第3話
空は青く澄み渡り雲一つない青空
絶好の自殺日和
「さてと」
ここ“コロシヤ”には警察の男性と少年の2人きりだった
「早速だけど移動するか」
「もうですか!?」
「うん?いやなら別にいいけど」
「嫌じゃないんですが。なんでわざわざ一回ここに来てと言ったのかが気になりまして」
警察の男性が“コロシヤ”に来てから15分しかたていなかった
そしてそれに警察の男性は当たり前のように疑問に思ったのだろう
なんでわざわざ“コロシヤ”に来る必要があったのか
現地集合でいいじゃないか
しかし警察の男性は今日自分がどこでどのようにして自殺するのかをまだ聞かされていないので現地集合は無理な話になる
「あぁ、それはね」
少年はおもむろにキッチンの近くにあるクローゼットを開けた
そして少年がある衣服を取り出した
「これって・・・」
「にひひ。アンタの仕事着」
少年が手に持っていたのは警察の男性の仕事着
つまり警察の制服
「いったいどうやって」
警察の男性は信じられないといった表情をしている
「企業秘密です」
少年がわざとらしく笑い話を逸らす
「じゃ、そろそろ行きましょうか?」
「あ、あぁ。わかった」
警察の男性は腑に落ちないといった感じだったが少年に流されて自殺現場に向かった
「ここがあなたの死に場所でーーす!」
警察の自殺場所に着き少年が大袈裟に言って見せる
「ここって」
「驚きました?」
「驚くも何もここは私の職場じゃないか!」
警察の男性の職場
警察の職場といえば警察署
さらに言えば警察の男性はエリートの中のエリートとなると
「正解。警視庁前です」
日本全国の警察の中心にて頂点
警視庁
警察の男性は今日ここで死ぬ
「どうですか?欲にまみれた豚共にあなたの死にざまを見せつけてあげましょうよ」
少年がいつもよりもテンションがおかしいほどに高かった
きっと高くしないとやっていけないのだろう
なにせ少年のやっていることは世間一般が言う殺人に近いことなのだから
さらに言えば今回は警察の身内で結構上の立場の人間
そうなれば社会的にも命的にも危険
なので今回は女性もついてきていない
何かあった時に少年一人で済むように
「・・・そっか」
警察の男性が小さな声で話し出す
車の音にかき消されるような小さな声で
「考えもしなかったから少し混乱してはいるけどいいかもな。ここで死ぬのも」
「じゃ、さっそくで悪いんですけど準備しちゃいましょうか」
少年が警察の男性の仕事着を入れた紙袋を警察の男性に渡した
「なんか急いでないか?」
「実は今日。上の人間がもうそろそろ出てくるんだよ。パーティーのために」
「あ、そう言えば今日は」
「そう。とある人の来日だ」
少年がニヤッと笑った
「たしかそう言った時って」
「裏から出てくるのがダウトで表から出てくるのが」
「本物」
警察の男性と少年は目をあわせ2人でニヤッと笑った
「そうとわかれば。早速着替えてきます」
警察の男性は受け取った紙袋を手に公衆トイレに駆け込んでいった
それから10分程度の時間がたち警察の男性が仕事着で出てくる
「なんかイメージ変わりますね」
「そうですか?」
先程とは違い物凄く凛々しい警察の男性
そこにいるのは紛れもない警察だった
「なんか変な感じ」
「外面が変わっても中身は変わりませんから」
警察の男性はそういって少年に紙袋を返しあることを聞く
「それでなんですけど私はどうやって死ぬんですか?」
「言ってなかったか。えっと焼身自殺です」
「焼身ですか?あの焼け死ぬやつ」
「そうです。そのために今日はほら」
少年は普段使わない大きめのトートバックを警察の男性に広げて見せる
すると中には複数の2ℓのペットボトルが複数入っていた
「まさかこのペットボトルの中身って」
「想像通りだと思いますよ」
そう言いながら少年は男性にトートバックを渡す
「これを被る?浴びる?まぁそうし終わった後にライターでボーっと」
「その時に思いのたけを叫んでも?」
「ご自由にどうぞ。何をしたってかまいません。火を全身にまとった状態で上の人間に抱き着いて無理心中みたいに死ぬのもよし。車に突っ込んで爆破させて死んでもよし。何をしたってもう自殺をはじめたら自由です」
「わかりました。では、ありがとうございます」
警察の男性が急に深々と頭を下げた
「な、どうしたんですか!?」
「いや。私を死なせてくれる。それに感謝をしているだけです。では逝ってきます」
警察の男性がまるで子供の用に無邪気に笑った
「逝ってらっしゃい」
少年はそれを真剣な表情で返す
そして警察の男性が見えなくなるとぼそっと
「今のつまんねぇよ」
風にかき消されるような声で言った
警察の男性が警視庁前に着くとタイミングよく中から警視総監とその取り巻き的な人が出てきた
「・・・っ!?」
警視総監は警察の男性を見て無言で驚きその場に立ち尽くす
「2、3日ぶりですね。お元気でしたか?」
警察の男性は軽快に話し始める
話はじめながら警察の男性はトートバックからペットボトルを取り出して中身を浴びはじめた
「私はとっても元気でしたよ」
警察の男性は別人のように話し続ける
「・・・何をやっている」
警察の男性の異変にようやく気付いた警視総監はやっと反応し始める
「何って見てわかりませんか?ミズ浴びですよ」
「なぜこんなところでやっている」
「ココでないと意味のないミズ浴びなんで」
すでに警察の男性は最後のペットボトルを地面に投げ捨てていた
そしてさっき少年から手渡されたライターをポッケから取り出して火を出す
「おい!?それは」
「今更気付いてももう遅いですよ」
警察の男性をニヤッとしてライターの火を自分に当てた
その瞬間に警察の男性の全身に火が回る
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「水。水だ!水を早くもってこい」
警視総監があわてて部下たちに命令を出すが全員が腰を抜かしその場から動けないでいた
「熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」
「おい!早く水を」
警察の男性がなぜか笑いながら叫んでいた
「こうなったのも全部テメェらが俺にキタねぇ仕事を押し付けたからだ!」
「な、何のことだ」
警視総監はこのごに及んでもとぼけていた
ここでそれを認めてしまってはいつの間にか集まっていた大衆の野次馬にばれてしまうから
「いいか。覚悟しと・・・け・・・よ」
そう言って警察の男性は倒れた
それからしばらくして消防が火を消したが警察の男性は死んでいた
「ったくこれでいいいんだよな」
少年は近くにあるベンチに座っていた
そこで警察の男性の最期をみとった
そして警察の男性との最期の約束を果たす
「これでいいんだよな」
そう言いながら自身の持つスマートフォンの画面をタッチする
「情報流出完了」
少年はそういってその場から立ち去って行った




