第80話:熔岩魔物の素材
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「ミスティ、君は剥ぎ取りに付いてどう考えいてるんだ?」
「あれ? ケインには剥ぎ取りの事を教えていなかったのに」
俺の質問に対してミスティが首を傾げている。
確かに此方側では剥ぎ取りに関して教わっていた覚えは無かったし、飽く迄も剥ぎ取りに付いて教えてくれたのは彼方側の美衣奈だった。
その言い方から剥ぎ取りをミスティも識っていたらしいし、ランスとスピアもおかしな表情をしていない辺りからして識っていた様である。
「ケイン、剥ぎ取りをしたい?」
「ドロップアイテムの確率を考えると出来れば、だけど危険を伴うから無理にとは言えないから」
俺は仲間を見回しながら言う。
「んだよ、水くせ~な。俺らだって欲しい素材が有んだからよ。多少の危険くれーは呑み込むぜ」
「そうだよ、ケイン。それならボクだって頑張るんだから!」
ランスとスピアが頼もしい事を言ってくれた。
「三人が賛成してくれるなら俺は遣りたいけど、本当にミスティもランスもスピアも良いのか?」
三人が確りと頷いてくれる。
「助かるよ」
俺達は早速とばかりに、魔物の剥ぎ取りの為の動きをするべく魔物捜しの歩みを進める事にした。
このアルヴァン大火山は余り冒険者が入ダンをしないらしく、下手に放っておけば大氾濫が起きてもおかしくないから、こうして入ダンをする事に関してはギルドとしても本当に有り難いらしいのだが、その間にドロップアイテムが出ないというのも中々に困りものだという。
剥ぎ取り自体は少ないながらも認知をされていたみたいだが、余り広まっていなかったのは矢張り危険であるのがネックであるらしい。
何しろ生きた侭だし、剥ぎ取ろうとして死なれたら困る訳だから。
コキコキと首を鳴らしながら前へと出るのは、最接近型な闘士の職業ジョブ持ちたるスピアだ。
「愈々ボクが目立つ時が来たよね。今まではミスティちゃんが魔法で目立ちまくってたしさ」
ブワッと白いオーラみたいな某かが立ち上る、これはミスティが曰く天力では無く魔力だとか。
「スピア、はしゃぐのは構わないけど殺しちゃったら駄目なんだからね? 判ってるんだよね?」
「もち、判ってるよ!」
先ずはと云わんばかりにファイアゴブリンへと向かい挑み、スピアは痛烈な飛び蹴りを鳩尾へと正確に喰らわせてやり地面へ叩き伏せる。
更にスピアは自分の魔力を纏わせた手で牙を引き抜いた。
「どっせぇぇい!」
「ヒギィィィッ!?」
麻酔も無く無理繰りに引き抜かれた痛みは絶大だったろう、ファイアゴブリンが涙を浮かべる勢いでけたたましいまでの絶叫を上げる。
「もう用無しだよ、さよならバイバイってね!」
ゴキュッ! 首の骨をへし折ったスピアはニヤリと口角を吊り上げて、次のファイアゴブリンへと向かって駆け出すと二匹三匹と斃した。
「……強っ!?」
「さっすがスピアだね」
素手だからか手加減も利き易いのだろうけど、相手を生かさず殺さず組み伏して肉体の一部を剥ぎ取る、スピアがこれ程とは思わなかった。
「そりゃ、弱くは無いんだろうが……まさかな」
「スピアだって弱い侭じゃ居られなかったんだ、勿論だけどそれはランスだって同じなんだよ?」
「そうなんだな……」
納得しかない。
「オラオラオラッ!」
ファイアオークの両肩両脚を刺し穿ち貫いて、素早く腹を刺すと魔力を流し込んで脂を採った。
ラノベではオークが食糧に成る場合もあるが、この世界のオークは食えないし殺処分有るのみ。
オーク系は脂が採れる。
この脂が色々と使えるらしいが、今現在では使い道が俺には無い。
まぁ、売れば良いか。
「ラヴァスライムのゼリーは使えるかも知れないから欲しいな」
「了解したよ♪」
「スピア?」
赤毛を風で振るわせ、紅玉の如く瞳で獲物を狙う野獣みたいに睨み、魔力のオーラを揺らして駆け出すとラヴァスライムを襲撃した。
掴むと焼かれるが、魔力で手を覆っているからダメージは無さそう。
「やぁぁぁっ!」
ブチィッ! 千切った中からスライムゼリーを抜き取って、魔力を流し込むと完全に魔素化させずに顕在化する事で剥ぎ取り成功だ。
「あのデスコーピオンやバトルウルフとの闘いから此方、ケインの力に成りたくってランスもスピアも頑張っていたから。勿論、私もね」
ニコニコと俺に対し笑顔を向けてくるミスティだったけれど、正直に言ってしまうと俺には三人が――ミスティにしてもランスにしてもスピアにしても俺に対して……否、ケイン・ユラナスに対して其処までをする理由がよく理解らないのだ。
単純に友情だの何だのと云う事なんだろうか?
