表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の騎士と黎明の星  作者: 月乃杜
第一章:聖霊剣
24/58

第24話:水無瑠亞の憂鬱

.

 水無瑠亞は東京側の冒険者ギルドからの返信を受けて困惑の表情を隠せない、何故なら又従姉妹に当たる愛坂美衣奈と一応は血筋な楠葉卦韻も、自分達と同じくイレギュラーが起きていたから。


「まさかとは思ったけれど。他ではイレギュラーは起きてません、詰まり今の処はどちらも初心者用のダンジョンのみが対象なのよね」


 東京側と北海道の共通点は初心者用ダンジョンだった事、其処に某かの意味が有るのか否かは判らない瑠亞ではあるけど嫌な予感はする。


 何しろ場所は初心者ダンジョン、早い話が入るのは基本的にダンジョンのダの字も知らない初心者が入る訳で、若しも報告の中に出たデスコーピオンが現れたりしたら、その時に入ダンしていた初心者がどうなるか? 想像するだに恐ろしい。


 瑠亞はギルドに行って見せられた報告書からは浅層に出ない筈のディアー、そして最悪とも云えるのが件のデスコーピオン出現である。


 デスコーピオン自体は、瑠亞からしたら大した魔物ではない。


 こう見えて瑠亞は一九歳にしてAランクだし、その若さと実力は一級品だから多少のイレギュラーくらい、幾らでも対処が出来てしまう。


「若し、イレギュラーがこれからも起きるのなら槍太君や璃亜ちゃんを入ダンさせるべきでは無いのかも知れませんね。でもそれならいっそ、イレギュラーが弱い内に慣れさせるのも手……なのかしら?」


 槍太と璃亜でも対処が出来そうなイレギュラーを斃させて、戦闘経験を積ませつつ魔物の存在力を吸収させれば、対処能力も上がるし強くも成るではないか? 事実として美衣奈もその心算で卦韻を鍛えてる筈。


 デスコーピオンみたいな圧倒的な敵は困るが、ちょっとばかり強い程度の魔物ならば問題も有るまい。


「少しスパルタが過ぎますかね」


 溜息を吐きながら呟く。


 瑠亞は優しいし、端目からは嫋やかな美女だったりするが、実は結構厳しい部分も垣間見れる。


「少し、ダンジョンに潜ってみるべきですかね」


 瑠亞は北海道に存在しているダンジョンの中でCランク相当、レベルで云えば今の自分から視れば格下の魔物しか顕れない場所へ行く事に。


 北海道某市に顕れたダンジョン、其処はCランクのダンジョンの中でも比較的に難しい場所で、昔……と云っても二年前だが大変だった。


 瑠亞は此処に一人で来ている。


 槍太と璃亜には二人だけで初心者用ダンジョンに入らせており、第二階層までしか降りない様にと厳命をしていたし、二人もイレギュラーの事が判っていたから無茶な冒険をしようと思わない。


 特に槍太は瑠亞に嫌われたくは無かったから。


「ふむ、一階層から五階層までの浅層は特に問題も無し……と」


 浅層と呼ばれているのは地下第一階層~第五階層に至るまで、上層が第六階層~一五階層までの事を云う、第一五階層~二五階層が中層だ。


 そしてCランクダンジョンとは、下層と呼ばれる第二六階層~四〇階層まで存在しているとか。


「取り敢えずは、四〇階層の下まで降りますか」


 Cランクダンジョンだからソロでもイケるが、本来ならばパーティを組んだ方が良いものだ。


「ていっ!」


 弓矢を使う瑠亞だが、近接ではメイスによって魔物を撲殺している。


 ボグッ! 鈍い音をダンジョン内に響かせて、ゴブリンウォーリアのド頭を陥没させていた。


 ゴブリンウォーリアが魔素に還り、地面に魔核が落ちている。


「これなら一〇〇〇〇円かな」


 ただのゴブリンなら三〇〇円か其処らだけど、Cランクダンジョンに顕れる魔物の魔核はそれだけで強いから高額に成り、それなりに稼げる様になるからダンジョン探索で稼ぎたいならDランクを越えるべきと、それが現代ダンジョンの定石。


 その様に云われている。


「あ、宝箱(トレジャーボックス)


 ダンジョン内に顕れるのは魔物だけでは無い、宝箱という何故かそんな代物まで顕れるのだ。


 内容物は薬品だったり武具だったり様々だが、場合によっては良い物が入っている事があった。


 とはいえ、ダンジョンの宝箱は魔素が凝り固まって産み出されたという意味で魔物と変わらず、単純に魔素が物質化しているモノでもある。


 ならばこれは何処から?


