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2話目 歓喜の再会

――時は事件の1か月前――


遠藤ヒロシは都会の街の、人目のつかない静かな場所でカップラーメンを食べた。彼は職を失い、生活に困っているのだ。


床は紙やすりのようにザラザラしていて、コケが生えている。幼児の頃の公園で遊んだ頃を思い出す。近くにはネズミの死骸があり、体が勝手に離れるような異臭が漂う。近くには水たまりがあり、弱い日の光が反射して目に映る。


「最悪な一日の始まりだ。」


一人で食うカップラーメンはいっそう孤独を感じる。


だが、孤独の時間は目の前の人物により、歓喜の時間へと変わった。


「っあ、、……あき …らくん?」


咄嗟にその言葉を呼んでしまった。今思えば、違う人だったら気まずい空間ができてしまうだけじゃないか。ヒロシの心臓が暴れ出す。


「…」


ドクッドクッ


男がヒロシの顔面を上からジロリと覗き込む。


「すみません、前に会ったような気がするんですけど、どなたでしょうか?」


気兼ねなく私の名を呼ぶことに期待していたが、最後に会ったのは10年以上も前のことだ。忘れるのは当然のことだ。


「ヒっ、ヒロシだよ」


もう何日も人と喋っていないせいか、言葉が詰まる。


「う、ん…?」


絶対に伝わる小学校の頃の俺の唯一の特徴…


結局、無音の続く、気まずい時間が流れてしまった。 しかし、ヒロシにとっては多幸感溢れる時間だった。そして胸の鼓動を必死に抑えながら小学校の頃を思い出していた。


あっ!確かあだ名がヒーローだったっはずだ。名前がヒロシだったから気づいたらそんなあだ名がつけられていた。


「ヒーローって呼ばれてた。」


「あー、確か……いつも花に水やりをしてたよね?」


「そうそう!小学生の頃、そんなことしてたっけな、懐かしいなー。」


彼は私のだらしない服装とカップラーメンを見て、全てを察したかのように僕の目を見てきた。


「なぁ……色々大変そうだな」


「いろんなことがあったが、なんだかんだで上手くやってるさ…」


「そうか…」


建物からポツポツと水が垂れる音が聞こえてくる。


またあの時間が流れそうだ。


「そうだ! そういえばこの辺よく通るの?」


私が座っているのは都会の、ほとんど誰も通らないような場所だ。恐らく偶然の勤務途中の道か、怪しげな仕事に使う場所のどちらかだ。


「あぁ、今は仕事の帰り道で」


!!

こんな朝が帰り道なんて、彼も複雑な事情があるのだろう。


「そうなんだ。 また会えるといいな」


「そうだな、それじゃあ」


あきらの後ろ姿が太陽と重なり、眩しい。彼の帰る姿を見る頃には、胸の鼓動は感じられないほど小さくなっていた。


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