俺も動かないとな、そう考えたからミスリルの剣を構えながら魔力を刃へと纏わせて駆け出した。
アクティブで超が付く程に凶暴なラヴァラビットが跳ねており、此方へと攻撃を仕掛けて来たので迎撃をしようと思っての行動だ。
「哈っ!」
刃で斬ってしまえば殺してしまうかも知れないから、こういう時は父さんが使っている太刀であるなら、某・暴れる将軍様の如くで峰打ちが可能なんだろうけど、生憎と俺のは両刃の西洋剣だから仕方無いか。
だから刃では無く剣の腹で殴り付けてやった。
勢いよく吹き飛んだラヴァラビットは壁に激突して気絶、生きているから未だに魔素化する事は無くて地面にボタリと落ちてしまう。
「ラヴァラビットの毛皮とお肉に、それから角がドロップアイテムに成るからその三つを切り取ってね」
「了解した」
気絶したラヴァラビットを押さえ付けながら、先ずは一番判り易い角を切り落としてやった。
魔力を籠め独立化してしまえば、魔素化してしまう事は無い。
「次は毛皮だ」
橙色の毛皮は生きている状態だと高熱を放っているというか、まるで溶岩の如くだから普通なら触るのすら難しい物だが、意識が無いと温度が下がる傾向があって氣力を纏えば触る事も出来た。
それでもはっきり云えば熱湯くらいの高熱を持つから、触れると火傷するし絶対に素手で毛皮に触れてしまう訳にはいかない。
「ふぅ、何とか上手く毛皮を剥ぎ取れた。毛皮を剥いだからにはすぐに死ぬだろうから、さっさと肉を切り分けないとな。腹をかっ捌いて」
彼方側の配信中だったら、BANされそうなグロい映像になりそうだ。
内臓が地面に転がって、その地面なんか血塗れに成っている。
尤も、彼方側に於ける叉鬼辺りなら極々当たり前な場面でしかないし、存外とそういうグロテスクなシーンに慣れているかも知れないが。
「後は首を落としてっと」
肉を切り分けた時点で死亡はしていたのだが、魔力を流しておけば時間が経っても残るからな。
首が落ちて、毛皮も肉も角も喪ったラヴァラビットは魔素化した。
「少し時間が掛かり過ぎたか」
捌くのに時間が掛かり過ぎてて、下手をすると魔力を送っていても魔素化しそうだったから気を付けないとイケない、そう考えてしまう。
「ふぅ、やれやれ。冷却マントが有るのに汗を掻くもんだな」
僅かな流れた汗を左手で拭うと、溜息を吐きながら俺はアイテムバッグの中へと仕舞い込んだ。
既に彼方側でも剥ぎ取りを経験をしたからか、余り上手く無くて捌くのも遅かったけど何とか遣れたのは良かったし、後は慣れるしかない。
「これなら次の階層に降りても大丈夫そうだね」
「それは良かった。処でまさか最下層に獄焔剣は在るのか?」
「ううん、実はこの大火山の内部にも天零樹みたいな聖域が在るんだ。其処まで行ければ聖霊剣が反応をする筈だよ。本当に便利だよね~」
まさかのクリスタリオンレーダーだったとは?
「まぁ、そういう事もあったから、聖霊剣クリスタリオンがエレメートに置かれていたんだけどね」
「……は?」
「本格的に七王剣を集め始めてしまったんだし、だったらそろそろ教えちゃっても良いかもね。宿屋に戻ったら七王剣の事も全てを教えるよ」
「あ、ああ……」
どうやら、何らかの秘密が七王剣――聖霊剣や獄焔剣などの事だろう――とやらにも有るみたいであり、それを獲る事を割かし強行されたからには俺自身やミスティ、下手をしたらランスとスピアにも秘密が有りそうな予感がした。
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