第76話:義肢に向けて
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「そういう胸糞がラノベ以外に起きるもんだな」
「そうだね、だから余り情報は明かしたくない事もあるんだ」
美衣奈としても色々と歯痒いのかも知れない、だからこそ余り情報を出したく無いのであろう。
「じゃあ、今日は配信無しで降りよう。スライムからゼリーを引っ剥引っ剥がせば良いんだよな?」
「そうだね。スケルトンの場合は必要な部位を奪ってからぶっ殺す感じだね。因みにスパイダーの糸の場合、無理矢理に糸を引き出して殺す事になるかな? 頑張って手に入れていこうね卦韻」
「あ、ああ……」
美衣奈の口から物騒で不穏当な科白が飛んで、ちょっとばかり驚いてしまう卦韻であったとか。
取り敢えず、一層から地下第一階層に向かう。
第一階層から始めるのは最弱のゴブリンから剥ぎ取りを行う為、その遣り方を確りと学ぶ為にも必要な事だと美衣奈から言われたのである。
「ほら、顕れたよ」
「……みたいだな」
相も変わらず緑の小人染みてる、人間のパロディみたいな姿の小鬼が素手の侭に歩いてくる。
「卦韻は今や、Dランクの上位になる実力に成るんだよ。だから下手に攻撃をすれば一撃即死も有り得るんだ。だから手加減必須だよ?」
「りょ、了解……」
卦韻のギルドカードのランク自体は未だ[F]に過ぎないが、実力という意味では確かにギリギリでCランクの魔物とも闘えるし斃せる。
だから、卦韻がDランクだと云われても成程と納得が出来るもの、Cランクはギリギリに近かったからランクアップしてもDまでだろう。
「哈っ!」
斬っ!
「アギャッ!?」
「あ゛っ!」
卦韻はゴブリンの胸元を、横斜め一文字に叩き斬ってしまう。
「ケ、ケイ~ン?」
「あ、あれ~?」
ゴブリンが魔素に還ってコロンと魔核が地面に落ちた。
レベルが一八に至った卦韻の攻撃力は相当に上がっており、更には鋼鉄の剣を使っていて僅かに氣力を身体強化に自ずから使っている。
結果、本気を出してもいないのに一撃必殺をしてしまう。
「まさかの一発で……とは」
「所詮は、第一階層のゴブリンってFランクの魔物でしかないからね~。今のケインが普通に闘ったら確実に過剰攻撃に成っちゃうよ」
「俺ってば、そんなにも強く成っていたんだな」
卦韻は自身の両手を見詰めながらレベルの力を認識して呟く、それは存在力の向上が大きく自分の最初から六倍にまで上がった能力を知る。
それにゲーム的な経験値=存在力だけで無く、戦闘能率を引き上げる戦闘経験も上がっていた。
それが自然と敵の弱い部分を突く事も出来る。
「こうなると、少し残酷な事をする事になるな」
「そうだね~」
美衣奈はコリコリと人指し指で頬を掻きつつ、『アハハ』……なんて苦笑いを浮かべていた。
「また出たね」
「五匹か」
「私が四匹を潰すから、ケインは残りを御願い」
「判った!」
言いながら美衣奈は魔力を丹田に収束させる。
「轟雷ッ!」
そして、ケインが潰す予定であったゴブリンだけを綺麗に避けて複数の雷撃を降らせていった。
「今だっ!」
駆け出した卦韻はゴブリンの両腕を肩からバッサリ斬り落とし、更には両脚を膝から斬り離して勢いよく地面へと叩き伏してやる。
「ケギャッ!」
四肢を落として達磨にしてやっただけだから、取り敢えず生命は喪っておらず魔素に還らない。
「まぁ、ゴブリンで使えるのは爪と牙くらいでしかないけどね」
「判った」
だけど既に両腕両脚は斬り離されてしまって、既に魔素に還ってしまってたから獲られるのは牙のみだ。
切り離されるとその部位は魔核からの存在力の供給が断たれてしまう為、僅かに残された存在力のみで残されているから尽きれば消える。
「魔力を確りと籠めてやれば消滅しない筈だよ」
「オッケー」
魔法としては魔力を使えない卦韻だったけど、魔力自体を籠める事は出来るので即籠めた。
これによって、魔素化はしないで留められる。
勿論だけど魔力を扱えない人間には出来ない、卦韻はスキルを扱う事で魔力の扱い自体は出来ている為、こうした剥ぎ取りによる魔力籠めをする事も可能と成っていた。
