第九十三話 中級戦闘魔術師昇格試験に向けて
カキたちはもちろん、ほかの下級戦闘魔術師たちも中級戦闘魔術師昇格試験に向けて、修行、特訓を行っていた。
「お前ら、ちんたらするな。中級戦闘魔術師昇格試験が近いんだぞ」
「あれ、今日、ジャニス隊長は?」
「今日はいない。オレがお前たちの修行を見ることになっている」
「え・・・」
チーム・ジャニスの特別補佐官、シリル・ベストの言葉に、マリアンとナタリオは怯えた声を出す。
シリルは金髪のトゲトゲした髪型が特徴で、とてもクールで冷たい印象を受ける人だ。上級戦闘魔術師で、実力もかなりあり、ジャニスにとても信頼されている。
だが、マリアンとナタリオはシリルが苦手だ。ビトは物怖じせずに関わっているのだが。
「わかったら、さっさと始める。時間は限られてるんだ」
「はい・・・!」
「へいへい」
シリルの鋭い視線に、マリアンとナタリオは震え上がったが、ビトはまったく何も感じていないようだ。
「ビト!」
「へーい」
シリルはビトの態度が気に入らなかったが、諦めることにした。
チーム・エリックの隊長であるエリックは、ケヴィン、ラウラ、ジャスパーの様子に頭を抱えていた。
ケヴィンはあまり特訓に力を入れていないし、ラウラには協調性がない。そして、ジャスパーはやる気はあるのだが、頭がついていかないので失敗ばかり。
「お前らなぁ、中級戦闘魔術師昇格試験が迫ってるんだぞ?もうちょっと頑張ってくれよ」
「中級戦闘魔術師になれば、今までより強くなったって証になるでしょ?そしたら、女の子がきっと喜んでくれるから、もちろん頑張るよ、エリック隊長」
「何も心配いらないわ。ちゃんと実力は伴っているのだから、大丈夫でしょう?」
「頑張ってんだよ!でも、何でかできないんだよ、オレ一人じゃ!誰かが指示してくれればできるんだけど・・・」
エリックの呆れた言い方に、三人はそれぞれ反論する。
「けどなぁ、三人一組で戦う試験と一人だけで戦う試験の両方があるんだよ。もちろん筆記も受からなきゃ意味ねぇが・・・そのどちらもうまくやらなきゃ受からねぇぞ」
「大丈夫ですよ、エリック隊長。国中の音たちが囁いています。今までの成果を出せば、きっと中級戦闘魔術師になれると」
エリックの言葉に、穏やかな口調で口を挟んできた。
彼女の名前はパメラ・スタンリー。紫色の巻き髪をしている、チーム・エリックの特別補佐官だ。
「パメラ補佐官、今日も素敵です」
「ありがとう、ケヴィンくん」
このやりとりは日常の一コマとして、あたりまえにあることだ。
「補佐官もこう言っているし、大丈夫よ」
パメラの言葉に同調し、エリックを丸め込もうとするラウラ。
エリックは渋い顔をしていたが、何かを言う気力もなく、諦めていつもどおり、特訓を始めることにした。
カキたちも、ブレットによる修行が毎日行われていた。
仕事のない日はまだいいが、仕事のある日は合間を縫ってやるので、かなりのハードスケジュールとなる。どちらにせよ、ヘトヘトになって帰るのは間違いないが。
「いよいよ中級戦闘魔術師昇格試験が二週間後に差し迫っている。お前ら、気を抜かずにしっかりと修行に取り組むように」
ブレットの言葉に、カキとシーラは元気よく返事をした。
ニコラスは相変わらず返事をしないが、並々ならぬ闘志を燃やしている。
試験を受けるからには、チームみんなで、必ず中級戦闘魔術師になる。
カキはそう誓った。




