第九十四話 中級戦闘魔術師昇格試験開始
ついに、中級戦闘魔術師昇格試験の一次試験の日となった。
一次試験は、戦闘魔術師に必要な知識を問う、筆記試験だ。当然、これが受からないことには、二次試験へはいけない。
「こればっかりはお前たちが今までにどれだけの知識を詰め込んだかだからな。まぁ、一次試験に落ちるのはごくわずかだ。自信持って行ってこい」
ブレットはカキたちにそう言って、試験会場へと見送った。
試験会場は、魔法学校だ。ここが一番部屋数に困らない場所だから、毎年魔法学校が試験会場となる。
カキたちが教室に入ると、まるで生徒の頃に戻ったかのように懐かしい面子だらけだった。
「シーラちゃん。久しぶりだね。元気だったかい?」
「久しぶり。えぇ、元気よ」
シーラを見るなり、目にも止まらぬ速さでマリアンのもとにいたケヴィンがやって来た。
シーラは、ケヴィンがこれ以上近づかないように、やんわりと手で防御する。
「シーラちゃん」
「マリアンも久しぶりだね。たまに会ってたけど、最近はお互いこれの修行で忙しかったし」
「そうだね」
シーラとマリアンも、久しぶりの再会に喜ぶ。
「ビトー」
「何だよ、鬱陶しい。毎日会ってるだろうが。てか、今朝も会っただろうがっ!」
カキがふざけてベタベタくっついてくるので、ビトは思いっきり引き剥がした。
「カキくんも相変わらず元気そうだね」
「ま、それがオレの取り柄だからな!」
ナタリオの言葉に、カキは笑顔で答える。
「あいつは相変わらず冷たいな」
ビトは、教室に入るなり自分の席に座ったニコラスを見た。
「元クラスメイトに目もくれず・・・まぁ、あいつにそんなこと期待もしてねぇけど。お前、あいつとうまくやれてんのか?」
「まぁ、会話は基本ねぇなぁ。オレも、シーラも。けど、特別悪いってわけでもねぇよ」
「そうかよ。ま、悪くならないように頑張ることだな」
「オレが頑張ればいいのか・・・?」
ビトの言葉に、カキは疑問を抱きながらも、ようやくカキたちも自分の席についた。
筆記試験の制限時間は五十分。記述問題が多いので、時間配分を考えなければならない。
「それでは、始め!」
試験監督の合図で、一斉に試験が始まった。
筆記試験では、知識はもちろんだが、記述問題によって能力や知識だけでは測れないものを測る。
たとえば、こんな状況に置かれたら、あなたはどうしますか、といったような問題だ。これ自体に明確な答えはないので、受験者を悩ませる問題として、よく知られている。
今年の問題は、仲間が敵に捕まったとき、あなたはどうしますか、という問題だった。それも、敵が自分におおよそ敵うはずもない相手で、こちらより人数が多い場合だ。
助ける、助けないはもちろんだが、助けるならどうやって助けるのか、そういったことも答えなければならない。かなり意見が分かれるだろう。
(助けるしかねぇだろ、こんな問題。誰か呼んでる暇もねぇから、強行突破かな。敵わねぇなんか決めつけんなっての)
カキはそんなふうに考えていた。
だけど、そうは考えない人もいる。
同じように助けると答えても、仲間を呼んで体制を整えてからと答える人もいるだろうし、逆に仲間一人の犠牲で済むのなら助けないと答える人もいるだろう。
カキ以外はどう考えたのか。どう答えたのか。
そして、カキたちは無事に二次試験へといけるのだろうか。




