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銀の騎士と黎明の星  作者: 月乃杜
第一章:聖霊剣
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第50話:第一五階層の闘い

.

 第一四階層にまで降りて来た卦韻と美衣奈の二人だが、イレギュラーが出ないので何だか片手落ち感が酷く、リスナー達も不謹慎であるとは判っていつつ矢張りイレギュラー待ちな処があった。


〔遂に第一四階層だな~〕


〔最初の予定を既に越えたぞ〕


〔ダンジョン探索なんだから、宝箱とか出ないものかね?〕


〔宝箱も魔素から出来てるっぽいからな。中身も実はそうらしい〕


〔マジにか!? それはホント知らんかったな〕


 卦韻も宝箱に関しては確かに聴いていたけど、魔物と同様に魔素が凝り固まったモノ、中身であるアイテムも実は魔素がマテリアライズした代物であるのだとか、ちょっと何を言ってんのか解らないくらいには不可思議な現象であったと云う。


 まぁ、とはいえ魔物なんて生物を創り出せてる時点で不思議なモノ、他に某かを創っていた処で驚嘆に値をしてもおかしくは無いだろう。


 早々に第一四階層も探索をして次の階段は割かし早く見付けた為、長居しても何ら美味しい訳でも無い此処には見切りを付けて降りる。


 目的地……から五階層も下に降りて来てしまってはいたが、兎にも角にも第一五階層にまで来た卦韻と美衣奈は先ず転移門を捜した。


「一応、第一五階層は到達だよ。此処から取り敢えず転移門の部屋を見付けて脱出ルートを確保。本格的な探索はそれからだね」


〔まぁ、次ね階層の階段くらいは見付けないとだよね~〕


〔次に来た時に、また階段を捜してってのはタルいもんな〕


〔階段の位置だけでも見付けておくのは基本か〕


 卦韻がスマホでコメントの確認をしてみれば、矢張りというべきなのか次の階層への階段くらいは捜しておくのが基本らしく、取り敢えず頭の中に浮かべる此処までのマップで階段の大体の位置を予測してみる。


(オートマッピングもダンジョン探索には欲しい処なんだよな)


 ダンジョンの探索に欲しくなるのは別に武器や防具だけでは無くて、ステータスを視る魔導具なら造ったけど更にはアイテムバックやオートマッピング機能、昔のFCとかレトロゲーならいざ知らず今時のゲームなら至極当たり前のモノだった。


 欲しい機能は幾らでも有るのに、残念ながら今はまだ現実には出てこない機能だったなら造るしかない、その為の能力は星神(ワールド・オーダー)テリアル様とやらから貰っているのだから。


 自分が星騎士ワールド・ガーディアンだから貰えたみたいではあるが。


「ケイン、ボーッとしてない! 蟻兵が来る!」


「蟻兵? ソルジャーアントか!」


 新しく顕れたのは見た目には巨大な蟻であり、ケインの膝くらいまで有る黒い蟲の魔物だった。


 以前、美衣奈が焼き尽くしていたコックローチに比べれば、それが蟻である分には幾らかマシなのかも知れないけれど、カサカサと動く(さま)は可成り気色悪いものだ。


「うぇ、蟲系はちょっと嫌。油蟲よかマシだけどさ~」


 矢張りコックローチは嫌いかと、卦韻としては納得してしまう。


「蟲系だから私の炎の魔法で焼く、だから取り零しをケインが斬って!」


「判った!」


 美衣奈の丹田から魔力を籠める、魔力は血流の如く流されて腕へと伝えると、魔導紋を絡めながら魔法陣を構築していって意味の有る形に変換、そして力成す言霊を以てその威力を現実化した。


炎柱(フラムソイレ)ッ!」


 炎の柱が立って、何匹かのソルジャーアントを焼き尽くす。


「蟻だけあって数が多い、矢っ張り幾らかを取り零してる!」


 ゴブリンやコボルトみたいな群れる魔物も出るのだが、数匹とか十数匹なんて規模では決して無くて明らかに数十匹単位で顕れていた。


(恐らく、美衣奈なら纏めて斃せるとは思う)


