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銀の騎士と黎明の星  作者: 月乃杜
第二章:獄焔剣
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第63話:火山大国イグナート

.

「ケイン、大丈夫?」


「う、ん?」


 目を覚ますと、何故か俺の頭に柔らかくて温もりを感じた。


 頭を動かすと顔にも柔らかいナニかが当たる。


「う~ん?」


「んっ! ちょ、ケイン? ダメだってば~!」


 何だか解らないけど、ミスティの艶かしい声が俺の耳を衝く。


 あれ? まさか、俺ってばミスティに性的に喰われてる真っ只中?


 ムクムクと俺の下半身に付いた()()()が勃ち上がってしまうが、よく考えてみればそれが挿入は於ろか触れられてすらいないのは理解が出来る訳だし、別に俺もミスティも服は普通に着ていた。


 目を開けてみると真っ暗……なのはミスティのお腹の部分に自身の顔を埋めていたからだろう、寝惚けた頭だがフルスロットルで灰色の脳細胞を働かせ、漸く今の状況の判断をする事が出来る。


 全国何十億人か知らないけれど、地球人工では約半数となる男性の中でも、思春期の年齢な諸氏が夢見るシチュエーション――但し令和の現在もそうかは卦韻も識らない――である所謂、膝枕であったと云う。


 顔が熱い、今の俺はきっと真っ赤に成ってしまっているのだろうが、ゴクリと固唾を呑んでしまって喉を鳴らしたけど彼女に気付かれたか?


 俺自身が詰まる処、思春期男子な訳だからな。


 だから()()()()()がミスティの柔らかな温もりに反応をしているて、今すぐにでも押し倒して襲い掛かりたいという欲望が(もた)げている程に。


「もう少しこうしていたいなら構わないんだよ」


「い、いや! 起きる」


 ガバッと擬音を耳に聴きながら頭を上げると、其処は船旅をしていた侭の船室、という事は現在も俺達はエレメティア大陸を出てイグナート大陸に船旅を続行中、そういう事に成るのだろうか?


「ケイン、元気だね」


「うん?」


 何故かミスティの顔が紅いけど、視線が少し落ち着きの無いというか忙しない? 此方の顔を視ていないのは間違いないが、視線の先は……


「……あ゛!」


 下半身の盛り上がりだった。


 咄嗟に手で隠しながらも愛想笑いを浮かべる。


「まだ着いてないんだな」


「まぁね、でもそろそろ着くんじゃないかな?」


「そ、そうか……」


 余りにも恥ずかしくて、お互いに顔を見合わせる事が出来ないな。


「さてと、もうすぐ着くんなら上に上がろうか」


「そ、そうだね……」


 お互いに紅く成りながら笑みを浮かべ合うと、俺とミスティは連れ立って船室を出るのだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 上がってみるとランスとスピア、オマケで他の冒険者や商人達がワイワイガヤガヤとしている。


「よお、ケイン」


「起きたんだ」


 気配からか、振り返った兄妹が挨拶してきた。


「おはよう……で、良いのか?」


「ああ、朝だからな」


 どうやら朝日が昇ってるらしく、船の進む先に太陽が見えているのは東に進んでいるからだと。


 二つの大小の月がうっすらと浮かんでいた。


 きっと何らかの、古代から起きた宇宙にまでも届く大戦争の痕跡……だと思われる大きな月と小さな月、ファンタジーな世界なのは文明の後退から故で、ひょっとしたらこの世界には魔導科学の真髄みたいなナニかしらが何処かに、だけれども確かに在ったのかも知れないな。


 淡い二つの月光と激しく燦然と耀く太陽光が、この早朝の僅かな時間だけ同時に出ているよな。


 惑星が廻る関係上からか、太陽と月は同時に見えてはいるけど、実は大きい月と小さい月は同時に見えない様に成っているみたいだ。


「大陸が見えてきたな」


 火山大陸と云えるイグナート大陸には、大きな頂上から確かな活火山の証しとも云える噴煙が立ち上ぼる山脈が見え、あれこそがあの大陸の謂わば象徴だとも云える大火山という事なのだろう。


「然し、春先なのに暑いな」


 北方大陸の方にもより近い筈のイグナート大陸だけど、巨大な活火山が存在するからか高い気温で本当にまるで真夏みたいな暑さだよ。


 これは……少なくともアイスクリームが食べたくなるな。


 暫くして船はイグナート大陸のイグナート王国に在る港町パルツィアに到着、これはミスティから聴いていた話だけど、この世界は一つの大陸を一つの国が治めているらしい。


 最初に思ったのは、小さな列島だった日本でさえ群雄割拠して合戦に明け暮れていたというが、それなりにデカイ大陸が一つの国に纏まるなんてのがどれくらい難しいか、想像をする程度の事しか出来なかった。