 冒険者が持っていた道具や装具を魔素で複製をしたのでは? それがとある少女がダンジョンの研究の末、出した結論だったのだと云う。


 因みに宝箱にはトラップも仕掛けられている。


 魔力が身体の芯から魔力回路を通り、腕を通じて意味の有る紋様が浮かんで魔法陣と成した。


罠解除(フェルネフェッレ)!」


 ガチャリと音が鳴る。


「良し!」


 宝箱を開くと中に入っていたのは槍であった。


「槍太君に持たせてみようか?」


 Cランクのダンジョンならそれなりに良い物、然しながら良過ぎる物でも無いからイレギュラーに対抗すべく、槍太に新しく武器を渡してみるのもアリかと考えた瑠亞は、槍を売らずに置くと決めて持っていく。


「話に聴くアイテムボックスとか、アイテムバッグが有れば便利なんですよね。出来たら慎吾さんが造ってくれたら嬉しいんですけれど……」


 楠葉慎吾は瑠亞の冒険者としての師匠であり、魔工師でもあるのだからいつかは造って欲しい。


 一応、瑠亞はそれなりに大きいバックパックを背負っていて、それにぶっ挿した形で持ち歩く。


「鑑定はギルドで頼むとして、イレギュラーなんて出ませんか」


 イレギュラーが出ないか調べる為のダンジョン探索だったが、特に異常が出ている様な事は無かったから寧ろ戸惑いを覚えてしまう。


「ポイズンスパイダー!」


 紫色な体表を持った毒々しい蜘蛛が現れた。


 だけど先に現れたゴブリンウォーリアにせよ、ポイズンスパイダーにせよ決してイレギュラーでは無い、通常の湧出(ポップ)をする魔物である。


「粉砕しなさい、轟雷(ミョルニル)ッ!」


 魔力が荒れ狂う。


 複雑怪奇に紋様が絡み付いて魔法陣を成して、それに魔力を確りと注ぎ込み意味を持つ言葉に変換され、まるで鉄鎚の如く雷が落ちた。


 それは、可成りの高レベル帯たる冒険者が行使が出来る魔法である。


 完全に消滅してしまったポイズンスパイダー、その後に残されていたのは魔核と毒線だった。


「この辺のダンジョンにイレギュラーは無い? 若しかして、イレギュラーは初心者用のみなのかしら? 選りにも選って初心者用だけが」


 通常のダンジョンならまだ良かったのだろう、最悪殺られてたとしてもダンジョン入口でペッされるだけで済むし、余り問題は無いだろう。


 然し、初心者用ダンジョンは云ってみれば入るのは殆んどが初心者、そんな彼らが死ねば当然だけどPTSDを発症し兼ねないのだから。


 衝撃的な死の記憶は精神的に辛くなるものだ。


 勿論だがダンジョン内での出来事は自己責任、内部で死んでペッされてしまい、PTSDの発症をしたとしてもそれは仕方がない事。


 それでも初心者は心構えも出来ていないので、イレギュラーだけは勘弁して欲しいと考えてた。


「もう少し降りてみますか。いずれにせよ帰還するならゲートが要るし、降りる必要があるもの」


 階段を降りて行くと早速とばかりに顕れる魔物は通常のモノ。


 魔物の強さとは一定では無くて、アトランダムにちょっとくらい上下をするというは普通だ。


 ゲームでも偶に有るが、HPなどが乱数変化して能力が変わったり。


 このダンジョンの場合も能力が上下するのは、内部で魔物同士が殺し合っているからだとか。


 殺した魔物が殺された魔物の魔核を喰らう事、それによって魔物は謂わば存在力を獲て人間で云う処のレベルアップ、全身が強く成るのだ。


 尚、人間が魔核を喰らっても存在力を獲られないとされる。


 理由は人間には魔核が無いから。


 存在力を吸収するのがレベルアップの秘密ではあるが、魔核は確かに魔素の凝り固まった存在力だけど魔核を吸収出来るは魔核のみだ。


 故に魔核を持たない人間は魔核を喰らったとしても吸収が出来ず、それを砕いても魔素化する訳では無いからどうやっても不可能である。


 それは兎も角、瑠亞は目的地まで降りて行くと、立方体の水晶である転移門(ゲート)を使って転移をすると地上へと戻って行った。



.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