第1話
とあるビル群の奥にある雑貨ビルの4階にあるドア
そのドアにはカタカナで“コロシヤ”と書かれた紙が乱雑に貼ってある
そのドアを開けて中へ入ると少年と女性と商人がいる
外にはしんしんと雪が降り積もり犬が飼い主とともに外を走り回り子供は親と一緒にプレゼントを見て周っている。
そんな中コロシヤでは絶賛セール中であった。その名も『嫌なこと忘れて死にましょ死にましょ。年末セ――――ル!』
「客がこねぇ」
「来ないのは当たり前でしょ。全くもう」
「それよりもなんでボクは今日ここに呼ばれたの?」
商人は意味も分からずコロシヤに来るように少年からメールが来て、いざ来てみれば小1時間特に何も無いこの現状だったりする。
「えーっとそれはだなー、うーっと」
「じーーーー」
「なんだ? そのもしかしてボク特に理由もなくこの雪が降り積もる中歩かされいざ来てみればもう1時間程度は特にあるわけでもなくここでゆっくり過ごして一体ボクは何のために来たの? あ、もしかしてただたんに読んだだけとかってないよね? ね? みたいな表情は」
「詳しい説明をどうもありがとね」
商人はぷくーっと頬をかわいらしく膨らませる。
「いやいやそれほどでもないかもしれんぞ」
「うん。でもボクが今聞きたいのは、どうして呼んだの? ってことだからさね? わかるよね」
「あはは。あ、昨日買ったゲームやろう」
「え? まさか本当に」
少年がそそくさとゲーム機の電源を点け、商人がそう言いかけた時にそれは起きた。
暖房を一時的にとめ空気入れ替えをするために空けた窓から突然人が叫びながら入ってきた。網戸を打ち破いて。
「ふぉっふぉっふぉーーー!!! めるぅぅぅぅりぃぃぃぃくりぃぃぃすますぅ!」
ハリウッド映画のアクションでも見ているかのようなダイナミックでエクセレントな登場シーン。しかしそれを見ていてすごいと思うのは見ているだけの第三者であり、その部屋の住民は列記とした被害者である。
そしてその場にいた人の中で冷静な状況はんだができる人が一人でもいればこうなる。
「何してくれてんだテメェ! クリスマス言うならプレゼント買って来いやっ! 網戸買って来いやぁぁぁぁ」
「ふぉっふぉっふぉ。ノーセンキューね」
「何いっとんじゃこのクソジジィレイヤー! 網戸買って来い言っとるじゃろがい」
「ノーセンキュね」
冷静な判断をしすぎて少年は網戸を破りながら部屋に入ってきたひげ図らの爺さんの両肩をがっちり掴みぐわんぐわん爺さんを揺らせている。
揺れている最中爺さんは「ふぉっふぉっふぉー」と目を細くしながらなぜか笑っている。
「それに今日はミーが君たちにpresentを送りに来たわけじゃなくて、もらいに来たんだ」
「あっ? どうゆう意味じゃボケェ」
「はいはい。ケンカ腰はヤメルヤメル」
「ったーーー。強すぎだろ」
女性が少年の背中をぱーーんっと一発強めに叩くと少年は怒りが覚め爺さんを揺らすのをやめPCなどがおいてある机の方のぎしっと椅子に座る。
「ミーは自殺志願者。だからここに来た」
「ねぇその前にいいかな?」
「オォ、cuticlegirl」
「ふふ、ありがと。で、その赤服さもしかしてサンタクロース?」
「イエェェェェェェェ!! そうね、ミーはサンタクロースだったよ」
爺さんは商人からそう聞かれると妙にテンションが上がり両手の親指をあげグッジョブしながら大いにのけぞる。
「おい、商人。どうしてくれる」
「あはは。しーらない」
「ちょ、商人? そっちに行ってソイツと2人きりでキャッキャウフフなガールズフィールドつくんじゃねぇ」
「あれ、cuticlegirl? まぁいっか」
「まずぃかよ」
商人は女性とともにキッチンでキャッキャウフフを始めてしまった。こっちの仕事部屋の方に残されたのは少年と爺さんのみ。
「はぁ。で、一回アンタはそこのソファーに座って」
「OK。このせんべい布団並のソファーね」
「お前マジで社会的に殺してやろうか」
