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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第四部 卒業試験、下級戦闘魔術師へ
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第八十三話 ブレットからの試練


「それじゃ、スタート」

 その言葉を聞くと同時に走り出したカキとニコラスは、それぞれブレットに攻撃を仕掛けた。

 カキは体術を、ニコラスは魔術を、それぞれが得意なことでブレットに立ち向かおうとしていた。

 だが、ブレットはそれをゆるりとかわす。べつに動きが機敏なわけでもないけれど、確実に二人の攻撃を避けていた。

「そんなんでこれからさき、やっていけんの?」

 さらなるブレットからの挑発的な言葉に、カキとニコラスはスピードを、威力を上げる。

 一方で、シーラはカキたちの戦いを見ながら、どう動くべきか、どうすることが一番いいのかを考えていた。

 だけど、いい案は思い浮かばない。

「あぁ、いい忘れてたけど、オレは攻撃しないからね」

 ブレットはゆるりと攻撃をかわしながらそう言った。

「あくまでオレは、お前たちの今の力を見たいだけだから」

 ブレットは喋っているし、動きが鈍いし、やる気もなさそうなのに、隙という隙が見つからない。隙だらけなように見えて、実は隙がないのだ。

「それにしても、お前たちは見込みがあるように見えないな。見込みゼロと判断したら、日暮れ前に終わるぞ」

「まだ始まったばっかじゃんか!」

「そうだ。オレはまだ、こんなもんじゃない。こんなところでは終わらない」

 こんなときばかりは、カキとニコラスは息が合う。攻撃も単調ではあるが、打ち消したりしてしまわないように攻撃を繰り出している。

 今なら、とシーラは思った。

「カキ、ニコラス!考えがあるの」

 シーラの言葉に、カキとニコラスは一旦うしろに下がった。

 カキとニコラスはシーラの作戦を聞き、どうするかを三人で話し合った。

「正直、相手は上級戦闘魔術師だし、この作戦がうまくいくかわからない」

「けど、やんなきゃだろ?」

「虚さえつければいい。オレとカキでうまく誘導すればいい」

 三人は手短に話を終わらせ、カキとニコラスは再びブレットに向かって駆け出した。

 走りながら二人は、首にかけた小さな杖を大きくさせ、武器に変える。

「“ブライト・シャープ”」

「“シャドウ・フロー”」

 カキの剣は光に包まれ、ニコラスの剣は黒い影に包まれる。

 カキとニコラスはその剣を、同時にブレットに向かって振りかざした。

 光と影が、鋭利な刃のようになってブレットに襲いかかる。

 ブレットはその両方をかわすために、上空に飛んだ。

 だが、さらにニコラスが上に向かって剣を振り、追撃する。

「・・・!」

 ニコラスの攻撃を避けようとしたブレットだったが、それを避けたばかりに、シーラが仕掛けていた罠(トラップ)に捕まってしまった。

「“ペタル・ハリケーン”」

 花びらの竜巻の中に、ブレットは放り込まれた。

 花びらたちはブレットの回りを囲むように舞い散り、鋭くブレットに刺さる。

「────・・・合格だ」

 ブレットは“スコール・クラッシュ”で花びらたちを吹き飛ばした。

 カキとシーラは、合格、という言葉に喜び、ホッとしていたが、ニコラスは不満そうな表情をしていた。

「合格?上級戦闘魔術師のアンタなら、魔術に捕まる前に対処できたはずだ。なぜ、それをしなかった?」

「オレは、お前たちの今の力を見たいと言った。それがわかったからいいというのもあるが、最大の理由がある」

「最大の理由?」

 ニコラスは怪訝そうな表情を浮かべる。

「協調性だよ。一人で戦うのではなく、仲間と共に戦えるか。お前たちが協力してオレに挑んできたから、オレはあの罠(トラップ)を避けなかった」

 ブレットの言葉に、まだ納得してはいないようだが、ニコラスは黙った。

「ま、これからも協調性を大事にしてくれ」

 ブレットの言葉に、カキとシーラは大きく頷いた。


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