第八十五話 仕事らしい仕事
カキたちがチーム・ブレットとして仕事をこなし始めて、二週間ほどが経った。相変わらず、戦闘魔術師の仕事とは程遠い仕事ばかりである。
だけど、そんなカキたちに、やっと戦闘魔術師らしい仕事が舞い込んできた。
「お前ら、新しい仕事だ」
「今度は何?人探し?また動物でも逃げた?」
ブレットの言葉に、カキはまったく乗り気ではない。
「いや、今回は賊の討伐だ」
「討伐!?」
今度は、目をキラキラさせてカキは反応する。
「賊の討伐ってことは、いつもよりワンランク上の仕事ですか?」
「そうだ。だから、しっかり気を引き締めていけよ」
カキは元気に返事をした。
次の日、カキたちは国の出入り口の検問所に集まった。今回はノーマも来ている。
「今日はノーマ先生もいるんだ」
「うん。いつもよりワンランク上の仕事だし、参加しとこうと思って」
「集まってるな。じゃ、行くぞ」
ブレットの言葉によって、カキたちは国を出た。
今回の仕事は、国境付近にある鉱山を縄張りにしている賊の討伐だ。賊であって戦闘魔術師ではないので、カキたちのような下級戦闘魔術師でも扱える仕事となっているのだ。
国境付近にある鉱山は、ジアッシュ国で使う鉱石などがたくさん採れるので、ここに賊に居座られると国としては大変困る。
「具体的な人数はわからんが、少数人らしいという情報だ。武器も、鈍器となるものが中心で刃物などはほとんど扱っていない。といっても、鉱石採掘のためのものはあるからな。気を緩めることのないように」
ブレットの話を聞きながら、カキたちはゆるりと目的地へと向かっていく。
「あそこが、賊が居座っている鉱山だ。あの洞穴の中にいるらしい」
少し離れたところから、ブレットは指差した。
「さっそく行くのか、隊長!?」
カキは、目の前に目的地が現れたことによって、ワクワクしきっていた。
「いや、今日はここの鉱山を管理している村で情報収集だ」
「えー!」
「今、オレたちが持っている情報だけじゃ少なすぎる。情報収集が終わったあとは、戦闘に備えてちょっとした修行もするからな」
「えー!!」
ブレットの言葉に、カキは不服そうな声をあげる。
「まぁまぁ、情報収集も大事だからさ?修行だって大事なことでしょ?」
シーラはカキをなだめるように言った。
「とくに、お前みたいな落ちこぼれにはな」
「はぁっ!?」
「あぁ、もう、二人とも」
ニコラスの余計な一言により、カキは怒り、シーラは大きくため息を漏らす。
「ほら、お前ら、うだうだ言ってないで、情報収集に行くぞ」
ブレットの怠そうな声ではあったが、三人は黙って動き出した。
村での情報収集も終わり、カキたちは一旦、宿で休んだ。
「今回はこの村からだけじゃなくて、国からの依頼でもあるからね。普通、私たち戦闘魔術師は野宿が多いけど、宿があると休めていいわね。しかも、二部屋も準備されてる」
ノーマは、同室となったシーラに言う。
「そうなんですね。でも、たしかに宿で休めるといいですよね」
「疲れもとれるものね。まぁ、今日はまだ移動してきただけだけど。シーラちゃんたちはこれから修行だものね」
「はい。どんなことするんでしょうか?」
「さぁ・・・先生、あんなにやる気なさそうに見えるのに、案外厳しいからな」
ノーマは、考えられる修行を頭に思い浮かべる。
「そういえば、ずっと気になってたんですけど・・・ブレット隊長のことを、どうして『先生』って呼んでるんですか?」
「あぁ、言ってなかったっけ?先生は、私がこの国に来てからいろいろ教えてくれる人で、それで先生って呼んでるの」
「そうなんですか。師弟関係に近いものですか?」
「うん。まぁ、そんな感じだね」
そんなふうに話していると、すぐにブレットが呼びに来た。
これからカキ、ニコラス、シーラの修行が始まる。