 舐めプでは無い、卦韻のダンジョン経験値を上げる為に遣っているのだろう、そう考えている。


 剣を揮うと極めて柔らかい蟻の首部分を絶ち斬って落とす、態々硬い甲殻部分を叩く必要性などは決して無く、当然斬り易い部分を斬った。


 一匹、二匹、三匹……と卦韻は素早く動いて叩き斬る。


〔お、おぉ……正しく首刈り族なんだよな~〕


〔怖っ!〕


〔全く容赦しない殺戮スタイル、其処に痺れる憧れる~www〕


〔ミスティちゃんも、焼き殺すガールだぜよ?〕


〔冒険者だもんな~〕


 コメントが流れている、マイナス要因は無いのだけど、首刈り族呼ばわりをしているのは戴けないと考える卦韻、とはいえ余り悪いものでも無いから問題も無いだろう。


 ソルジャーアントの幾つもの魔核が転がり落ちており、それを広い集めるのにも新たな魔物が顕れる事を鑑みればストレスが溜まるもの。


 思っていた通りで、ソルジャーアントより強いナイトアントが数匹程度ではあるけど顕れた。


 黒かったソルジャーアントに比べて真逆に白い全身、何と云うか白蟻みたいで可成り不気味。


 甲殻も銅程度の硬さしか無いソルジャーアントのモノより硬く、鋼鉄並とまではいかなかったけど鉄により近い硬さであるが故に、並大抵の冒険者ではきっと歯が立たないであろうし、青銅の剣程度では仮に一流の冒険者でも、どうにも成るまい。


 まぁ、超々一流の冒険者な楠葉慎吾であれば、青銅の剣でも簡単に斬ってしまいそうだけど。


「蟻騎士来たぁぁぁぁっ!」


「突然どうした!?」


「イレギュラー! しかもシルヴェンウルフ程に強くは無くて、ちょっとだけ強い程度の魔物なんだ!」


「な、成程?」


 どうやらナイトアントはイレギュラーらしく、しかもBランクなシルヴェンウルフよりは弱いという話、美衣奈としてはラッキーらしい。


〔確かナイトアントってDランクの魔物だぜ?〕


〔けど、一〇匹以上も群れたらCランク以上にも成るらしい!〕


〔Cランク以上Bランク未満ってか? 見習いのレベルじゃ勝てる相手じゃねーぞ……普通はな〕


 一〇匹を越えればBランク未満だったけれど、数匹だから其処まででは無いという事だろう。


「さぁ、殺るよケイン!」


「応っ!」


 一五階層に来るまでにはレベルも上がっていて卦韻は一五、美衣奈は一三だったから多少なりと強くも成っているという事に。


「アントソルジャーと同じくだよ」


「任せろ!」


 再び美衣奈は魔力を練ると、その魔力が魔導紋に換えていく


蒼焔(ブローフラメ)ッ!」


 美衣奈の右腕から掌に掛けて魔法陣が構築されていく、通常の赤い焔より尚も温度の高い蒼き焔が二匹のナイトアントに襲い掛かった。


 それは鉄の融点にすら到達する、今までの赤い焔とは温度が数百℃は高い蒼き焔は二匹のナイトアントを焼いて、融かして焼失をさせる。


「此方もだっ!」


 斬斬斬っ! 卦韻の剣檄はアントソルジャーよりも硬い甲殻や関節を持つナイトアントであった訳だが、卦韻が力の限り振り下ろせば首の部位を完全に斬り落とし、魔素に還って魔核が落ちた


 同時に金属音が響く。


「げっ! 力一杯遣り過ぎたか? 刃毀れをしてしまった?」


 スライムを突いた事による劣化も有ったろう、結果として硬い関節を斬った事で欠けたのだ。


「あちゃ~、これって下ろし立ての鋼鉄の剣だったのにな~」


「残念だったねぇ」


 ドクンッ!


「ぐっ! 大分この感覚にも慣れてきたかな?」


 それこそ、レベルが上がった証しとなる脈動。


「不幸の後の幸いだね♪」


 イレギュラー故に、FランクからEランクしか顕れないダンジョンでDランクの魔物、獲られた存在力はアントソルジャーよりずっと多い。


「これなんだよ、頑張れば斃せる程度の魔物なら存在力も稼げるからね。うん、Bランクなんて要らない要らない! 本当のほんっとうにラッキーだったよ」


 嬉しそうに言う美衣奈、魔物とはいえ蟲を殺戮した後にしては爽やかな笑顔がちょっと眩しい。


「イレギュラーも出たし、丁度此処は転移門の在る第一五階層。配信も終了して帰ろっか卦韻」


「そうだな」


 美衣奈は配信用ドローンに向かって小さく手を振ると……


「という訳で、本日の【CCC(スリーシー)】の配信活動は終了です! それじゃ、次回も観てね? Vi sees(またね)!」


 リスナーへ終わりを告げて、配信のスイッチを切るのだった。



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