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銀の騎士と黎明の星  作者: 月乃杜
第二章:獄焔剣
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第77話:義肢の素材採取

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 第一五階層まで降りて行くと顕れたスケルトンが数匹、ガチャガチャと音を響かせながら歩いてくる人間のパロディ的な骸骨の集団。


 剣も鎧も盾も兜も纏わない本当に骸骨が動いているだけ、リビングデッドというのに相応しいのがこの歩く骸骨君という訳である。


「スケルトンも結局Eランクに過ぎないからね、下手に攻撃をしてしまうと使えない骨にしか成らないよ。頑張って骨を奪って斃そうね」


「了解した!」


焔嵐(イルヴィルヴェル)ッ!」


 放たれた焔の嵐により、一匹を残してスケルトンを焼き滅ぼした。


「はぁぁぁっ!」


 下から上へと斬り上げ、更には下に斬り下ろしてスケルトンの両肩から斬り落としてやる。


 ガチャンガチャンと落ちるスケルトンの両肩、その部位はあっという間に魔素へと還った。


 卦韻は膝を落として、自らの右脚で蹴り払ってやる事で転けさせる。


 仰向けで転んだスケルトンへと馬乗りとなり、両脚を掴んで魔力を籠める事で独立したアイテムに成る様に、そして完全に独立化させて引き抜いてしまって達磨にした。


「はい、トドメ! 火球(イルクーレ)ッ!」


 トドメと言いながら放たれた火球に焼かれてしまうスケルトン、骨は火葬にしても残るけど決して変質しない訳では無いので焼くのが早い。


 況してや、スケルトンは内部の魔素が喪われるまでは擬似的な生命でもあるからか、燃やしてしまうとその生命を喪ってしまうのだとか。


「元から苦戦はしてなかったけど、最早どうとでも成る程度か」


「所詮はEランクだしね~」


 卦韻の公式なギルドランクはF、即ち見習いという立場でしか無い。


 然しながらレベル自体は一八にまで上がっていたし、Cランクの魔物とも継戦能力は高くないけど闘い勝つ事が出来る程度には強く成った。


 尤も、本来ならCランクというのはもっと高いレベルに成らないと認定されない為、卦韻と美衣奈の場合も公式なランクはEまでの筈だ。


 卦韻と美衣奈……だけではなく、槍太と璃亜も含めてレベルには逆の意味で、見合わぬ実力を持っているという事に成るのであろう。


 Dランク以上の実力でありながらFランクなのだから。


「これで後は竜の類縁の血だね」


「美衣奈、本当にそれってリザード系の魔物で良いのか?」


「うん、大丈夫だと思う。何しろ、ちゃ~んと()()が有るからね」


「うん?」


 何だか、おかしな事を言われた気がしたけど?


