第八十八話 ラルフとララとの再戦
カキたちの目の前に現れた、ラルフとララ、そしてその仲間たち。十人はいる。
ブレットとノーマは、カキたちを守るように立ち、戦闘に備える。
「私はあなたたち二人には興味ないの。そこのおもしろいぼくたちと戦いたいから、退いてくれないかしら?」
「おとなしく、退くわけがないだろう」
「ふぅん・・・ラルフ、あの二人邪魔。蹴散らしてちょうだい」
「お前に指図はされたくないが・・・」
ラルフは、ララ以外のやつらをブレットとノーマに仕向けてきた。
「カキ、シーラ、ニコラス。そこを動くなよ」
ブレットは三人にそう言い、普段からは想像できない機敏な動きで敵を倒していく。
ブレットとノーマ、二人で軽々と敵を倒していく。本当に、何の苦労もなく。一撃も食らうことなく。
「あぁ、もう、あんなやつらじゃ倒せないわよ。あなたがやっちゃってよ」
「仕方がない」
ララが不満たっぷりに言うので、ラルフが手を前にかざした。
「先生、来ますよ」
「わかってる。当たったら、ヤバイだろうな」
ノーマとブレットは、ラルフが放つであろう黒魔術に警戒した。
「あなたがたを今殺すと面倒なんでね。今回も本気ではやりません」
ラルフは、そう前置きして仕掛けてきた。
「“ダーク・ダッギュ”」
「殺すつもりはないと言っているわりには、ずいぶんと物騒なものを出すじゃないか」
“ダーク・ダッギュ”。闇でできた剣を出す魔術。斬られると、そこからボロボロと崩れていく黒魔術だ。
どこか斬ってしまえば、容易く死に至らせることのできる魔術なので、ブレットはそう言った。
「威力は落としています。ただの剣だと思ってもらっていいですよ」
ブレットの言葉に、ラルフはそう答える。
「ただの剣、ね・・・“ドナ・ダッギュ”」
ブレットは、雷でできた剣を出した。
「じゃ、ちょっと試させてもらおうかな」
そう言って、ブレットは自身の剣とラルフの剣を交えた。
「・・・たしかに、崩れることはないようだ」
本来ならブレットの剣はボロボロと崩れていったであろうが、剣はそのままの姿を保っている。
「わかってもらえたのなら何より」
ラルフがそう言うと、二人は剣で戦い始めた。
剣のぶつかる音が何度もするが、どちらもまだ相手に傷を負わせてはいない。相手の出方を見ているのだ。
一方で、ノーマの前にはララが立っていた。
「はやくぼくたちと戦いたいんだけど・・・あなたを倒さなければならないなら、仕方ないわね」
「この子たちには、手を出させないわよ」
ララは妖艶な笑みを浮かべ、反対にノーマは厳しい目つきで睨みつける。
しばし見あったあと、二人は相手に向かって駆け出した。
体術での戦い。それも、かなりレベルが高い。二人とも、一つ一つの攻撃が重い。簡単に地面が割れる。
だけど、ノーマはうしろにカキたちを庇っているので、あまり行動範囲は広くない。限られた範囲で攻撃をしなければならないので、少し苦戦している。
「あまり、目先の攻撃にばかり目を向けるのはよくないんじゃないかしら?」
ララの言葉に疑問を抱いていると、カキたちの小さな悲鳴が聞こえてきた。
「うわっ」
「うっ」
「・・・っ」
振り返ると、カキたちが頭を抱えてうずくまっている。
ノーマは、はっとしてララのほうを見た。
「夢属性魔術・・・!」
「正解ー」
夢属性魔術。いわゆる、幻術の類いだ。
ノーマは、さらに強い力でララを吹っ飛ばし、カキたちのもとへと行った。
「敵に背中なんか見せていいのかしら?」
「マリリ!」
ノーマの言葉で、マリリはララに向かって口から霧を吹き出した。
ララがそれを払った頃には、ノーマたちの姿はそこにはなかった。
「ふぅん・・・でも、三人もお荷物を抱えてるとなると、そう遠くには行ってないわね」
『ここを通すつもりはないわ』
ララの言葉に、マリリは厳しい顔つきで言った。




