第八十四話 これが戦闘魔術師の仕事?
ブレットの試験に見事合格したカキたちは、今度こそ、これから戦闘魔術師として仕事ができることに期待していた。
「じゃ、改めて、オレはブレット・ヨーク。お前たちの隊長となる。つまり、オレの言うことがこのチームのルールとなる。ちゃんと聞いてくれよ」
ブレットは、念を押すようにカキたちに言った。
「ま、とりあえず今日は解散────・・・」
「ちょっ・・・先生!」
ブレットが言い終わる前に、聞き慣れた声がカキたちの耳に入ってきた。
「え・・・?ノーマ先生?」
カキは、ポカーンと口を開けて言った。
ノーマは状況を飲み込めていないカキたちに笑顔を向けて、ブレットのほうを向いた。
「先生、私の紹介がまだじゃないですか。待ってたんですよ?」
「あー、悪い。忘れてた」
気のない返事に、ノーマは不貞腐れながらも、カキたちのほうに笑顔で向き直った。
「今日から、このチームの特別補佐官となったの。またよろしくね、カキくん、シーラちゃん、ニコラスくん」
「え、が、学校は、先生?」
「この仕事が決まってたからね。後任を見つけて辞めてきたわ」
あっさりと言うノーマに、カキはまだポカーンとしている。
「あ、あと、この子のことも紹介しとくわね。この子はマリリ。水の加護を持つ妖精よ」
ノーマは、自身の妖精を手の上に乗せて見せた。水色のウサギのような姿をしていて、かわいらしい。
「オレのも紹介しとこう。こいつはイサラ。雷の加護を持つ妖精だ」
ノーマが妖精を紹介したことで、ブレットも自身の妖精を紹介した。黄色いライオンのような姿をしている。
「妖精っていやぁ、お前の妖精は?」
カキは、ずっと気になっていたことをニコラスに訊いた。
「何でもいいだろ」
「どうせ、このさき知ることになるんだからいいだろ?」
「・・・出てこい」
カキの言葉に、ニコラスは諦めたようだった。
「こいつはシドド。影の加護を持つ妖精だ」
黒いキツネのような妖精はニコラスに似て、愛想のない顔をしていた。
「じゃ、今度こそ解散。また明日、十時に学校の門のところに来るように」
ブレットの言葉によって、カキたちはようやく帰路についた。
次の日から、カキたちチーム・ブレットは、戦闘魔術師として仕事をこなしていった。
「シーラ、行ったぞ」
「・・・それ、違うやつじゃない、カキ?」
「バカ。こっちにいる」
「バカって・・・!」
「ニコラス、そのまま捕獲いけるか?」
「やってやる」
今日のカキたちの仕事は、ペットショップから逃げ出した犬を捕まえることだった。
無事にニコラスが捕獲し、犬はペットショップに戻っていった。
「なぁ、ブレット隊長。これが戦闘魔術師の仕事なわけ?」
今日の仕事が終わり、カキは不満そうに言った。
「下級戦闘魔術師ができる仕事ってのは限られてるんだ。徐々に難しくなっていくから、今は我慢してろ」
「けどよぉ、ノーマ先生はあれから一回も来ないし」
「ノーマは特別補佐官だからな。特別補佐官はこの程度の仕事は参加しなくてもいいことになってる」
不服そうなカキに、ブレットは淡々と答える。
「いつになったら、もっと戦闘魔術師っぽい仕事できるんだよ・・・」
「気長に待ってれば、すぐにその時は来るさ」
「はやくやりてぇ!」
「まぁまぁ、いっぱいこういうことしてればそのうちできるんだからさ。それまで技術を磨く期間だと思って待とうよ」
シーラはカキを落ち着かせようとそう言った。
いつになればそんなときは来るのかと、カキはまだ不満そうな顔をしていたが、そんなときが来ることに期待し、気長に待つことにした。
カキたちは、まだまだ難易度の低い仕事をしていく。




