第15話:唯一技能
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「ユニークスキルって何なんだ? いや、唯一技能ってのは勿論だが理解をしているんだけどさ」
「うん、この世界に唯一の技能だからユニークスキルだね。私の場合は【魔導妃】なのはさっきも言った通り、そしてユニークスキルは神により魂へと刻まれるから、仮に現在の生命を喪って次の生命に生まれ変わっても、持ち越せる技能なんだ」
「持ち越せる?」
「そう、生まれ変わったなら自我同一性を喪う訳だけど、ユニークスキルだけは使えるらしいよ」
一度死んで転生をしたら普通は記憶を喪うな、ラノベの地球からの転生者は記憶を持つけど。
俺のこの状況はよく解らんが。
転生? 転移? 夢か現つか? サッパリだ。
(まぁ、転生してないのは解るな。転移でも無いから夢だと思った……否、思いたかったんだ)
現実というのも矢張り考え難いものなんだが、だけどダメージを受ければ痛みが有るからな~。
頬をつねれば痛くないのが夢と、それは飽く迄も夢の中でつねってみても現実には遣っていないのだから、痛みなど感じる筈も無いのだ。
「ケインも持っていたら覚醒するんじゃない?」
「だと良いけどな」
「ケインにも、ジョブスキルとコモンスキルは在る筈だよね?」
何処か確信を持っての言葉に俺は頭を掻いた。
「在る」
自分なりにスキルを自覚する手段を確立していたから座禅をして瞑目をし、自分の中にナニかが在るのは俺も感じているのだ。
俺の中にジョブスキルの【剣士】が確かに存在してるし、コモンスキルも【速読】を持っている。
実はレアスキルも在るには在る、だけど流石にそれは自覚をし難い。
「ちゃんと判っているなら大丈夫だと思うよ」
「そうだな……」
折角だから、寝る前に瞑目をしてみるのも良いかと考えてみた。
ミスティと別れて家の中に入ってしまえば一人だけの時間、俺は座禅を組むと瞑目をして意識を自身の内宇宙とでも云う世界へ没入する。
内宇宙とは心象世界であり、まるで水晶の谷とでも呼べば良いのだろうか? あちこちから美しくも神々しい、それでいて寒々しさも感じる巨大なる水晶が地面から突き出された形で生えていた。
水晶の中にスキルらしきモノが存在しており、俺は手を突っ込むとスキルの情報が頭に浮かぶ。
「ジョブスキル【剣士】」
俺の中の赤い水晶、コイツがジョブスキルだ。
「コモンスキル【速読】」
黄色の水晶はコモンスキルで、【速読】は文字通り本や文字などを素早く読み解けるスキルだ。
蒼い水晶はレアスキル、だけれどノイズが走り頭痛でガンガン痛む。
普段はこの痛みに手を引っ込めてしまうけど、俺は痛みを我慢しながら更に奥へ奥へと進んだ。
「ぐっ、ううっ!」
掴む、掴むんだ!
これまでの俺はどうしてもこの言い知れぬ痛みに抗えなかったがミスティを、ランスを、スピアを喪い掛けたその時に視たのは、美衣奈や槍太や璃亜が倒れている姿だったのがキレた理由だし、喪失の痛みに比べればこのくらい何でも無いっ!
上手く掴み取れた。
「SSR……スキルッッ! 【真鑑定】……?」
違った、これだけの痛みだからまさかとは思ったけど、レアリティはR処かSRすら越えている。
俺の心象世界だからか、ソシャゲみたいな感覚でレアリティが決まっているみたいなんだよな。
コモンはCスキル、レアはRスキル、スーパーレアがSRスキルで、その上がSSRスキルとなる。
そしてURスキルが、ユニークスキルという訳だ。
「ひょっとして、未だ下のレアリティなスキルが未取得で眠ってる?」
最後に虹色の水晶。
「ぐうっっ!?」
手を突っ込んだら凄まじいまでの激痛が全身を襲ってきて、まるで生きた侭で引き裂かれるかの如くで本当にバラバラになった心地だ。
「が、嗚呼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!」
それは最早、激痛すら越えたナニかが襲った。
魂をもグチャグチャに掻き回されたかの様な、虹色の水晶へと手を突っ込んだ状態でのた打ち回る。
「そ、れ……でもぉぉぉっ!」
力を内包しながらも、それを放っておいていざという時に使えない無様を晒したくは無いから!
