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銀の騎士と黎明の星  作者: 月乃杜
第一章:聖霊剣
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第39話:初逢瀬

.

「あ、ケイン。今日の探索や配信はお休みだよ」


「ああ、判ってる。これが完成したから美衣奈に渡そうと思ったんだよ。魔銀(シルヴァライト)を使った指輪だな」


「そっか、完成したんだね」


 嬉しそうな表情になった美衣奈、卦韻としてもこの笑顔を見れただけ造って良かったと思えた。


 魔銀を土台に、ポイズントードの魔核を使った上で、この魔核に防御上昇(フォセバスティゲ)の附与をしている。


「これ、私が教えた防御魔法じゃ無いよね?」


「母さんに見せて貰ったを防御上昇(フォセバスティゲ)附与したよ」


「中級魔法だね、ダメージを四〇%カットだよ」


「まぁね、小カットよりはマシだと思って母さんに頼んだんだ」


 ダメージ二〇%カットより、矢張り四〇%カットの方が事故も起き難いだろうし、デスコーピオンの時も危険が有ったから防御は上げたい。


 特に最近起きている初心者ダンジョンで起きているイレギュラー、今はまだデスコーピオンというDランクに位置する魔物だが、結局はEランクダンジョンの最下層には出てくる程度の魔物だ。


 若しも、更に強力な魔物がイレギュラーとして出現したらどうなるか? 下手したら殺される。


 一応、ダンジョン内で死んでもペッされるだけだとはいえ、死んだ時の肉体的精神的な衝撃とは凄まじいものなのだとも聴かされていた。


 最悪、ペッされるだけでも死にたくは無いし、勿論だけど仲間を誰も死なせたくはないのだ。


 そしてミスティは左手の薬指のシルバーリングを外すと、新たなシルヴァライトリングの方へと装備をし直して自らの左手を卦韻に見せる。


「ケイン、どう?」


「うん、似合うな。デザインを考えた甲斐があったよな」


「フフ、有り難うケイン」


 美衣奈がパンパンと自身の胸元を叩いてみると笑みを浮かべた。


「うん、大丈夫みたいだね」


 魔素の薄い地上でもある程度は使える魔装具、故にこうしてちょっとした試しも簡単に可能だ。


「けどね、どうして私に魔法の相談をしてくれなかったの?」


「美衣奈に、璃亜にもだったけど、渡そうと思っていたんだぞ? 美衣奈に相談はちょっとな」


「男の意地?」


「ま~ねぇ」


 正しく男の意地、美衣奈に頼るのは違うなと。


 卦韻だって男の子、偶には女の子に見栄を張りたい時もある。


「折角の春休み、ダンジョン探索もお休みなんだからデートでもしてみない? きっと愉しいよ」


「デ、デートッ!?」


 多分だけど、今の卦韻は真っ赤に顔が燃えていたりするのだろうが、然しながら美衣奈の方も頬を仄かにピンク色に染めていて御相子だ?


(人生始めて一六年、女の子と初めてのデートになるのか)


 尚、前に[夜口法律事務所]へと出掛けてレストランへと入ったのは、二人にとってデートと呼べるものでは無くノーカン扱いだったらしい。


「さ、行こ!」


「そ、そうだな。そうしよう」


 手を差し出された卦韻は、その自分より小さくて柔らかな手を取り、若干リードをされる形には成ってしまったものの共に歩み出す。


(とはいえ、デートって言ってもいったい何をすりゃ正解なんだ?)


 突然の事でもあったからデートプランなんて全く考えてないし、何なら美衣奈も思い付きで口に出したのであろう、此方も全くノープランだったらしくて、キョロキョロとしながら何処に行くか検討をしていた。


(美衣奈も、実は何も考えて無いっぽいよな!)


 取り敢えず歩く事にする。


 どちらにしても、卦韻も美衣奈もある意味では初デートだから気取ってみても仕方無いだろう、二人は互いに手を握り締めて目的地も当てどなく進み、ウィンドウショッピングを愉しむ事に。


 良い物が有れば買うのもアリというくらいで。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「デパートで良かったのか?」


