第95話:ハイオーク戦
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北海道のHa市に存在している初心者ダンジョン第二五階層、そのBOSS部屋を支配する魔物とはオークの上位種たるハイオークである。
ランク的にはホブゴブリンと変わらないけど、パワーがより強くて防御力も硬いけど脚は遅い。
ホブゴブリンがアタッカーだとしたのならば、ハイオークとは即ちタンクに位置をしている。
因みに、ハイコボルトは遊撃者に位置しているのだと云う。
万が一にホブゴブリン、ハイオーク、ハイコボルトが揃うとアタッカーとタンカーとレンジャーが揃ってしまい、それこそ倍の冒険者が居たとしても中々にキツい。
まぁ、今回はハイオークのみ。
通常よりも巨躯で肥満体な豚面をしたヒトを模している魔物、世界によっては亜人種という人間と似て非なる亜種として生きてもいる存在。
然しながら純粋に魔素のみにより物質化をしたこの豚人種は、完全なる魔物としてのみ存在する事を赦されたモノでしか無かった。
魔素のみで構成されているとはいえ生命体には違いが無く、故にこそ生きていく為には当然の如く食糧を必要としているし、繁殖をする機能も活きているからオスとしての本能を持ってもいる。
女性冒険者がオーク系に敗北するというのは、詰まり生死でペッされた尊厳だけが損なわれる訳では決して無くて、女性としての尊厳をも踏み躙じられてしまうと云う事。
ヤられた後で殺られれば記憶は残っても肉体的に新生されるが、オスの本能を持ったオーク種は生かさず殺さず連れ去って飼い殺し、子を孕ませた上で出産すらさせるらしく、女性冒険者からは殊の外毛嫌いをされているのだとか。
それはオークより巨体なハイオークも変わらないという事で、間違ってもこのボスとして顕れたコイツに斃されてしまう訳にはいかない
槍太は焔槍を振り回す、璃亜はガチンガチンと手甲を打ち鳴らし、弓に矢を番わせている瑠亞。
BOSS部屋へと入る前に確りと前準備をする。
武器の前準備だけで決して無く、士気……詰まりは殺る気を確りと、全身全霊にて漲ぎり滾らせていた。
「さぁ、征くぜっ!」
「お任せオッケーだよ!」
「確りとサポートするよ」
正しく殺る気に満ち充ち溢れている三人を部屋の中で視ているハイオーク、だけどダンジョンとは一種の仕組みであるが故に、一定のルールに従って動かざるを得ない。
そして冒険者がダンジョンに生まれた訳では無い人間、其処に仕組みを遵守をする理由など有りはしないから、早速とばかりにBOSS部屋の外より瑠亞が番えた矢を射ち放つ。
「グギャッ!」
左胸に突き刺さった。
とはいえ、実はダンジョンという仕組みが全く意味を成さない訳でも無く、BOSS部屋の外から攻撃しても存在力は獲られないのだとか。
詰まり、仮にBOSS部屋の外から一方的な攻撃で斃せたとしても、斃した証明として魔核が落ちるだけでしか無く最も欲しい存在力は全く手に入らない、レベルアップはしないから意味が無い。
ドロップアイテムは確率的に序でに過ぎないのだから。
「先制攻撃には丁度良かったわ」
血を流して呻いたハイオークは、どうやらイレギュラーでは無さそうだし、槍太と璃亜であるならば瑠亞のサポート有りでイケそうだ。
「殺ってやるぜっ!」
BOSS部屋に駆け込む槍太は両手で柄を持ち、頭上へと掲げながらグルグルと回している。
「ボクも殺るよっ!」
同時に駆け込んだ璃亜。
「焔怒零栖ッ!」
これはスキルで無くて普通の技、云ってみればシステムである場合は勝手に身体が動くだろう、然し現在の槍太が使ったのは自らが放つ技。
スキル=システム化されたモノを放ったのと、自らが考案して修業に時間を費やして修得をした技では矢張り違う、それが如実に出ていた。
「怒雷阿朱ッ!」
二人は炎属性に強い、故に槍太が炎を纏わせている槍を振り回して、焔雷を纏った拳や脚で攻撃をする。
炎に強いという前世の特性を引き継いでいる、それが故にか二人は自然と炎を操れる様に成っていた。
とはいえ、ハイオークは別に炎に弱いという訳では無いから、飽く迄も追加ダメージを与えているに過ぎないし、スリップダメージを与えているだけでしかない。
それでも二人のレベルが約一八に上がった頃、何故か魔力が炎を帯び始めたからこその技だ。
