1話目 孤独の時間
――はしがき――
ある山奥の前にパトカーのサイレン音が響き渡っていた。森の中にいるせいか、静けさが際立つ。
そこには、3つの痕跡が残されていた。
1つ目は人の死体だ。死体の周りには異様なほどに生物が消えていた。その死体はもう、クマなどの猛獣に襲われた跡のように酷かったため、性別不明と判断された。
2つ目は少し赤みのかかった、懐かしさを感じさせる、華やかな色をしたハンカチだ。
3つ目は手紙が死体のそばに置かれていた。どの痕跡も完璧と言えるほどの美しさであり、犯人は頭のキレる者だと言われた。
その現場で、2人の刑事たちが話をしていた。
「こいつぁ計画的すぎる犯行ですよ。健二さん。」
「この死体、不自然ですよね。」
「あぁ、そうだな。1人での犯行なら、犯人はかなり天才だな。」
「しっかし、この死体やっぱり女の死体じゃないですか?」
「その可能性が高いな。男に犯された跡がある。」
「何より、イカ臭ぇっすよココ。」
この死体は何日間か見つからずにいた。というのも、犯人から電話があり、それをもとに見つけたからだ。
「しかし、なんで犯人は犯行を警察に知らせたんですかね?」
「さてな、それは犯人しか知らないことだ。」
「今はとにかく、犯人を特定することだな。頑張れよ、新人。」
「勿論です!」
人類で最も重い罪を犯した。
生物というのは、なくてはならない3つの欲求がある。
――睡眠欲、食欲、性欲。――
その欲求のうち、2つが無くなることは死を意味するが、そのうちのひとつは無くなっても死にはしない。
……性欲というのは私たちの人生を壊すことしかないのではないか。
そんなことを思い始めたのはいつだっただろうか。ただ、遠藤ヒロシの唯一の友人にこの話をしたら、嫌われたことがヒロシの心を深く削る。
――孤独――
その言葉も私の心をかき乱す。来る日も来る日も残業に追われ、働きアリのようにこき使われた。そんな日々も長くは続かず、遂に書類を散らかして、私は解雇されてしまった。
――恋――
それは色々な形がある。ときには運命だとか言って道端の女性に求婚をしたり。いつも話しているあの人に胸の鼓動を感じたり。
「…あぁ、…実に不快だ」
ヒロシの口元から白い息が漏れ出る。
何故、社会一般では男性と女性が結ばれるのが基本なのだろうか。どうして同性愛は禁断なのだろうか。
自分でも異常なのは理解している。生物学的に同性に恋をするのは全く意味がないからだ。子孫を残すこともできず、共に死ぬ。それが同性婚をする人の生涯だ。
世間では避けられ、周りから人が消えていく。同性愛者は、なんて悲しい人生を送るのだろう。
生物学的に異様だとか、そんなことは、あくまで理論上の話だ。
私は悪いことはなにもしていないはずなのに…