「水族館や動物園って言った方が良かった?」


「いや、そうは思わんが」


 というより、流石に魚や動物を見学したいという訳では無い。


「遊園地とか?」


「そうは言われても……」


 余り遊園地を愉しもうとも考えてはいないが、それでもちょっとくらいなら遊べるかな? とも思って、行ってみるかと頷いてしまった。


「まぁ、行ってみるか」


「そうだね♪」


 近場の遊園地はそれなりの広さの土地を有する場所であり、実は愛坂家が運営をしている遊園地だから何度か家族で行った事もある。


 残念ながら、卦韻も美衣奈と二人で行った記憶は全く無かった。


 [愛坂遊園地]というまんまな名前の遊園地へと行った二人、ジェットコースターはそれなりの速度ではあったが、氣導術の韋駄天の方が疾かったからスリルが何だか足りない。


 総じて絶叫系は物足りなさを感じてしまうが、どうやら美衣奈も絶叫するには足りなかった。


「ミラーラビリンスか、面白そうだよねアレは」


「なら入ってみるか」


 ミラーラビリンス、呼んで字の如く鏡張りになった迷路である。


 一般的にはミラーハウスと呼ばれるアトラクションだが、それよりも複雑怪奇な迷路にしてある関係から“ラビリンス”と名付けられた。


「あたっ!」


「美衣奈、大丈夫か?」


「アハハ、やっちゃったね」


 美衣奈がガラスの壁に額をぶつけてしまうが、気にした様子も無くて卦韻に笑顔を向けてくる。


 意外と愉しい。


 メリーゴーランドは流石に恥ずかしかったが、ニコニコと手を振ってくる美衣奈に振り返した。


「偶のお休みも悪くは無いね」


「そうだな」


 コーンの上に二段重ねのアイスが載っている、遊園地に遊びに来れば定番商品という事だろう。


「春休みだけあって、結構な客入りみたいだね」


「いったい、今日だけでも何百人居るのやら計り知れないな」


「それだけ、人気コンテンツって事なんだよ」


 一日や二日では廻り切れそうにない広大な土地を確保し、其処に一大アミューズメントパークを建設してしまったのが美衣奈の祖父だ。


 アイスを食べ終わってから再びアトラクションを遊ぶべく動く。


 バイキングも可成りの絶叫系だったけれども、矢張りダンジョンを行くからかスリル不足だ。


「これは……ダンジョンパーク? ダンジョンをアトラクションに?」


「一番新しいアトラクションだよ。尤も、困った事に魔物って単なるヌイグルミなんだけどね」


「美衣奈が知ってるのは?」


「私も少しだけ関わったから」


 美衣奈が関わったのは魔法関連、然し残念ながら余り愉しいアトラクションにはならなかった。


「入ってみる?」


「ちょっとだけね」


 お金を払ってダンジョンパークに入るものの、ちょっとした迷路に安全な武器モドキを揮う。


「う~ん、これは……」


「ダンジョンっぽく無いよね、魔物のヌイグルミもデフォルメが過ぎてるし。魔法も声に合わせて音が鳴るだけだもんね。せめて光の演出くらいは欲しかったんだけれどね」


 はっきり云ってチープだ。


「余り人が居ないのは、ダンジョン自体に人気が無いんじゃなくて、チープ過ぎる所為なんだな」


「まぁね、余りにも子供騙しが過ぎてるんだよ」


「う~ん、AR技術を駆使したり……イケそうな気はするけど、全面的な改装が必要に成りそうだ。まぁ、人気が無いアトラクションだからな」


 卦韻はこれまで冒険者に興味を示していなかった訳だが、その間にクラフト系だったりプログラムだったりの分野に興味を持っていた。


 要は破壊よりも造る方だった為、卦韻に発現したスキルが創造系なのも理解が出来てしまう。


 美衣奈はそんな風に思案する卦韻を優しい笑顔で見守っている。


(一〇年振りに見たけど、矢っ張り良いよね~)


 考え込む卦韻、それは昔からだったから美衣奈もよく見ていた光景だったし、実は卦韻のこの姿が好きだから一〇年も見れず残念だったが、漸くコレを見れるのだから嬉しい。


「さて、そろそろ夕飯にしようか。またあの時のレストランにするか?」


「そうだね、あそこは美味しかったから良いかも」


「うん? 彼女は……」


 ふと、卦韻が見たのは茶髪で片腕が義手、右足が義足の女性。


 黄昏ていたから目に入った。


「多分、元冒険者だよ」


「ああ、矢っ張りか」


「恐らく、ダンジョン探索で酷い目に遭ったんだろうね」


「肉体欠損レベルでか」


「うん。()()()()()()()()()()


「……へ?」


 余りにも有り得ない事を言い出した美衣奈に、卦韻は信じられないとばかりに吃驚とした表情を彼女へと向けて、呆然と見詰めるしかない。



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