第1話
とあるビル群の奥にある雑貨ビルの4階にあるドア
そのドアにはカタカナで“コロシヤ”と書かれた紙と“エイミン・シュッチョージョ”と書かれた紙が乱雑に貼ってある
そのドアを開けて中へ入るといつものように少年と女性がいる
そして当たり前のようにエイミンがいる
「……ほう。いい度胸じゃないか」
「私、これからこのストレスにどう向き合っていけばいいの?」
「やっだなー、2人とも。そんな害虫を見るような目をしてぇ~」
今、このコロシヤの中にはエイミンが出張も兼ねてと居座っている。
その影響かは知らないが少年は貧乏ゆすりの速度が見違えるほどに速くなり女性は謎の寝不足に見舞われ隈がもの凄くほりを濃くしている。
しかし体調不良などが一切なくエイミンにストレス発散と称した八つ当たりができないためさらに少年と女性のストレスを溜める結果となっていた。
「もう、私のことをそんなに熱く見たって出るのは膣分泌液だけだぞ」
「そこはさ、愛液とか言えよ」
「ごめん。私ちょっとトイレに籠城するわ」
そう言って女性は少年が何か言う前にトイレに立てこもる。
「うん。こうなるかなってわかっていたから別に止めやしないさ」
「すごいね。籠城しなければいけないほどに便秘が凄いんだね」
「………ごめん。ちょっと黙ってて」
少年がすべての感情を捨て中身の入っていないその言葉を言うとさすがのエイミンも黙った。
けど、そう言った時間は長くは続かないのが相場である。
突然、ドアからノック音が聞こえてきた。
「……お金さんだね」
「その表現やめろっ」
少年のエイミンに対する鮮やかな本場仕込みと思ってしまうほどのツッコミがさく裂する。
そして、エイミンと少年はドアに向かいドアに着くとエイミンがドアを開ける。
「ようこそ。“コロシヤ”」
「エェェェンドゥゥ“エイミン・シュッチョージョ”!」
「えっと……」
「あ、こっちは気にしないで」
そう言ってエイミンを指さす少年。
そんな2人の目の前にはやたらと色香を醸し出す中々に男の理性を崩壊させるような人妻っぽい女がいた。
「ま、立ち話も難なので中へどうぞ」
「すみません」
中へ案内し人妻をソファーに座らせエイミンと少年は机の椅子に座る。
いつもの“コロシヤ”の仕事風景だ。
「ねぇ、エロいよね! 私にその色香ちょーだい」
「バカかっ! ごめんなさい。こいつ終始こうだと思うんで気にしなくていいですので」
「ふふっ。別に気にしてないですから大丈夫ですよ」
人妻は色っぽく静かに微笑む。
「すみません。では早速、自殺したいと思った経緯を教えてもらえませんか?」
「はい。わかりました」
人妻は都内に住むいわゆるセレブの部類に入る人が住む高級住宅地に夫と2人静かに暮らしていた。
何不自由のない幸せな日々。
姑とも比較的仲良くやっており自他ともに認める幸せな家族だった。
しかしそれは突然訪れる。
夫が病に倒れそのまま回復することなく息を引き取った。
そこでわかっていたことだが姑の態度が一変する。
わかっていた事だけにコレ以上につらいものはない。
夫が心的支えになっていた人妻にとって姑の態度の醜悪化に仲良くしていた周りの婦人たちが続々と周りを離れていく現状。
夫が生きる意味だった人妻にとってはもうこの世に未練など一つもなくあることが頭によぎる。
あの人がいるところへ行ってもいいわよね。
「と、言うことです」
人妻は表情一つ崩すことなく話した。
「なるほど。なら自殺の仕方はひとつしかないですね」
少年は心底楽しそうに喜々としてそう言う。
「ま、準備とかあるしまた明後日に来てよ」
「は、はい」
「え? もう終わっちゃうの? こう目の前の人妻をおそったりして君の子種とか埋め込んじゃって的な展開は一切合切ナッシングなの!?」
そのエイミンの言葉に少年と人妻はなんの反応もせずにすたすたとドアに向かう少年と人妻。
「今日はありがとうございました」
「いえ。では、また明後日に」
「はい」
そう言って人妻はコロシヤを出て行った。
「えー、帰らしちゃったの」
そう言ってドアに向かって歩くエイミン。
「ふぅ、少し落ち着いた」
その時、女性がタイミングよくトイレから出てきてエイミンにトイレのドアが華麗にヒットする。
「ぎゃっふ!?」
「えっ?」
「くくっ。ナイスだ」
そう言って少年は我慢しきれない笑いをこぼした。