「ふぉっふぉっふぉー。nicejoke! ナウでヤングだね」
「最後の言葉。ギリわかんねぇ世代だからやめてくれ」
少年はすでに疲れきったような表情をして愉快に笑う爺さんを見る。
「で、アンタは自殺志願者なんだろ?」
「イエェェェェェッッ!!!」
爺さんが今度は座りながらのけぞる。
「あ、そう言うのいいから話進めるよ」
「オウ。ソーリー」
「そうだな、まずはアンタが死にたい理由を教えてくれ」
「OK」
爺さんは日本ではないとある国の生まれだった。当時その国は高度経済成長期を迎えていた関係もあり爺さんがまだ10歳の頃に日本へと連れてこられる。
それから30年以上の月日がたったある日、爺さんは急に生まれた国へと引き戻されることとなる。爺さん本人はすでに本国へは帰れないものだと確信づいた何かを持っていたためにこの時は最高にうれしかった。
しかし爺さんを待っていたのは厳しすぎる現状だった。かつての成長はどこへ行ったのかと思うほどに廃ビルが立ち並び、そこらじゅうにストリートヒューマンがあふれかえっていた。服を着ている人さえも1人や2人、いかにも勝ち組みたいなやつらだけだった。
そんな中を歩いて爺さんは大きな実家へと入って行った。そこはまだ比較的きれいで衛生面的にも安心できる場所だった。そんな中を歩いていると前からこつんこつんと音を響かせながらある2人が歩いてきた。爺さんの両親である。
爺さんとその両親は会うなり抱きしめあい再会を喜んだ。
しかし喜んでいられるのは一瞬であり爺さんはすぐにこの国の現状を両親から聞いた。すると驚いたことにこの国がこうなってしまったのは爺さんの両親せいであり今は日々人々の暴力から逃げ隠れる日々だと言う。そしてそんな両親は爺さんに言った。
この国を戻してくれ。日本にいたお前ならできるはずだ
その言葉は両親が感じているはずの重みなど一切なく、開放感あふれる軽い気持ちしかなかった。それを感じ取った爺さんははっきりと言った。
私は日本に愛している人がいて今はもうこの国の住民でもない。あなたたちが原因ならばあなたたちで解決すればいい。責任転嫁はよしてくれ。
両親は爺さんのその言葉を聞き首をかしげてこういった。
お前の愛している人はもうすでに殺した。お前には日本に帰る場所はない。
さらっとそんな言葉を言った両親に爺さんは血が逆流したかのように怒りがこみ上げその場にあった花瓶を持ち上げ両親を殺した。
そしてソレを引きづりながら外へ出ると外にいた人々が爺さんに注目した。そんな中で爺さんはこう叫んだ。
こいつらをったった今殺した。人の命を何とも思わず自分たちだけが生き残れればいいと思っている外道だ。しかしこいつらはたった今死んだ。聞け、今から俺がこの国を変えてやる。
その言葉の重みは誰しもが感じた。そして少しの静寂の後に人々の歓喜の嵐がその場を埋め尽くす。爺さんはソレをバサッと投げ捨て後ろを向き誰にも気づかれずに泣いた。
それから10年がたった今その国は過去類を見ない急成長を遂げ人々の暮らしは豊かになった。そして人々は爺さんのことを英雄と呼びたたえた。
しかしそれでも爺さんは両親に殺された愛する人を忘れることができずについにその寂しさのあまり自殺を選んだ。
「え? 爺さん実はすごい人」
「ふぉっふぉっふぉー」
少年は爺さんのその話に目を丸くし驚く。
「で、boy。ミーの自殺をsupportしてくれるのかい?」
「あ、あぁ。もちろんだ」
「thank you。じゃ、今日は帰る。忙しいんだ」
「あ、そうだ。明後日またここに来い」
「OK! 明後日だね」
爺さんはそう言うと入ってきた窓へと近づきそこからたらされていたロープにつかまる。
するとロープが引き上げられ爺さんが空へと飛んでいく。
「今度来るときは網戸持ってくるよ」
そう叫びながらブロンブロン音を大きくたたせて爺さんは消えて行った。
「マジかよ。アレヘリやん」
少年は爺さんの去り際を見てそう言った。




