第八十二話 簡単にはなれない?
今日からカキたちは下級戦闘魔術師となる。それぞれチームに振り分けられ、下級戦闘魔術師として働くことになるのだ。
「よし、全員いるな。お前らの担当になる上級戦闘魔術師が、これから順番に迎えに来る。オレはどういうチームに振り分けられるのか知らないから、誰から呼ばれるかもわからない。気を長くして待つように」
エベラルドはそれだけ言うと、教室を出ていった。
やがて、一人のがっしりとした体型の、深緑の髪色の男の人が教室に入ってきた。
「オレはエリック・ダンロップ。これから名前を呼ぶ者はオレのチームメイトとなる。じゃ、さっそく呼んでいくぞ。ケヴィン・マレット、ラウラ・ウィールドン、ジャスパー・ヒチョン以上の者は、これからオレと共に来い」
ケヴィン、ラウラ、ジャスパーの三人は、エリックと共に教室を出ていった。
それから、同じように何人かの人がカキたちの中から三人を連れていく。
そうして、しばらくしてやって来たのは、紅色のくせっ毛の女の人だった。
「私の名前は、ジャニス・グルーバー。じゃ、さっそくメンバーを呼んでいくわよ。ビト・ヘニング、マリアン・オリスト、ナタリオ・ノックス」
今度はビト、マリアン、ナタリオの三人がジャニスと共に教室を出ていった。
人数も少なくなってきた頃、ようやくカキは呼ばれることになった。
やって来たのは、何ともやる気のなさそうな長髪の男の人だった。
「えー、オレはブレット・ヨーク。カキ・ギリッシュ、シーラ・オルコット、ニコラス・サックウィル。この三人はオレと一緒に来るように」
カキはやっと呼ばれたことに喜んでいたが、近くで禍々しいオーラを感じて、素直に喜べなかった。
「はぁ?オレとカキが同じチームだと・・・?オレは学年トップで卒業したんだぞ・・・それが、何でカキなんかと・・・」
ぶつぶつとニコラスが喋り続けるが、下手に声をかけると逆鱗に触れそうだったので、カキは黙って教室を出た。
カキ、シーラ、ニコラスの三人は、ブレットに連れられてグラウンドへと出た。
「さて、お前たちは今日から下級戦闘魔術師となるわけなんだが・・・悪いが、オレは他のやつらと違って甘くない。簡単にはお前たちとチームを組めない。だから、オレが与える試験にクリアできなければ、お前たちには戦闘魔術師の道を諦めてもらう」
いきなりブレットがとんでもないことを言うので、カキたちは言葉を失った。
「え、え?何、どういう・・・」
「そのままの意味だ。諦めたくないなら、試験にクリアすればいい。ただし、一人でもダメなら、全員落とす。連帯責任ってやつだ」
「はぁ!?」
今度ブレットの言葉に声をあげたのはニコラスだ。
「当然だろう。もちろん、この試験をクリアしてチームとして共に過ごすことになっても、同じように連帯責任ってやつはある」
ブレットの言葉に、カキたちは押し黙る。
「で、でも、とりあえず、その試験に受かればいいんですよね?試験の内容はどういうものですか?」
シーラはブレットにおずおずと尋ねた。
「三人でオレに一つでも傷をつけてみろ。そしたら、試験はクリアだ」
「戦闘試験、ってことですか?」
「そうだ。このさき、絶対に必要なことだからな。ここでお前たちの力を見ておきたい。時間は日暮れまで。どんな手を使ってもいいから、オレに傷をつけてみろ」
挑発的な言葉に、完全にカキとニコラスはやる気を出していた。
「それじゃ、スタート」
その瞬間、カキとニコラスはブレットに向かって駆け出した。
果たして、カキたちは無事に試験に合格することができるだろうか。