 実際には各大陸で正しく群雄割拠の時代が有った上に、纏まらざるを得ない何らかの事態が起きたが故の事だったらしいけどな。


 港へと乗り付ける為の小舟に乗って桟橋にまで送られた俺達は、漸くこの国の港町パルツィアの大地を踏み締める事に成功をしていた。


「う~ん! 船旅っていうのも存外と疲れるものなんだな」


「そうだね、お兄」


 両腕を伸ばしながら背伸びをしたランスがスピアに話し掛けると、それを受けたスピアも兄からの言葉に自身も疲労から頷いている。


 とはいえ、二人はエレメティア大陸を出た経験自体が無かったから、船旅も初めての事だから。


 俺は彼方側で船旅も列車旅も飛行機旅も、何なら足を使っての歩き旅だって経験をしているから特に感想も無いが、本来なら俺というかケイン・ユラナスもランス達と同じく初旅の筈なのだ。


 矢張り、それっぽい会話を交わさないと不自然だろうな。


「やれやれ」


 ゴキゴキと腰を回して鳴らしつつそれっぽい事を呟き、チラリと横目でランスとスピアを見遣ると二人も『うんうん』と訳知り顔で頷いた。


 ミスティは苦笑いを浮かべてる、彼女は船旅を何度か仕事関係で村長と共にしているからだな。


「どうやら三人共、特に船酔いはしなかったみたいだね」


「ああ、大丈夫だ」


「俺もだな」


「ボクも平気だよ」


 良し、それっぽい筈!


 取り敢えず俺は、彼方側で造っていた物の情報をアーカイブから呼び出し、更にデスコーピオンの甲殻鎧を改良するべく魔鋼に加工する。


 腰当てと脚当てと籠手と、それに魔鋼製の小盾を装備したいからな、此方も造らないといけないかね。


 それに軽量化の魔法を掛ければ、鋼の魔鉱物化をしても重量は其処までの物には成らないか。


 とはいえ、所詮は三割程度だから一〇kgを七kgにするのが精々だな。


「それで、ミスティ」


「何? スピア」


「これからボクらは、何を目指して動くのさ?」


 それに関しては俺も知りたい。


「勿論、ケインの為の“獄焔剣レヴィアート”を獲る為にも、私達皆でダンジョンに入るんだよ!」


 答えるミスティが見遣ったのは、イグナート大陸の名物であるとも云えるだろう、例の活火山だった。


「若しかして獄焔剣レヴィアート、アレは大火山の所に在るのか?」


「うん、既に大まかな位置は特定してたからね」


「どうやって!?」


「抑々、私がイグナートに来た時には必ずリサーチをしていたからね。数百年前、()の勇剣士様が大火山に向かったらしいってのは掴んでた」


 流石はミスティだというべきか、数年間という時間を掛けて捜し続けてくれていたらしい。


「ダンジョンの傾向は、其処まで強い魔物は顕れないみたいだね。恐らくは天零樹みたいな神聖なナニかが在って、魔物が生まれる魔素を散らしているんじゃないかな?」


「成程……有り得るのか?」


 聖霊剣クリスタリオンは天零樹の根元に突き刺さっていたが、天零樹自体も神聖な力を秘めていたみたいだけれど、あの剣の力も加味されていたのは間違いないのだろう。


 それにしても何年も前からって、ミスティは初めからこの剣捜しを見据えていたって事なのか?


「先ずは冒険者ギルドで登録しないと……だね。それからこの大陸のダンジョンに入ダンだよ」


「大火山に在るんだよな?」


「よく判ったね、ケイン」


「そりゃ、これ見よがしに大火山を視てりゃな」


 話している真っ最中に大火山をチラ見していたからには、彼処に獄焔剣レヴィアートが存在しているんだろうって事は丸判りだわ。


「装備品はある程度をケインに任せるとしても、取り敢えず皆で冒険者ギルドに行こうよ!」


「往よ、行こうぜ」


「うんうん!」


 ランスもスピアも乗り気だな。


「ケインも良いよね?」


「ああ、構わない」


 冒険者ギルドに所属をするのに際し王都へと向かう必要は勿論だけど無い、小さな規模でしかない村ならば兎も角として街なら大概は設置されているし、何ならエレメティア王国の王都兼港町であるスピリチアにも冒険者ギルドは在った。


 然しながらミスティが余り乗り気にはならず、已むを得ずイグナート大陸に渡ってからとなる。


 いったいミスティのあの頑なさ、あれはは何なんだろうな?



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