し、リヒトを斬りつける。


「もうお前は動けない。」


 ノーシュが短剣を持ち直し、リヒトの首元に突き立て───


───ノーシュの首が地面に落ちる。


「だからお前は甘いんだよ」

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