魔法陣を構築しなくても魔力自体が炎の属性を帯びており、恐らくだけど二人は初めから炎属性を持っていただろう事は想像に難くない。
璃亜は炎を纏った両拳をハイオークの腹部へと叩き付け、槍太が炎輪という魔槍を背後から上段斬りから~の一二連続突きを敢行する。
「アギャギャッ!?」
それでもタンクが可能なハイオークに対しては余り効いてない様で、然しながらダメージは確りと入っているし、バッドステータス的には“火傷”も獲ているみたいだ。
「防御減衰!」
それなりに上位の術士である瑠亞は生命体に対してのみ成らず、無機物への附与が割かし普通に行えてしまうから矢に防御減衰を附与。
魔法は種類により生命体に使えるモノと使えないモノが在り、防御減衰は生命体に使う魔法である為に本来は無機物に対して扱えない。
勿論ではあるが攻撃魔法ならどちらにも扱えるというか、術式的には攻撃魔法とは違って特化させないと効果が落ちてしまうのだ。
「さて、射つわっ!」
「「了解っ!」」
言われた瞬間にサッと射線から跳び避けると、一条の光を引いた鋼の鏃に鉄の芯を持った矢が放たれて、風を切る音を鳴り響かせて的中。
「アギャッ!」
魔法の光がハイオークの周囲を一瞬の輝きが、これによって“力成す言霊”の通り防御力が減衰。
其処まで劇的に減衰――柔らかくなる訳でも無いけど、それでもタンク可能な防御力は減った。
飽く迄も例として、一〇〇が八〇に成った程度だけど。
「オラァァァァッ!」
「てりゃぁぁぁっ!」
的中したら即刻、魔法の効果が有る内に攻撃、攻撃、更に攻撃を!
魔力が炎に転換されているからこその火傷だ、ハイオークも魔素で出来ているとはいえ物質化されているからには、生物として存在している以上火傷は確かに痛ましい。
矢が突き刺さったダメージ、殴られて蹴られたダメージ、そして槍によって斬られ突かれたダメージだ。
巨躯と防御力が防ぐが、それでもレベル二〇に至った上で魔力が炎に転換され、更にはそれが故に魔力が身中を巡る血液の如く常に巡る。
それは魔力が槍太と璃亜の肉体を活性化され、自ずから強化魔法を掛けているのを常態化しているみたいなもので、通常のレベル二〇よりも二人は少しばかり強かった。
レベルが上がれば上がっただけ、その倍率が上がっていくだろう。
「チィッ、やっぱつえぇ!」
「本来は最低でも、Eランクで揃えるなら四人が必須だもんね」
通常は、Cランクの魔物を単身で斃すなら同じランクが必要だろう、然しながらFランクは論外だしてもEランク――レベル二〇に到達した上で試験に受かれば昇格――ならば一応、四人で闘えるとされている。
飽く迄も一般的に云われている、通常のレベル二〇越えで技術有りきでの事に於ける話でだが。
困った事に生体情報の向上をさせる為の魔法、これは残念ながら魔力を常に巡らせる二人には使えない、その効果が殆んど無いのである。
だから瑠亞が出来たのはハイオークに対しての防御力減衰、出来るのなら槍太と璃亜に攻撃力や防御力を上げる魔法を使いたかったのだけれど、レベルが一八に上がった頃から効果が無くなってきていた。
それまでは、曲り形にも効果が有ったのにだ。
「炎舞零矛ッ!」
その技は名前の通り炎で出来た紋章であって、然し誰も全くこの地球では見た事が無かった。
紋章はとある王国のとある公爵家のモノだが、これを正しく識っている人間は非常に少ない。
それは扨置き、この紋章自体に力が有るのだから炎で描く事で破壊力が高くなるし、しかも炎輪は炎属性の槍だから本人の魔力の炎と合わさったら、その効果は弥増すばかり。
「とっどめ~♪ 征っくよ~!」
壁を蹴り勢いを増した状態で蹴りを放つ璃亜。
「グギャァァァァッ!」
防御力も下がり、火傷や矢に槍にとダメージを受けたハイオークに、璃亜のクリティカルな跳び蹴りの一撃が鳩尾に突き刺さる。
「ギッアッ……」
「Victory!」
鳩尾は人型であるからには人体と全く変わらぬ急所、既にそれなりにはダメージを喰らっていたからであろう、豚面の口元から涎を垂らしながら仰向けに倒れてしまい、その侭絶命をしてしまうのだった。
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