「ユ、ニーク……スキ……ル」
頭に浮かぶスキル名。
「【錬成王】」
この世界のユニークスキルとは、男の場合は王と付き、女の場合は妃と付くルールが有る様だ。
俺は名前をタップしてスキルを調べてみた。
内容は……魔法具、魔導具、魔装具、魔宝具の類いを製作する事が可能となるユニークスキル。
魔法具とはポーションなどの事、魔導具というのは特殊な魔法効果を持つアイテム、魔装具とは魔法の効果を持つ装備品、魔宝具とはアーティファクト級の道具の事を指す。
「その全てを製作が出来るのかね。ユニークスキルと呼ぶだけあるブッ壊れだ。しかも【真鑑定】との相性が出来過ぎなくらいに良いよな」
先程までのた打ち回る激痛を感じていたけど、今はその痛みも大分緩和が成されているよな。
製作方法はスキル保有者の知識と感性に依存されると有る。
「中々に面白そうなスキルだ。製作系能力ってのがまた」
面白そうなとは、ラノベなどではブッ壊れで鉄板の能力だからだ。
「試してみるか?」
目を開け内宇宙から離脱すると、スキルを使うべく俺はスキルを早速とばかりに展開をした。
遣り方はどうやらよく知るゲームなんかと似た様なシステム、確かに知識と感性がスキルに対して大きく依存しているのは間違いないな。
俺が使うのはデスコーピオンの魔核と同じく、デスコーピオンの甲殻という先頃に獲た物だ。
「デスコーピオンの甲殻だし、鎧を造ろうかな」
それなりに大きい甲殻だったが、流石に四人分の魔装具なんて造る余裕は無さそうだったから、取り敢えず俺とランスの物を造ろうか。
必要な部位をタップ、素材である甲殻と魔核をを放り込んで、そしてワイヤーフレームを使って形を形成していって、色も変えてしまおう。
「素材を理解し、分解、再構成を行うっと。魔核を四つに割ってっと、二つは甲殻の鎧の分だな」
残りの二つはミスティとスピア、二人にはアクセサリーを造るかな?
普通に造るよりは可成り早い製作みたいだな。
「完成っと」
本来なら何時間も掛かるであろう鎧の製作は、僅か一時間も掛からずに二個共が完成したよ。
「アクセサリーはどうするかね? せめてシルバーかプラチナ辺りが有れば嬉しいんだけどな」
俺の知識じゃ、銀を使うか白金を使うかくらいしか思い付かない。
白金は安いとはいかない、銀にしてもこの世界の値段とか判らないんだが、どうしたものかな?
一応、銀はグラム単価で五〇〇円以内だったかと思ったが、白金だとグラム単価で一〇〇〇〇円を越えていて、金は白金の倍以上だったか?
「女の子に贈るアクセサリーってバカたけー!」
俺は思わず頭を抱えた。
一gが一〇〇〇〇円なら一kgだと一〇〇〇万、見習い冒険者に手を出せる価格帯じゃないよな。
まぁ、アクセサリーに一kgも使わないけどさ。
「取り敢えず、アクセサリーの話は置いといて」
デスコーピオンの甲殻製の鎧、胸部と腕部のみの簡素な代物だったけど、俺は装着をしてみる。
「よし、ある程度のサイズ調整も利くから上手くフィットしているな」
脚部も造れたら良かったけど、幾らデスコーピオンの甲殻が大きくても二人分には足りなくて、已むを得ず胸部と腕部のみを造ったんだ。
聖霊剣クリスタリオンの鞘も造っておいたし、剣身を鞘へと納刀をして更には腰に佩いてみる。
「悪くは無さそうだ」
単なる鞣し革を使った革鎧より遥かに高級感が溢れているし、青銅の剣を佩くよりクリスタリオンの方が何だか様に成っている気がした。
黒塗りの甲殻鎧は、本当に高級そうに見える。
因みに、ランス専用に準備をした甲殻鎧は朱塗りにしていた。
「精神力が大分磨り減ったな」
精神力が一桁にまで下がると眠気が襲うと聴いた事があるが、流石に凄く眠くなってきた所為で俺は鎧を脱がない侭にベッドに入っていた。
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