「リザード系は二〇階層くらいには一応顕れる筈だけど、Dランクくらいだから大して強くは無いと思う」


 これまでに見た事が無かったが、どうやらリザード系の魔物も確かにちゃんと顕れるらしい。


「名前はまんま、リザード」


 血抜きをする為には生かさず殺さずというのをしなければならない、しかも魔力をその場で籠めなければならないから、血を抜くのを目の前で行わなければならなかった。


「よし、向かうか」


「うん」


 転移ルームに向かった卦韻と美衣奈は六角柱の水晶体の前に立った、その水晶体から光が輝くと共に第二〇階層にまで転移してルームを出た二人は魔物捜しに向かう。


「居ないな」


「居ないね~」


 だが然しリザードは中々に顕れてはくれない。


 第二〇階層に来るまでに卦韻が美衣奈から聴いていた話からすると、リザードは灰色の表皮を持った全長五〇cm程の大きさを持っている。


 当たり前だけどドラゴンでは無いから火など吐かないし、鈍重だから余り素早く動けたりはしないし力も大した事が無い、別に竜鱗では無いから防御力も決して高くはない。


 現実に竜と蜥蜴が居たとしたら、決して類似性は無くて血が近似の特徴を持つなど有り得なかった。


 これは魔素が凝り固まって誕生した魔物だから顕れた特徴、事実として()()()()()()()()蜥蜴と同一視なんてしたら焼き払われるかもだ。


「美衣奈、ドラゴンって本物が存在しているんだよな?」


「正確には、竜人族(ドラグーン)って呼ばれている種族だけどね」


「竜人って事は人間の姿に?」


「そうだね、基本的には人間の姿で暮らしてる。竜の姿は費用対効果も悪いから。食べ物的には大量に必要になるし、暮らす場所的にも凄く広大な土地が必要になってくるから」


 ドラゴンの姿とは巨大に過ぎる、だが人間の姿なら食糧も少なめで、土地も最低限で済むのだ。


「でも、魔物としてのドラゴンと竜人族(ドラグーン)って違いは?」


「先ず、知能の差だね~」


 竜人というのは最低でも人間より知能が高い、魔物としてのドラゴンは知能がゴブリン並であるとか。


「因みに、ケインの遣り方をすればドラゴンの魔物からお肉を採れるんだ。鶏肉っぽいらしいよ」


「へぇ?」


 食べれるとは思わなかったけど、ホーンラビットみたいな魔物は肉をドロップするし、魔物でも可食部分が存在しているのは確かである。


 流石にゴブリンなんかを食べたいとはとても思えないが、ドラゴンであるのならばひょっとしたらアリなのであろうか? とも思えた。


(ラノベだったら豚っぽく、作品によってはだけどオークが食えたりするんだけど……な)


 この世界ではどうか知らないが、少なくとも食糧難でも無い限りはちょっと遠慮したいかも。


 それが卦韻の素直な気持ちだ。


「出ないな……」


「他の魔物は顕れているけどね~」


 ゴブリンソードマンやゴブリンソルジャーが、オークソルジャーなんてのも普通に顕れてきた。


「う~ん、此処ではレアだったりするのかね?」


「其処まで希少な魔物じゃ無かったと思うけど」


 リザードは出ない、これが欲しいとか出て欲しいとか思っても出てこないジンクスが有ったか?


 ダンジョンに入ダンしてから数時間くらいは経ったが、未だに顕れない辺りはちょっと困ってしまう。


 そんな風に歩いていると、イグアナっぽい生物がノッシノッシと向こう側から歩いてくるのが見えた。


「あ、蜥蜴だよ!」


「遂に出たか~、こんちくしょうめがぁぁっ!」


 卦韻の表情がソシャゲのガシャを回した際に、ピックアップがいつまで経っても出ないと言って苛立つかの如く歪められていて、美衣奈としては苦笑いを浮かべながら氷結系魔法を放ってやる。


 蜥蜴は変温動物、寒い中では動きが鈍く成ってしまうし、その寒さ故に肉体に変調を来すのだ。


 ロープを手に蜥蜴――リザードをぐるぐる巻きにして吊るすと、短剣を取り出してズシャッという鈍い切り裂き音を響かせつつ脈を断つ。


「血抜きに吊るす為の道具やロープは必須だと思ったから持って来たけど、見事に役立ってくれたものだよな。ってか、蜥蜴の血は赤いのか」


「緑色の血の蜥蜴も居るらしいよ。緑胆汁色素の所為らしいけどね」


「へぇ、そうなんだな」


 蜥蜴の体内から流れ出る赤い血液が瓶の中へと滴り落ちており、分厚い硝子瓶が真っ赤に染まっている。


「血の臭いに惹かれて、小鬼剣士や小鬼兵士が来たみたいだね」


「やれやれ」


 鋼鉄の剣を揮うと首を刈った。


「良し、これで血は採れたな」


「それじゃ、そろそろダンジョンを出よっか?」


「……だな」


 転移ルームから第一層へと転移をして普段着に着替えると、いつもの通りに魔核やドロップアイテムを換金をしてから家へと帰還をする。


 勿論、蜘蛛の糸やらグリーンスライムゼリー、スケルトンの骨やリザードの血は換金してない。


 人間を構成する物質に関しては大した値段を掛けずに手に入るし、後は義肢を形作るだけであるけど……抑々が義肢はオーダーメイド。


 詰まり患者が居なくては始まらない訳であり、其処ら辺はまた両親と要相談という事に成ろう。


 死ねなくて四肢を喪った元冒険者の紹介をして貰う必要が有ったし、実際にそんな人間は結構な――それなりの数が居るのだと聴いている。


 義肢を必要とする人間が居ると、若しそうなら出来るならば確りと造っておきたい気持ちがあるのも間違いない、だけど造りたいから造ると言えるモノでも無いという事だ。


 こればかりは、流石に他の魔導具とは違っている訳である。


「本当に要相談だよな」


「何が~?」


「いや、何でも無いさ」


 美衣奈からの質問に首を、ゆっくりと横に降る卦韻であったと云う。



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