「何とか牙を抜けたな」
二本の犬歯を抜き取って直ぐに魔力を籠める、これ自体は大した値段にも成らないのだが……
ゴブリンが暴れようにも達磨状態だからどうにもなるまい、卦韻は鋼鉄の剣をゴブリンの首へと添えると……ザクッと斬り落としてやる。
その生命力を喪ったゴブリンは、忽ち魔素化するのであった。
「確かにこれは……クるな」
戦闘で魔物の首を叩き斬るのと、無抵抗な人型の魔物の首をザクリと落とすのとではまた意味が違う。
「じゃあ、次は緑粘液から粘液を採りに行こう」
「判った」
降りて行けばその内にグリーンスライムも顕れるであろう。
何匹かグリーンスライムとは異なる魔物と闘ってきたが、残念な事だがグリーンスライムだけが顕れる事は無かったので探索中だ。
取り敢えずスパイダーが顕れたので美衣奈から教わり、“スパイダーの糸”という服にも使える物がある程度の数を入手する事も出来た。
これを使えばいずれは新しいローブを造る事も出来るし、何ならブレザーにして普段の学校に通う為の制服を造っても良いのかも知れない。
「あれ? そういえば愛坂学園の女子の制服ってブレザーだっけ? それともセーラー服だったかな?」
「ブレザーだよ」
「ああ、そっか……」
「興味有るんなら着よっか?」
「……まぁ、興味が無いと言えば嘘になるよな」
クスクスと右手で口許を隠しながら笑みを浮かべる美衣奈、彼女に揶揄われているのは百も承知の上ではあるけど、こういう関係を好まない男は先ず居ないのでは無いかと思えばむず痒く思う。
「フフ、だったら始業式が始まる前に一回ケインに見せたげるよ」
「それは嬉しいな」
「折角だからさ、ケインの制服姿も見せてよ」
「俺のは普通の学生服だぞ?」
「知ってるよ♪」
まぁ、愛坂学園の理事長の孫娘であるからには制服の彼是くらい知っていておかしくは無いし、ひょっとしたらブレザーだって美衣奈自身が祖父だかに、女子の制服をリクエストをしたのかも知れなかった。
暫く彼方此方を捜し回ってたら、漸く緑色をした粘液が蠢いているのを見付け出す事が出来た。
「ちょっとばかりデカイな」
「多分、複数匹が合体してるね」
「あれが合体スライムね」
流石に合体しているスライムを見たのは初めてである。
「ケイン、緑粘液から粘液片を採るんなら先ずは押さえ付けないとね」
「押さえ付ける?」
いつの間にか魔力を巡らせ右腕を掲げていた、魔導紋が構築されていたけど見た事が無い紋だ。
魔導紋が魔法陣を形成していく。
「重力圧ッ!」
プギュッ! と押し潰されてしまうグリーンスライム。
「今だよ!」
「わ、判った!」
重力の圧力がグリーンスライムを押し潰しているらしく、其処までの力が有る訳でも無いからか身動ぎの一つも出来てはいない。
ケインはグリーンスライムを押さえ付けると、慎吾から聴かされていた通りに魔力を手に纏わせつつも、核に成る部位は極力避けながら内部へと手を突っ込んでやる。
魔素が最も濃いのは当然の事だけど魔核だが、それ以外でも斑こそ有っても魔素の濃い部位が在った。
その魔素の濃い部位が強く出たのが云ってみればドロップアイテム、逆に云えば魔素の濃さが強く出ないとドロップしないのである。
それが詰まり、ドロップアイテムが余り出ていない理由だった。
「この部位がスライムゼリーとして落ちる部位、これを引き剥がして……魔力を籠めるっと!」
魔法は使えない卦韻も、スキルで扱えているから単純に魔力を籠めるだけなら可能、大きさから卦韻は握り込む様に籠めた魔力で、グリーンスライムの生命から切り離される。
「父さんが言っていた通りか、魔力を纏わせればダメージを抑えていられる。よいしょっとっ!」
引き抜いた手の中には緑の粘液の破片とでも云うべき、グリーンスライムゼリーが確りと握り締められて確保が成されていた。
「さてと、次はスケルトンの骨を得ないとイケないのか」
此方は抑々、骨を下手に折っては成らないから面倒臭いかも知れない、何故なら先程の重力圧迫を使った場合は普通に折れそうだから。
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