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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第五部 中級戦闘魔術師昇格試験
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第九十七話 協調性、未来への一歩のため


 カキ、シーラ、ニコラスの三人は、二次試験にようやく挑むことになった。

 正直なところ、シーラは二人をまとめると決意したけど、不安でいっぱいだった。カキはともかく、ニコラスを納得させる術を知らない。というよりも、わからない。

 結局のところ、無理だとならなければニコラスは自分の意志を曲げてはくれない。

 だから、シーラはこう声をかける。

「二人とも、絶対に二次試験に受かろうね。協力して勝とうね」

 受かるということ、勝つということを絶対条件にする。そうすれば、ニコラスが協力してくれる可能性が上がる。

 何より、今回は中級戦闘魔術師への昇格が懸かっているのだ。こんなところで落とされるわけにはいかないと、ニコラスだって考えているはずだ。

 きっと、大丈夫。きっと、うまくいく。

「おう!」

「当然だ」

 二人の返答には、揺るがない自信がある。落ちないという、負けないという。

「それでは、始め!」

 カキたちの三次試験に進出するための、中級戦闘魔術師になるための一歩のための二次試験が始まった。


 カキとニコラスの受かりたい、勝ちたいという気持ちは、シーラが想像しているよりもずっと、大きかった。ひしひしと伝わるほどに、二人の攻撃は重みを感じたし、揃っていた。

 シーラも、二人に負けてはいられない。二人の攻撃をサポートするために、シーラは魔術を発動する。

 カキとニコラスとは違い、シーラは後方支援を得意としている。前に出れば、二人の邪魔になると思い、サポートに徹する。

 だけど、ニコラスはともかく、カキの攻撃が一向に当たらない。魔術の成功率も以前よりは上がっているが、低いことには変わりがない。

「カキ、お前は体術に集中しろ」

 ニコラスは、カキにそう指示した。

 このままでは、受かりはすれど、負ける可能性が高い。それほど、相手に通用していない。

「どうすんだよ?このままじゃ負けるぞ」

「じゃあ、お前が戦うのをやめればいい」

「それじゃあ、試験に受からないでしょ!」

 カキとニコラスの会話に、シーラは口を挟む。

 妖精も杖も使えないこの試験。相手は一人といえど中級以上の戦闘魔術師。勝つためには、実力も必要かもしれないが、戦略が重要となるだろう。

 シーラは、勝つために思考を巡らせていた。

 何としても、勝たなければならない。勝たなければ、二人が今後協力してくれることがさらに減るかもしれない。それは避けたい。

「────・・・ニコラス!」

 シーラは、ニコラスにナイフを投げた。

 ニコラスはそれを受け取り、シーラを見る。

「・・・そういうことか」

 シーラがニコラスにそのナイフを投げたわけ。それはわかった。

 だけど、なぜニコラスなのか。シーラ本人が相手に投げつけてもいいはず。

 違う。これは、ニコラスでないとダメなのだ。カキにナイフを当てないように相手に投げつけられるのは、カキがどう動くかわかる、カキの動きに合わせられるニコラスでないと。

 ニコラスは、相手にナイフを投げつけるタイミングを計っていた。完全に当てる必要はない。かするだけでもいいのだ。

 ニコラスは、相手に向かってナイフを投げつけた。

 相手の腕をかすり、少し血が滲んだ。

「・・・!?」

 相手は急に動きが止まり、ぐしゃりと地面に倒れた。

「思ったよりも、きつい薬を塗ったな」

「シーラ特製の痺れ薬よ」

「え、何?何?」

 カキは頭がついていっていなかったが、三人で協力して無事に二次試験に受かることができた。

 次は、個人戦の三次試験。


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